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2022年は客観的な予想を心がけます。

天皇賞(GI)春 回顧

2011-05-01 23:18:09 | Weblog
岩手県三陸海岸沿いにある三陸鉄道







13.2 - 11.7 - 12.9 - 13.0 - 13.4 - 12.5 - 12.9 - 12.6 - 13.9 - 12.6 - 12.0 - 12.2 - 11.7 - 11.4 - 12.1 - 12.5=3:20.6

〝逃げ馬不在が生んだ波乱〟そう言っていいだろうこれだけ各馬がリズムを崩したレースは久しく見たことがない。ましてや一流馬が揃う古馬頂上決戦の天皇賞である。改めて折り合いの大切さ、脚をタメることの大切さを学んだ一戦だった。勝ちタイムがここまで遅いと、後方で待機したどの馬にもチャンスが出るレースだった。

 例年なら発馬後から1角までの正面スタンド前で11秒台のラップが並び、締まった流れになりやすいが、今年は馬場の影響と逃げ馬不在が影響し、3ハロン目から12秒9-13秒0-13秒4のラップが刻まれる超スローの競馬。押し出されるようにハナに立ったゲシュタルトが距離に不安を抱えるタイプだけにガンガン飛ばせないのも、歴史的なスローペースを起因させたひとつ。この流れに我慢できなかったのが1番人気を背負ったトゥザグローリーだ。発馬後から鞍上と喧嘩し、終始首を上げて嫌がっていた。業を煮やした四位が1周目の正面スタンド前で2番手までポディションを上げる。2角から向こう正面入口にかけては我慢できずにハナを奪う。ここで一旦は折り合いを付けたかに見えたが、そこは1番人気を背負った宿命。マイネルキッツが徹底マークの構えで掛り気味に競りかけられる。しかも、折り合いに専念するためにペースを落とした向こう正面中盤でナムラクレセントにハナを奪われる入れ替わりの激しい競馬。更に掛ったローズキングダムが外からマイネルキッツに被せたことでマイネルキッツが反応。キッツが更に仕掛けてポディションを上げたことでレースが壊れてしまった。結局は道中で下手に動かなかった各馬が上位を占めるレースになった。〝競馬は逃げ馬が引っ張ってこそ〟というのを認識したレースだった。このようなレースを繰り返していては競馬ファンは離れる一方だろう。

 悲願のGI初制覇を飾ったのはヒルノダムールだった。登録馬の除外でフェブラリーS当日と同じくGIのみに騎乗した藤田伸二がまたしても大仕事をやってのけた。この中間はレコード駆けの反動を見せることなく1週前に7ハロンから意欲的に追われ、最終追い切りは坂路で抜群の動きを見せ、デキは最高潮だった。レースでは2番枠からスーッと好発を決め、馬任せで先団へ。直後に迎えた下り坂を慎重に運ぶ。一つ目の難関をクリアすると、その後は好位のインで脚をタメる。正面スタンド前から入れ替わりの激しい流れになるも、気にせずヒルノのリズムを第一に考えて自然とポディションを下げる。ここでの判断が最後に勝利を大きく引き寄せることになった。経済コースをぴったりと立ち回り、3角手前で少し気合いを付けてポディションを上げるも、一気には行かせず再び手綱を抑える。3,4角の下り坂で仕掛けたくなるところだが、手綱はジッと持ったまま。4角で満を持してスパートすると直線は馬込みを割って抜け出す。バテた先行馬を交わしたところで2着馬に猛追されるが、そこで右手前に替えてもうひと踏ん張り。ゴール前で馬体を併せられたが、そこから粘りに粘って押し切った。凄い勝負根性だ。馬の力も素晴らしいが、鞍上のペース判断が素晴らしかった。

 昨年のダービー馬エイシンフラッシュが完全復調した。ひと叩きされて中間の動きがグンと良化。ダービー時に近い雰囲気だった。レースでは15番枠から好発を決め、内の各馬の出方を見ながら慎重に運ぶ。行きたがる気性なだけに鞍上も相当な神経を使っていた。直後に迎える下り坂をクリアするべく、ジワーッとリズムを崩さないように後方へ下げる。内枠ならここまで神経を使う必要はなかったが、外枠が痛かった。何とか前に壁を作ることはできたが、そこは歴史的な超スローの流れ。正面スタンド前では首を上げて掛ってしまった。それでも、ガツンと掛ることはなかったし、タメはできていた。1角からかなり入れ替わりの激しい流れとなるも、内田博は焦ることなくジッと我慢。3角の上りから下り坂も慎重に運び、4角で一気に手綱をしごく。直線は大外へ持ち出すと、一気に末脚で先団へ。ラスト1ハロン地点で勝ち馬に並びかけるも、そこから脚色が同じになり差し切ることはできなかった。大トビだけに上滑りする馬場も影響したか。鞍上の判断は絶妙だった。

 3着にはナムラクレセントが入った。発馬で跳び上がる感じとなり、行き脚がつかず。直後に手綱をしごいてポディションを取りに行き、一周目の上り坂で中団のインまで取り付く。だが、元々が行きたがる気性であり、直後には下り坂が待っている。しかも、流れが落ち着いたことで案の定、掛ってしまう。幸い、インに潜り込んだことで前に壁ができていたのは良かった。一向にペースの上がらない流れに業を煮やした鞍上は、2角から向こう正面入口にかけて一気に仕掛けてハナ奪う積極策に打って出る。ここから一気にレースの流れが速くなる。三分三厘の下り坂を利して11秒7-11秒4とペースを上げると、4角で先行各馬が次々と脱落。直線入口では突き抜ける形となる。自身もかなり辛い流れであるのは間違いないが、鞍上の懸命のステッキに応えて粘りに粘る。さすがにラスト1ハロンは12秒8と脚が鈍って差されてしまったが、途中で動いた馬総崩れの流れで唯一、掲示板を確保したのは立派。強靭なスタミナを見せてくれた。

 マカニビスティー、トウカイトリックが驚きの掲示板を確保した。人気が全くなく気楽に乗れる立場。道中で色気を出さずにジッと後方で我慢し、直線もロスなく内を立ち回ったのが幸いした。両馬とも折り合いに全く不安がなく、スタミナがあるのもよかった。勝ち時計、上がり時計が掛ったのもよかった。

 マイネルキッツは残念な騎乗だったし、レースを乱してしまった。発馬でそれほど行き脚がつかず手綱をしごいて中団に取り付く。直後に迎えた下り坂で若干、気負った走り。最初の4角では前のトゥザの直後までポディションを上げる。歴史的な超スローであるため、普段は掛り癖のない同馬でも行きたがってしまう。更に前のトゥザもモロに掛ってしまったことで、2角でハナを奪う予想外の展開。これに応戦し、キッツも3番手までポディションを上げるが、かなり気負った走り。2角から向こう正面にかけて折り合いに専念したいトゥザがハナに立ったことで更にペースが落ちる。それに業を煮やしたナムラがハナを奪い、更にはローズキングダムも外から被せてくる。これに反応した松岡が手綱をしごいてポディションを上げたことで完全に馬のリズムが崩れてしまった。長距離戦でこれだけ手綱をしごいたり引っ張ったりしては力を発揮できないのは当然だ。4角で早くも手応えが怪しくなり、直線は伸び切れなかった。それでも、大きくバテずに最後まで走り切ったのは、さずが一昨年の覇者だ。一昨年のようにテンは急がせずタメる形を取るのがベストだった。鞍上の自信が落とし穴となってしまった。

ペルーサはまだトモがパンとしていないだけに、やや重の力の要る馬場での長距離戦は厳しかったか。たしかに正面スタンド前では前に壁を作れずに折り合いを欠いていた。トモが緩いだけに馬場に脚を取られた危険性もある。

 ローズキングダムはレース前から少し気負っていた。レースへ行っても発馬後から掛ってしまい、鞍上が制御できていなかった。正面スタンド前では頭を上げてモロに掛ってしまった。更に、ペースの落ち着いた向こう正面でナムラクレセントがハナを奪いに行ったのに反応してしまい、一気にポディションを上げてしまう。流れを考えれば我慢させるべきだった。これだけ気負ったキングダムは初めて見た。これでは直線で伸びるはずもなく、馬群に沈んでしまった。

 


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