一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

第69期王座戦第2局

2021-09-17 21:13:18 | 男性棋戦
第69期王座戦第2局が15日に行われた。第1局は木村一基九段が制勝。この勢いで連勝と行きたいところだ。対して永瀬拓矢王座は、さすがに連敗はできないところ。
ところで、最近永瀬王座の負け将棋ばかり見ていると思い今年度の成績を調べたら、12勝9敗だった。まずまずといえるが直近の6局は1勝5敗である。竜王戦の敗退ですっかり調子が狂ってしまったようだ。
通算勝率7割を誇る永瀬王座でさえ、部分的にはこんな成績を取る。もっとも好不調の波があるのが普通で、毎年勝率8割を誇る藤井聡太三冠が異常なのだ。
ともあれ私は今シリーズ、永瀬王座の防衛と見ているが、木村九段に奪取の可能性があるとすれば、永瀬王座の停滞期に乗じるのが近道と思っていた。今シリーズはその流れである。
第2局は相掛かりとなった。これは定跡があってないようなもので、将棋を考えるのが大好きな2人にとって、シリーズで一度は登場する戦法だった。
序盤から一手一手が難しく、私はついていけない。ABEMAのAI評価はわずかに木村九段に振れているが、互角であろう。
というところで中盤、攻め合いになった。第1図は木村九段が▲5五桂と打ち、△7七歩成▲5八玉に△5四銀と上がらせたところである。

ここで王座戦サイトでは以下、「▲6三香△7二金▲2四飛△同歩▲6一角△同飛▲同香成」の攻め筋を示していた。
なるほど玉の間近に成駒を作り、しかも飛車を手持ちにして、これは先手が有望である。
果たして実戦もそのように進んだ(第2図)。

ところが以下△7三歩▲7四歩に△4二玉の早逃げが好手。さらに▲7三歩成△3四歩▲7二と△3三玉(第3図)と進み、ずいぶん後手玉が安全になった。

サイトの検討通り▲6一同香成まで進んだのに、そこから数手進んで後手優勢とは、キツネにつままれたようである。
むかしは大山康晴十五世名人が、相手にさんざん攻めさせておいて、一手ヒョイと受けの手を指して優勢になったものだった。そういえば永瀬王座は若いころ、大山十五世名人の将棋を何度も並べたことで有名である。「△4二玉」に、私は大山十五世名人の幻を見たのである。
そして本局は100手まで、永瀬王座の勝ち。永瀬王座はホッと胸をなで下ろしたことだろう。
しかし私には、先手の敗着が分からない。第1図以降に先手に失着がなかったとすると、それ以前に問題があったことになるが、△7六歩の叩きに▲7八金と引いたのが利かされでマズかったか。ここ、私ならよろこんで▲8一香成と飛車を取るところだが、当然見える手を木村九段が指さなかったのだから、これでも先手が負けなのだろう。
ともあれ残り3局。タイトルの行方はまったく分からない。
コメント (2)
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