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迷歩録  とうい

2017-03-02 10:12:59 | 日記
  雷に  驚く新芽  身をかがめ  雨に叩かれ  静かに耐える


                            ひのひら  ろくべえ 


    「とうい」とは、当意即妙(とういそくみょう)の「とうい」である。この「とうい」とはその場の状況で

   とっさに考えること。即妙とは即座に浮かぶ機知とある(広辞苑)つまり当意即妙とは、その場の状況に応じ

   て、素早く機転をきかすことをいうらしい。この当意即妙なる技は対人援助の場ではなくてはならない技術、

   この当意即妙の行動ができるかできないかは、クライアントの命までも左右することになる。あるいは人生の

   転機を与えることにもなりかねないのである。

    しかし、この技は習得するまでの多くの時間を要する。一夜にしてなせる技ではない、日常的な知識の積み

   重ねと、そのことを実践する心構えと、様々な経験を積み重ねてできる技であろう。だからこそ貴重なのだが

   道半ばにしてほとんどの者が、諦めてしまう技でもある。

    この技を持ってる対人援助者は日頃は昼行燈のように、技を光らせない、しかしいざ鎌倉という時にその力

   を、技を発揮する。日常的な場面では技があるのかないのかわかりにくい、しかし、その身のこなし行動、言

   葉を掴めばその人が、当意即妙の業師であることが了解できる。そのような人を見本にして、その真似を行う

   ことから行えば、遠からず、当意即妙の技を身につけることができるのではないだろうか。

    現代人は、空気を読むとか、空気を察するとか、状況を把握することが苦手と聞く、そのことから逃げては

   ますますできないだけになる。そうではなくコンピュウターにできない、空気を掴み、即座に機転をきかすと

   いう。人間の感覚を磨き五感から六感まで活かした対人援助ができることを目指すならば、必ずやクライアン

   トに満足感を感じてもらえる援助というものできるのではないだろうか。

    人間はその時その場で変化をしながら生きている。この水のように流れている人間の命の動きを当意即妙で

   感じ掴み、そのことに応えることができる援助者を目指したいものである。