一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

式年遷宮の旅・9

2013-08-22 01:24:07 | 旅行記・その他の地域
伊勢市駅にみどりの窓口があれば、カードで支払いができるが、それを探す時間がない。いや改札脇がみどりの窓口になっているのかもしれぬが、カードをやりとりする時間がない。とにかくあと1、2分で「快速みえ」が入線してしまうのだ。
私は券売機で、名古屋までの切符を買った。1,940円。大きい出費だ。青春18きっぷが使えれば、1日あたり2,300円で東京まで帰れるのだが、今夏の利用は7月20日からとなっている。
定刻を3分遅れて、快速みえが入線した。3分余裕があればみどりの窓口を探せたが、結果論だ。車内はほどよい混み具合で、座れる席はほとんどなかった。
このまま電車を乗り継ぎ自宅最寄駅まで帰っても、料金不足になってしまうから、どこかで一工夫しなければならない。私はドアの近くに立ち、名古屋以東の行程を検討する。使うは時刻表ではなく、スマホである。なんだかんだいって、スマホは便利だ。
最有力は名古屋からの高速バスである。快速みえの名古屋着は17時08分予定。スマホを繰ると、17時30分名古屋発のJRバス・新東名スーパーライナーがあった。しかし料金が東京駅まで5,100円だ。現在の私の所持金は5,070円。30円足りない。京都市内のジュースの自販機で20円を余計に払ったり、宿へ向かうのにいらぬ電車賃を使ったりのムダが、ここにきて祟った。いやそれより、おととい出雲市で高速バスに乗るとき、カードで払えばよかったのだ。
まあ、名古屋からの高速バスは、カードで払えばいいのだ。ところが、このスーパーライナーは満席だった。このあとのバスは、もう夜行になってしまう。すなわち、高速バスの利用はここで断たれた。
ではこのまま名古屋で下車して、東京までの切符を買い直すか。これが6,090円。伊勢市からは合計8,030円になる。伊勢市駅の窓口で一括して買えば7,630円だったのに、これでは400円も多く出費する計算だ。極めて不愉快である。
この差額を少しでも縮めたいが、何か手はないか。
そこで、「JR料金を分割する位置を変える」手がある。
たとえば、大磯から上野までの普通料金は1,280円だが、大磯から東京までは1,110円、東京から上野までは150円である。つまり東京駅で改札を抜けて切符を買い直せば、20円トクをするのだ(上野駅の精算所で150円を払ってもいいだろう)。これは知っておいて損はない手筋である。
いま私は名古屋で下車する予定だが、これを豊橋まで伸ばしてみる。名古屋-豊橋は3,010円(伊勢市-名古屋間は100キロを越えているから、豊橋までは差額の1,070円を払う)、豊橋-東京都区内が4,940円だから、合計7,950円。前述のとおり名古屋で切符を買い直せば合計8,030円になるから、このテクニックで、80円トクをするのである。
ただ、ネックが待ち合わせの時間だ。名古屋からは特別快速に乗り、18時24分に豊橋に着く。次の豊橋発・浜松行きは18時31分。わずか7分しか待ち合わせがない。この間に改札を抜け、不案内なみどりの窓口で切符を買い直せるかどうか。
…ちょっと厳しそうだ。大いに迷ったが、安全を期して、やはり名古屋で下車することにした。
17時08分、名古屋着。改札を出て、JR高速バスの窓口に行く。17時30分発のスーパーライナーを聞いたが、やはり席はなかった。ほかにも東京行きのバスはあったかもしれぬが、探している時間がない。
私はみどりの窓口に行き、東京までの切符を買う。6,090円をカードで支払うが、あらゆる意味で、抵抗があった。
駅構内に入り豊橋行きのホームに上ると、きしめんの立ち喰いそば屋があった。現在私は五千円札1枚と50円玉1枚、10円玉2枚しか所持していない。自販機でジュースを買おうにも買えないのだ。
「壱万円でジュースは買えぬ」
という、私が作った諺がある。壱万円札を何枚持っていても、千円札や小銭がなければ、自販機でジュースは買えない。それが転じて、小物には小物の利点がある、という意味である。
ここでうどんを食べて、おカネを崩そうと思った。
カウンターで両替をしてもらい、自販機で「きしめん」のボタンを押す。340円はけっこうな額だが、この主目的は、きしめんより冷水機の水であった。
「のどの渇きにステーキいらぬ。水の一杯もあればいい」
と、これも自作の諺である。
ともあれ、きょう初めての食事である。それが伊勢うどんではなくきしめんとは、いかにも私らしい。
きしめんは大量のカツオ節と味のいい油揚げが載り、美味かった。もちろん冷水も大量にいただく。十分な水分を補給でき、これならジュースを途中で補給しなくても、東京まで持つのではないかと思った。
名古屋から豊橋、浜松、熱海と乗り継ぎ、23時46分、東京駅に着いた。
山手線のホームに上り、自販機でアセロラのジュースを買う。これで小銭を作った顔が立ったのだった。
出雲大社、京都、伊勢神宮。なんとも濃密な3日間であった。
(おわり)
コメント (2)
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