ケンタッキーへの道２

若さとはすごいもので、失業したという事実は全く自分にNegativeなインパクトを与えませんでした（父親は心配しましたが、、）。
「そうか、それなら、、」という事で都立養育院付属病院時代にお世話になった方のつてで千葉の精神病院に内科医としてバイトを始めました。片道1時間半くらいドライブの道でしたが全く苦にならず、ひたすら走りました。一方で何とか絶大権力に頼らずに国立の医療機関に所属する方法がないか、北は母校、弘前大学のある青森から南は沖縄の離島までさがしました。
そうこうしているうちに沖縄中部病院時代の後輩のつてで沖縄県宮古島のハンセン氏病の療養所（国立療養所宮古南静園）には欠員が15年ほど続いているという事を聞き、打診してみました。そして多くの方のご厚意、特に九州医務局の沖縄分室の方のご親切、新しく園長になられた長尾先生のご理解もあり、晴れて国家公務員になる事が出来ました。優秀な先生がたはすでに国家公務員であるというスタート地点に居られたか、すぐ近くにおられましたが、自分はここまで来る事さえ大変な紆余曲折でした。でも、意志のあるところには道が開かれるものだと思いました。
留学奨学金制度を利用した医師は帰国後に国立の医療機関で「お礼奉公」をする義務がありましたが、将来、帰国する場所が巨大な国立病院ではなくて、おそらく国立の医療機関としては最小に近い離島のハンセン氏病の療養所となることは、ハンデのようでありながら大変な祝福であったと後に分かるのでした。
沖縄中部病院の後輩であり、現在は呼吸器・集中医療の専門家として活躍されている大庭祐二先生から教えていただいた言葉です。 "Every Cloud Has A Silver Lining"　「どのような雲（困難・難関）にも、その周囲に銀色の縁取り（良い事）が同時に存在している。（だから希望を失うな、、、）」という意味だと思います。
http://www.hosp.go.jp/~miyako/