『晴れた日には・・・』

日々の雑感を綴ります。

一重(ひとじゅう)

2021年08月22日 | 雑感

十数年前まで、このあたりの地区では、

地区内の寄り合い(飲み食いを伴う)があると、

皆さんが、一重(ひとじゅう)持って集まる風習がありました。

 

「ケイタリング」などという言葉もシステムもなかったころの話です。

 

台所を受け持つ女衆は、

自慢の漬物や季節の野菜の和え物などを重箱に詰めて

男衆に持たせました。

そうした場所に女衆が顔をそろえることは、年に二回のみ。

正月の新年会と、集落のお祭り。

その時に、ようやく人ん家の、重箱の中身を目にするのです。

 

私が社会人になって家にいるようになったころ、

そうした寄り合いがあると、

母に、重箱の中身を作るよう頼まれることが多くなりました。

「若い感覚で・・・」と頼まれるのです。

要するに、このあたりのおばあさんたちは作りそうもないもの、

このあたりでは珍しいもの、なんかを期待されるのでした。

 

何を作ったかはもう忘れましたけれど、

寒天料理やマリネなんかを作っていたと思います。

 

今は、若い人たちが地区内を仕切っていますから

まず、こうした飲み食いを伴う寄り合いそのものが縮小されました。

(今は、コロナ禍ですから全く開催されていませんが)

集落のお祭りにはケイタリングの料理が並びます。

役員だから、と思い

漬物を持たせようとすると、逆に叱られます。

 

なにか一品を作るのは、面倒なことでもありますが、

それが会話の種になったり、料理を教わったり、

そんなコミュニケーションの一つでもあったことを考えると

そうした風習が消えていくことに

寂しさを覚えます。

 

 

 

 

 

 

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