懐かしい人が、会いに来てくれました。
駅に降り立ったその人は、
人目をひく、圧倒的な存在感。
新緑のような麻のチュニックに、やはり麻の海色のモモンガパンツ。
全て手縫いです。
地球がやってきたような感じ!
彼女は、友だちであり、尊敬するアーティスト。
シンガーでもあり、パフォーマーでもあります。
再会の挨拶もそこそこに、創作活動の話に花が咲きます。
「詩って、どんなふうに書くの?」
「常に待っている感じ。ある時不意に降りてくるの。」
「なるほど~」
「いまは、どんな絵を描いているの?」
「うまく言えないんだけど、平面と立体が合わさったものとか、ミクロとマクロ、そういうのが描きたいんだよね~。」
「ほお~。」
小さなカフェに落ち着くと、彼女は持ってきた作品を見せてくれました。
この人は、心に起こる、ほんのかすかな変化を、色と動きで表現することができます。
ダイナミックに。
繊細に。
美しく不思議な七色の絵に、ため息が出ます。
多彩な才能を持つ人。
地に足をつけて、「生きている」と実感することが大好きな人。
身に付けるものは全て手作り。
どこにもない、誰も持っていないようなものばかり。
わたしには、見えました。
彼女そのものが、素晴らしいアート。
絵も、手作りの作品も、彼女が大自然で見いだすものも(写真として)、全てひっくるめた個展のようなものを、いつか開くことになるでしょう。
そして彼女は、それらをパフォーマンスとして表現していくことにもなるでしょう。
そんな未来が見えて、楽しくなりました。
帰りがけ、わたしの大好きな野原にお連れしました。
緑溢れ、風は気持ちよく通り抜け、小川は楽しげに流れていきます。
ウグイスが鳴いています。
牛蛙も鳴いています。
彼女は、ウグイスに牛蛙に、面白い声で応えます。
歌うような、挨拶のような。
人目なんて気にしません。
彼女は自分を「生きている」のですもの。
「また急に連絡します。」
別れ際の、言葉。
彼女らしくて、いい。
「いつでも、急に、連絡してね。」
わたしも、応えます。
自分を思いきり自由に生きている人。
さよならの後も心地いい。
わたしもわたしを生きましょう。
静かな力が溢れ、空を見上げると、
きれいな夕焼けが始まっていました。