一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

第1期白玲戦第1局

2021-09-12 01:01:37 | 女流棋戦
11日に第1期白玲戦第1局が行われた。といっても私は中継を見る暇がなく、午後6時ごろにスマホを見たら、西山朋佳女流三冠が渡部愛女流三段を降していた。白玲戦は持ち時間4時間だから、双方時間を余したことになる。ということは、将棋が一方的になったのではないか。
私はとりあえず、棋譜を再生してみた。
先番は西山女流三冠。初手▲5六歩からの中飛車で、これは予想されたところ。対する渡部女流三段は早くも△3三角と上がり、もう穴熊確定である。
いっぽう西山女流三冠は▲1五歩と伸ばし、渡部女流三段の角頭めがけて▲4六銀。これに▲3八飛と加勢すれば、最低でも金銀交換の戦果を挙げそうである。相穴熊の居飛車側は、この攻めに警戒しなければならないからイヤなのだ。
そして△1二香の数手後に、▲1八香。
これもなかなかの作戦で、相穴熊は穴熊側の端の位が大きい、と聞いたことがある。実力四段の西山女流三冠、さすがにその辺りは抜かりがないのだった。
渡部女流三段は△8四飛と浮き、△6四飛。そして△7四歩。私はイビアナの指し方が分からないが、この形は飛車が息苦しくなって、とても指す気がしない。渡部女流三段が負けたから言うわけじゃないけれど、この進行を生で見ていたら、渡部女流三段の負けを予想したと思う。
ところで今回の対局者は艶やかな着物姿で、その対局姿は江戸時代の風雅な趣さえある。まさに女流最高峰の決戦にふさわしい。このシリーズこそふんだんに写真を撮って、のちに写真集として販売すべきだと思う。それなら少なくとも私は、買う。
将棋はそのあとお互い右桂を跳ねあったが、ということはつまり、西山女流三冠は穴熊のショーツを脱いだわけだ。それで勝てる、という強い読みで、この決断が勝着になった可能性が高い。
渡部女流三段は△4六歩と打ち捨てて△4四歩の桂取り。このあたり、歩使いの名手の渡部女流三段らしかったが、西山女流三冠が▲5三桂成、と行きがけの駄賃で捨ててから▲6五歩、と自分も桂を取りつつ飛車取りに当てたのが当然ながら好手。西山女流三冠が優勢になった。
このあと、劣勢になってからの渡部女流三段の指し手は見るに忍びない。徐々に駒損を重ね、▲7二飛と打たれたところでは敗勢。数手後の▲4一銀には、△5二歩で済むところを、泣きの△5二桂。ここで歩を使うと歩切れになってしまうからだが、いかにも辛い。
西山女流三冠はその後も指し手を緩めず、105手目▲4四馬。これで後手玉が詰んでいるはずで、渡部女流三段も投了した。
1局を振り返ってみて、西山女流三冠の完勝だった。本当なら、渡部女流三段がこのくらいの内容で勝って、七番勝負が面白くなるところ。それが逆になったのだから、何をかいわんやだ。西山女流三冠の強い手ばかりが目立ち、渡部女流三段らしい手があまりなかった。
まだ開幕局が終わったばかりだが、渡部女流三段は早くも苦しい。実力四段相手に残り6局を4勝2敗で乗り切るのは至難の業だ。とにかく第2局、次を渡部女流三段は絶対に勝つしかない。
西山女流三冠にも、いままで通りの力強い将棋を期待している。
コメント (2)
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