一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

第45期女流名人戦第2局

2019-01-29 00:11:48 | 女流棋戦
里見香奈女流名人と伊藤沙恵女流二段が激突する第45期女流名人戦第2局は、27日に島根県出雲市「出雲文化伝承館」で行われた。
まず出雲といえば、ほぼ出雲大社(地元の人は「おおやしろ」と呼ぶ)のことを指す。出雲大社は全国から神様が集まり、縁結びの神として有名である。もちろん私も何度か参拝したことがあるが、しかしとんと御利益がない。
まあ縁結びは男女の仲だけではないが、私の場合、あらゆる縁から見放されている気もするのだが、気のせいだろうか。
また出雲地方は旧大社線の廃線跡、旧大社駅、一畑電鉄の鄙びた駅舎、沿線風景など、鉄道マニアの観点からも見どころが多い。最近は参道までの両側にいろいろお店も建って、伊勢神宮のおかげ横丁のような様相を呈してきている。ここ出雲大社周辺だけでたっぷり1日観光できる、ナイススポットである。

そしてこの出雲対局は女流名人戦の恒例で、今期で9年目である。これは里見女流名人が出雲市の出身だからで、里見女流名人が女流名人でいる限り、出雲対局を行いたいという地元の要望があるのだ。
むろん挑戦者はアウェーになるが、そこは地元の人も公平に応援するよう心掛けているようだ。とは言っても現実的には無理な話で、どうしたって里見女流名人を応援するだろう。伊藤女流二段が指しにくいことに変わりはない。
将棋は先番里見女流名人の中飛車で始まった。伊藤女流二段の対策が注目されたが、4手目に△3二飛と振った。
これが分からないところである。
私は伊藤女流二段を居飛車党と見ているのだが、なんで飛車を振るのだろう。
と思ったら、両者はこれが公式戦16局目だが、過去8回、相振り飛車があるという。これは異常な数字である。里見女流名人には相振り飛車がよい、と伊藤女流二段のアンテナが示しているのだろうが、両者の対戦成績は伊藤女流二段の3勝12敗である。これでは伊藤女流二段の作戦が成功しているとはいえず、ふつうに居飛車で立ち向かったほうがいいと思えるのだ。
もっとも伊藤女流二段も言い分はあって、中飛車と三間飛車の対決では、後者のほうが模様が取りやすいらしい。少しでも有利を求めるのは現代将棋の特徴だ。だから中飛車側も居飛車に戻したりして訳の分からない戦いになるのだが、果たして本局の里見女流名人も、19手目に▲2八飛と戻してしまった。
ちなみに、関係者による戦型予想は、畠山鎮七段が「初手▲5六歩からの相振り飛車」で、唯一正解だった。しかし▲2八飛と戻したものだから「これじゃあ全員ハズレです」と苦笑する一幕があったようだ。しかしむろん、畠山七段は立派な正解である。
本譜に戻り、里見女流名人は居飛車もうまい。となると、伊藤女流二段の不慣れな?振り飛車だけが残っていまい、この取引は里見女流名人に分がある。すなわち、本局も里見女流名人が勝つと思った。
その後は果たして里見女流名人の攻めが決まり、ツイッター解説の池永天志(たかし)四段は「先手勝勢」の札を上げる。
しかし将棋は分からない。このまま里見女流名人が押し切るのかと思ったら意外にグズグズし、何と池永四段の形勢判断も「形勢不明」に戻ってしまった。
この手順中、▲6六の角を△6四の香で取らせたのがどうだったのだろう。そこまで気前良くせずとも、じっと角を逃げておいて先手十分だったのではないか。
ただそこから里見女流名人が踏ん張り、再び「優勢」とする。そして里見女流名人「▲5二飛」。ここで伊藤女流二段が投了してしまったから驚いた。

いや専門的に見ればもう投げ時なのだろうが、将棋には「流れ」というものがある。少なくともここまでの伊藤女流二段の粘りを見ればもう少し指し継ぎそうなもので、ポッキリ折れたなあ、という印象がぬぐえなかった。
というわけで、2局を終わって里見女流名人の2連勝。これは防衛の色が相当強い。いっぽうの伊藤女流二段は、自分の色を見失っていると思う。里見女流名人を意識しすぎて、自分の将棋を指せていないと思う。確かに相手は元奨励会三段だけれども、過去はそこまで実績のない女流棋士が何人も、里見女流名人からタイトルを奪っているのだ。伊藤女流二段にも勝機はあるはずなのだ、もう2局が終わっちゃったけれども。
とにかく第3局である。勝ち負けはとにかく、伊藤女流二段本来の将棋を期待したい。
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