再び、『野性の実践』から。
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世界はただ見ているだけではない、耳を澄ましてもいる。
(中略)
人間以外の存在は、自分たちが殺され食料として食べられるのを気にしてはいない。
だがそのさい彼らは、喜びと感謝の言葉が人間の口から聞かれることを期待しており、
自分たちが粗末に扱われることをひどく嫌う。
(中略)
アイヌの人々は、「シカ、サケ、そしてクマは我々の音楽が好きで、人間の言葉に魅せられるのだ」と言う。
だから彼らは、狩りの獲物に歌を贈り、感謝の言葉を口にする。
ときに彼らのために踊り、それなりのお返しをする。
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これは、「祭り」の本当の意義ではないかと思います。
たくさんの恵みをありがとう、と、感謝をこめて、
歌、踊りを捧げる。
神社の神さまは、すべてのいのちの代表者だと、わたしは考えます。
神社の神さまから、伝えてもらうのです。
わたしたちの糧となってくれた、たくさんのいのちたちよ、本当にありがとう、と。
あなた方の好きな歌を歌い、踊るから、どうか楽しんでください、と。
アイヌの人たちや、世界の先住民の人たちは、大自然との対話を大切にしながら暮らしていたのですね。
とても理想的な在り方だったと思います。
現代のわたしたちにも、「祭り」が残されています。
そして、こんなに素晴らしい言葉を受け継いでいます。
“いただきます”
“ごちそうさまでした”
大切に、言おう。
みんなが耳を澄ましている、それを感じとりながら。
みんなの心に届くように。
そっと。