北京・胡同窯変

北京。胡同歩きが楽しい。このブログは胡同のあんな事こんな事を拙文と写真で気ままに綴る胡同お散歩日記です。本日も歩きます。

第44回 紫竹庵胡同9・開かれた窓の家/三軒のお店

2015-08-24 13:36:50 | 通州・胡同散歩
通州・紫竹庵胡同には、こんな窓の家がある。
その窓はその前を通るたびにガバァーッと開かれています。



この窓をはじめて見た時、その位置の低さから次のように思った。
ここはお店に違いない。しかも、胡同でたまに見かける「小売部」と書かれた看板がかかる店の
ように、タバコ、酒、茶、砂糖、塩、食用油、酢、醤油などの嗜好品や日用品を扱ってはいない。
置いてあるのは、せいぜい子供相手の菓子類、ジュース類。ひょっとしてビールぐらいは置いて
いるか・・・。



ある日、やはりそんな勝手なことを思いつつ、恐るおそる中をそうーと覗いてみると、中は薄暗く、
人影もありません。しかも、私が予想していた肝心の菓子やジュースなど、売り物らしきものも
まったく見当たりません。はずれでした。
そこで調子よくも軌道修正、ここはかつてお店だったにちがいない、と・・・。
でも、なぜこんなに窓が開かれてんだ、怪しい。

その数日後のことでした。やはりこの窓の前を通ると、なんと、窓が閉まっているではありま
せんか。そしてその後も、その前を通るたびに閉まっています。初めは「今日は、閉まってるん
だ、珍しいな」ぐらいに思ったものですが、通るたびに同じ状態がつづくと心配になってきます。
「どうしたんだろう?」

そんな状態が二ヶ月ほど続いた、ある日。
窓が前のようにガバァーッと開いているではありませんか。



しかも、私の当初の予想に応えるかのように、窓のところには子供向けの菓子やオモチャ(?)が、
ちゃんと置かれているのです。



うれしかったのは言うまでもありません。しかし、この「うれしさ」は私の予想が当たったこと
に対してという以上に、意外にも窓が前と同じように開いていることに対してだったようです。
この開かれた窓を見た初めの頃は、前にも書いたように「かつてはお店だったにちがいない」と
思いつつも、そこには、なんだろう、ちょっと怪しい、などという気持ちも含まれていました。
しかし、この窓を繰り返し見ているうちに、たぶん、いつしか私はこの開かれた窓に親しみを抱く
ようになっていたのでしょう。次回この窓の前を通る時には、お菓子を買おうと思います。


ところで、今回は、ついでと言ってはなんですが、さらに二軒のお店をご紹介。
一軒は、紫竹庵胡同のすぐ近く、かつてのメインストリート「南大街」という商店街にあるお店、
もう一つは、北京外城の胡同で見かけたお店です。

まずは、南大街のものですが、このお店の前を通るたびに男か女か分らないのですが、
「いい顔、してるなぁー」と思ってしまいます。



造られたのは、新中国成立後まもなくのこと、少なくとも、おそらく60年以上は経っているので
はないかと思われます。往年の銀幕のスター、いや、現役の、その場面を引き締めるのに欠かす
ことのできない、渋~い脇役と言ったところでしょうか。

次の写真のうしろ姿が、この店のご主人。お店ともども現役のバリバリです。




次は、北京外城の「西砖(石偏に專)胡同」のお店。 



造られたのは、やはり新中国成立まもなくだったのではないでしょうか。当時は大活躍していたに
違いありません。このお店、上にご紹介した店と同じく、ある時代を考える場合に欠かすことの
出来ない時代の証言者なのです。この建物にはかつて胡同で暮らしていた多くの人たちの喜怒哀楽
が沁みこんでいることは言うまでもありません。
なお、このもとお店、早晩、この界隈の胡同と同じく取り壊されてしまう運命にあるようです。
撮影は2014年11月。「私は忘れませんよ」。そんな気持ちを込めてシャッターを切りました。

長い間、お疲れさまでした。



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