蹴球放浪記

緩まない、緩ませない。
横着しない、横着を許さない。
慌てない、「だ」を込める。

傲慢って、何よ?

2008-02-04 22:19:03 | 舞台のこと

というか、エンターテイメントの中にこれだけの「問題提起」をぶち込めるとは。


ということをAfro13というカンパニーの「ライカンスロープ」を見て感じた。
まず、箱の使い方がすごい。
最前の仮設の椅子、入れ方がちと違う。
下手側は2列、上手側は1列とどうも変則的、何かあるのかな、と思ったら
客席の間を縦横無尽にプレイヤーが走る走る。
そういうことだったのですね。

 

あと、余計な装置を使うことなくプレイヤーのフィジカルと
そこに生まれるムーブやマイム、コーディネーションで
ちゃんと物語を作っている。

 

まあ、お話の中身は狼と人間の対立、そこに相の子で「狼に種つけられた」人間が
絡んできて、ものすごく切ない。
・・・じっくりみてみると「支配と被支配」に対するある種の問題提起が
  このおはなしの根底を流れているのかなぁ。
「狼狩る人」が使っていることばは所謂「東京ことば」、
「狼」が使っていることばは本当はアイヌ語を使いたかったけれど
(名前は使うことができたが)せりふで使うと少々難しいところが。
で、大阪でいろいろやってるアイドル?グループを狼役にして
ことばのアクセントを「大阪ことば」にしちゃった。
おまけに話をまわす役割の「狼に種つけられた」おんなのこに
台湾の人を使うことでことばのたどたどしさ、というものがうまくあってる。

 

多分ね、狼が危ない、というのは人間の思い込みであって、
本当は狼だって人間に牙を剥きたくないんだよな。
でも、人間は「この自然界」を「支配しなければいけない」なんて
傲慢なこといっているから腹かいちゃったんだよね。
その傲慢さのシンボルがライカンだったのかな。
人間同士だっておんなじ、すごく考えさせられた。

 

・・・うーん、こういう「全体美」命のやつは自分は最上で
  見たほうが楽しめるのですが。
うまく席を選べなかったことが残念といえば残念。