Dr. WAKASAGI at HEI-RIVER(閉伊川ワカサギ博士)

森川海をつなぐ学び合いの活動を紹介します

これからの日本に必要なものー人間の能力を開発する教育ー

2012-01-30 | 水圏環境教育
今回の第3次予算によって国は本格的に東北地区の支援に乗り出す。
しかし,困ったことに費用のほとんどは設備機器であり,大半が現地から離れた都市に置かれる。
残念ながら,地元にどれだけ利益をもたらすのであろうか。地元ははそのようなものを求めているのであろうか。

国の予算は競争的資金であるが,競争して獲得したら自由に使用してもいいというわけでもないであろう。
使用する前に,国民に問う機会を設けてはどうであろうか。国の予算には国民の顔が見えているのだろうか。
予算は国民のために使われるべきである。

オリザさんが言っていた,北海道のある町の聖徳太子が回転する五重の塔の二の舞になることを危惧する。

18世紀中頃のイギリスに,ラスキンという経済学者がいた。18世紀中頃のイギリスといえば,産業革命で世界一の経済大国であった。
「富」について次のように語っている。

「わたくしはこれが最高のもので,これからもこれ以上のものは今後書けないであろう。富の正確にして確固不動の定義を示すことが,以下の諸論文の第一の目的であった。第二の目的は,富の獲得が結局は社会のある道徳的諸条件のもとにおいてのみ可能であることを示すこと」と。

第二の定義について述べる。富はモノが持っている固有の価値と,それを活用できる人間の能力とからなる。富がモノとともにそれを利用する人を構成要件とするとしている。

富の利用とは消費者のことであり,消費する人間の能力を開発する教育を重視している。のである。水圏環境教育の目指す方向性に一致する。

これまでの日本を振り返ると,世界第二位の経済大国に上り詰めた。その富は都心を中心とした土地に投資された。地方の活性化,漁業の活性化にどれだけ使われたのか,もし使われたとしてもどれだけ消費者である人間の能力の開発に使われたのかは疑問だ。

予算の取り合いではいけない。その予算がどれだけ,消費者の能力を高めるのか,そして地域や地方に活用されていくのか,をもっと我々は真剣に考えないといけない。