宇宙そのものであるモナド

生命または精神ともよびうるモナドは宇宙そのものである

本来的な《死へ臨む存在》は《可能性の中への先駆》である!死に臨む存在は本質的に不安である! ハイデガー『存在と時間』(1927)「第1部」「第2編」「第1章」「第53節」

2019-12-19 12:09:14 | Weblog
※「第1部 現存在を時間性へむかって解釈し、存在への問いの超越的地平として時間を究明する」「第2編 現存在と時間性」「第1章 現存在の可能的な全体存在と、死へ臨む存在」「第53節 本来的な《死へ臨む存在》の実存論的投企」

(4)「死へ臨む存在」として可能性へむかう存在は、《可能性の中への先駆(※先を走ること)》である!
H「『死へ臨む存在』として可能性へむかう存在は、《この存在において、かつこの存在にとって、死が可能性としてあらわになる》というありさまで、死へむかって関わり合うはずのものである。」(262頁)
H-2 「このありさまで可能性へむかう存在を、われわれは述語的に《可能性の中への先駆》(Vorlaufen in die Mö glichkeit)と言い表すこととする。」

(4)-2 可能性としての死は、いかなる「実現すべきもの」をも現存在に示さない!
H-3 この「可能的なるものへの接近」は「現実的なものを配慮的に利用する」ことでない。(262頁)
《感想4》ハイデガーは次のように言っている。「世界内存在は本質的に関心(気遣い)(Sorge)である」。ゆえに「用具的なものにたずさわる存在は配慮(Besorgen)として、そして内世界的に出会うほかの人びとの共同現存在との共同存在を待遇(Fursorge)としてとらえることができた。」(193頁)
H-4 「可能性としての死は、いかなる『実現すべきもの』をも現存在に示さず、また現存在が現実的なものとしてみずから成ることができるようないかなることをも、現存在に与えない。」(262頁)
H-5 「死とは、およそなにかに関わり合ういかなる態度も、いかなる実存も、すべて不可能になることの可能性なのである。」(262頁)
H-6 「先駆(Vorlaufen)とは実は、ひとごとでないもっとも極端な存在を了解することの可能性なのであり、とりもなおさず、本来的実存の可能性なのである。」(263頁)

(4)-3「本来的実存」としての「先駆的開示」!「本来的な《死へ臨む存在》の実存論的投企」!
H-7 「本来的実存」としての「先駆(※先を走ること)的開示」において、現存在は、「ひとごとでない、係累のない(※「ほかの現存在へのあらゆる連絡が解かれてしまう」こと)、追い越すことのできない(※死が最後で、その先に行けないこと)、確実で、それでいて無規定な可能性をまじりけなく了解」する。(263頁)

(4)-4 「死に臨む存在は、本質的に、不安である」!
I 「現存在自身のひとごとでない孤独化された(※つまり係累のない)存在のなかから立ちのぼってくる、たえまのない、絶対的な、おのれ自身の脅威を開放しておくことのできる心境は、不安である。」「死に臨む存在は、本質的に、不安である。」(266頁)
I-2 「死へ臨む存在は、不安を《臆病な恐怖心》へと錯倒」する。(266頁) 
I-3 「先駆(※「死へ臨む存在」として可能性へむかう存在)は現存在に世間的-自己(Man-selbst)への自己喪失を暴露し、現存在を引きだして、第一義的には配慮的待遇(die besorgende Fürsorge)に支持を求めることなく自己自身として存在することの可能性へ臨ませるが、その自己とは、世間(das Man、世人)のもろもろの幻想から解かれた、情熱的な、事実的な、おのれ自身を確承せる、不安にさらされている《死へ臨む自由》における自己なのである。」(266頁)
《感想4-2》「世間的-自己(Man-selbst)への自己喪失」は出来事の一部だ。実は、同時に誰もが、死を「本来的に」知っている。誰もが、「世間的-自己(Man-selbst)」として「非本来的」だと非難されると同時に、すでに「本来的」存在だ。「死に臨む存在は、本質的に、不安である」から、誰もがすでに、「本来的な《死へ臨む存在》の実存論的投企」をしつつ生きている。ハイデガーは「世間(das Man、世人)」を「非本来的」と呼ぶが、正確には「世間(das Man、世人)」という類型化された世界、つまり言葉に介される世界は、「非本来的」であると同時に、「本来的」でもある。
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