教育相談室 かけはし 小中連携版

ある小学校に設置された教育相談室。発行する新聞「かけはし」が、やがて小・中3校を結ぶ校区新聞に発展しました。

事故の未然防止とは~エキスポランド事故を考える

2007年05月14日 | ニュースを読む
安全は保障されていなかった
5月5日エキスポランドで起きたジェットコースター死亡事故は、身近な施設で起きた事故であるため大きな衝撃を受けました。風神に乗ったことのある保護者や生徒の皆さんもいたのではないでしょうか(私は乗りました)。生と死を分け隔てていたのは全くの偶然だったのです。

安全と技術の軽視様々な事実が明らかになるたびに驚かされました。春の定期検査が営業の都合でゴールデンウィーク明けに回されたこと、記者会見を行った会社幹部に金属疲労の認識がまったくなかったこと、風神の営業開始後15年の間に一度も車軸が交換されなかったこと、補修点検会社は金属疲労の影響を考え8年をめどに車軸を交換するように指摘していたこと、過去30年間に28人もの命が遊園地事故で奪われていたことが国に報告されていたこと、にもかかわらず国からは各施設に対して事故の教訓はおろか事故情報すら伝えていなかったことなどがそうです。

営業や利益の前に安全や技術がないがしろにされた結果引き起こされる事故が後を絶ちません。技術立国日本と言われた栄光は遠い過去のものなのでしょうか。

ジェットコースターを止めることはできたか?
もしジェットコースターを運行している係員が「いつもと音が違う」と気付く、あるいは乗客から「この前乗った時より揺れが激しいように思う」という指摘を受けたなら、係員はどのような行動がとれたでしょうか。勇気を持って上司にジェットコースターの運行中止と点検を訴えたとしたら、どのような結果になったでしょうか。
考えられる結果①「運行中止などとんでもない。今まで事故は起こっていないしゴールデンウィーク終了後に点検するのだから余計なことを考えるな。」と怒られ上司から睨(にら)まれる②万が一、「混乱の責任は私がとる」と上司が言って運行を停止しても並んでいたお客様からは猛烈な抗議を受ける。このどちらかのケースが起きるのではないでしょうか。「事件は会議室で起きているんじゃない!現場で起きている!」という有名な台詞(せりふ)がありますが、現場判断が大切にされにくい現在の状況下で②のような結論は考えにくいでしょう。そもそも現場を大切にしている企業や役所なら、しっかりした安全マニュアルがあり、このような緊急事態は発生しなかったはずです。

事故が起こる度に、仕事や安全のあり方について問い直す必要があると思います。