詩集『いのちへ』に収めた詩のなかの、ひとつです。
『ちいさな手』
私をひっぱる
ちいさな手
やわらかで懸命で
私のこころがぎゅっとなる
いつの日か
その手は
だれかを包み支えるのだろう
そしていつか
悲しみに震える時
悩み立ち尽くす時
幼い頃にその手を包んだ
幾多の手を
思い出せますよう
遠い昔、
ちいさな手を握りしめた大きな手が、ありました。
どこへでも飛んでいってしまう、怖いもの知らずの、ちいさな手。
つなぎとめる大きな手がなければ、今そこにいることは、できなかったかもしれません。
もし、その手が見えなくても、
なかったように思われても、
確かに、誰かに守られ、いまそこに生きています。
そして、その手にこめられた思いは、ずっと、残っていくのかもしれません。
そうでありますように・・・
誰もが、母の子。
華やかな贈り物は、なにも持たないけど、
おかあさん、
ありがとう。