へちま細太郎

大学院生のへちま細太郎を主人公にしたお話。

にがうり豆太郎

2006-12-05 20:03:17 | へちま細太郎
こんばんは、ぼく、にがうり豆太郎といいます。
はじめまして。

ぼくは小学校4年生です。
家族は、おじいちゃんとおばあちゃん、そしておかあさんです。
ぼくのおかあさんは、とても美人です。35歳ですが、とても若くみえます。自まんのおかあさんです。
おかあさんは、おじいちゃんおばあちゃんといつも喧嘩をしています。原因は、お医者さんにならなかったことと、お医者さんと結婚しなかったこにあるみたいです。
ぼくのおとうさんは残念ながらお医者さんではなかったみたいです。
どんな人かあったことがありません。おかあさんが好きになる人だから、きっと男らしくてかっこいい人なんだと思います。
でも、結婚を反対された時、かけおちしたみたいですけど、最後までおかあさんを守って欲しかったと思います。
どんな人かなあ、おとうさん。 会いたいなあ。 ぼくと野球やってくれるかなあ。大好きな植物採集も一緒にしてくれるかなあ。
おかあさんはテニスが好きで、ぼくにテニスをしようと言うのですが、ぼくはテニスが嫌いです。おかあさんはほんとははげしいスポーツはしちゃいけないはずなのに、すぐ熱を出すのにテニスだけは健康のため、と言って時々やっています。
壁打ちだけどね。
先週の金曜日に、ぼくの学校で持久走大会がありました。がんばったら好きなものを買ってくれると約束したのに、
「豆太郎、テニスのラケットを買いに行くわよ」
と、いきなり言い出して、ぼくはびっくりしました。
「おかあさん、ぼくテニス嫌いだよ」
と何度も言いましたが、
「豆ちゃんはテニスをやるの」
ときいてくれません。ただでさえ、うるさいおばあちゃんが、
「豆太郎は医者になるの。絶対にならなくちゃだめなの」
としつこく言うのでうんざりしているのに、おかあさんまでそんなことを言うなんてひどい。
ぼくはぼくでやりたいことがあるんだ。
ぼくはおとうさんに会って、ぼくの話をきいてもらうのが夢。そして、ぼくは植物学者になるんだ。いつかネットでみた孟宗学院大の中島教授みたいに、きれいな蘭の花を咲かせることが夢なんだ。
だからぼく、金曜日の夜から準備をして家出をしたんです。孟宗学院大の中島教授に会いに行こう、と決心をして…。
ところが、電車を乗り過ごしちゃって、美都駅というところに着いちゃった。どうしていいかわからなかったから、まずはごはんを食べてから移動しようと考えました。
駅前のへんな銅像の下でおにぎりを食べました。この銅像は、ここの殿様だった人らしく、そういえばテレビでも『美都田吾作』というタイトルで時代劇やってました。山盛り茶わんとお箸を持ったへんな殿様の銅像です。
そして、高速バスに乗れば直通で孟宗学院大にいけることがわかったので、バス乗り場に行こうとしました。
そしたら、
「細太郎
と、誰かに声をかけられていきなりおこられちゃった。
「ぼく、かけるじゃないよ、つばさだよ」
そしたら、かっこいいお兄さんの方がびっくりしてぼくの顔を見たんです。 もう1人の変な銅像によく似たハンサムなおじさん?は首をかしげていました。
「ぼく、つばさだよ」

細太郎の決心

2006-12-05 17:29:49 | へちま細太郎

こんばんは、へちま細太郎です。

ぼくはいきなり知らないおばさんから、
「つばさくん」
と声をかけられ、腕をつかまえられてずるずると引きずられていきました。
おばさんは、ぼくをつかまえたまま携帯で、
「つばさ君を見つけました。ええ、無事です。上野の科学博物館にいました」
と話しています。
「何だよ、ぼくはつばさなんかじゃないぞ、翔って名前だっ
と、おばさんの手をふりほどこうとしましたが、すごい力でつかんでいるのでできません。
「何を言っているんです、いいから来なさい」
おばさんはぼくをかかえあげると、近くの駐車場に停まっている車にぼくを押し込めると、
「だめよ、出ちゃ」
ときつく言葉をかけてにらみました。
こわくなんかないけど、走っている車から飛び降りるなんて、無謀なことするもんか。
ぼくは、明日、無事で帰る、と書置きしてきた以上、ぼくはちゃんと家に帰らなくちゃいけません。
今頃、どんなにかおとうさんやおばあちゃん、おじいちゃんが心配していることでしょう。
ぼくは、今になってとんでもないことをしたと思い始めました。思い始めた以上、無事で帰らなくちゃいけません。
このおばさん、ぼくを誘拐するのかもしれない。
でも、ぼくのうちは貧乏な公務員だぞ。あ、でも、よく藤川先生といるから間違えているのかな?ぼくが若様に見えるなんて、まんざらでもない。
それとも、ぼくのおかあさんのうちがお医者さまだってどっかで調べた人が、ぼくを誘拐したのかもしれない。
というか、ぼくのために、おかあさんの家の人が身代金を出してくれるのかな。出してくれないかもしれない。出してくれるのなら、ぼくに会いに来てくれたはずだものね。
車は高速道路を走って、都心からどんどん離れていきます。
ぼくは、ここからどうやって逃げようか、それを一生けんめい考えていました。