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缶詰blog

世界中の缶詰を食べまくるぞ!

フランスの羊肉煮込み

2017-12-14 13:07:32 | 

読者諸賢よ!

今回はフランスの缶詰を紹介申し上げたい。かつてモン・サン・ミッシェルに行ったときに、その対岸にあったスーパーで買ったものだ。

その周囲は広大な牧草地で、羊の放牧が行われていた。潮風をたっぷり浴びたミネラル豊富な牧草が、美味しい羊を育てるらしい。

 

こんな感じ。モン・サン・ミシェルの前にもおりました(2010年撮影)

 

で、そんな羊の名産地で羊肉の缶詰が売っていたという判りやすい話なのであります。

では早速開けてみましょう。

 

開缶!

っと、肉が見えないぞ。豆と人参ばかりである。

この細長い豆はフラジオレット豆というらしい。羊肉と煮込むのは定番料理でもあるようだ。

いつもなら缶ごと湯せんして温めるのだけど、今回は量が多い(400g)ので鍋に開けて温めようと思う。

 

かくのごとし。

なかなか激しいマトン臭がしております。

この匂いだけはどうにもならない。マトン好きじゃないと厳しいかもしれぬ。

しかしそのマトンには焦げ目がついており、缶に詰めるまえにちゃんと炙ったことが判る。なかなか手の込んだことではある。

では、まず肉をひと口...。

しっとりして柔らかく、かつ羊肉らしい歯応えもある。

味付けは基本的に塩味らしい。それもかなり薄く、塩を振りたくなる。

フラジオレット豆はフォークで簡単に潰れるほど柔らかい。わずかにパプリカやピーマンのような風味がある。

ソースの粘度は高い。脂がかなり入っているようだが、きっとマトンの脂も溶け込んでいると思う。

いかにもフランス料理らしいこってりしたソースだが、やはり塩気は薄い。

これに唐辛子やにんにく、クミンなど香辛料&ハーブ類を足せば、メリハリが利いて万人向けになると思う。

でもまあ、塩味ベースのこんなナチュラルテイストもいいものであります。

 

原材料名:野菜(フラジオレット豆37.5% 、人参2.5%)、ソース(水、小麦粉、濃縮トマト、ひまわり油、香料、塩、調味料、オーブンで黄金色に焼いた羊肉(って書いてあるのだ)26%、ソース、砂糖、塩、安定剤

原産国:フランス

参考価格:

573円(4.3ユーロ)

 





MEAT&GREEN 熟成肉缶

2017-08-14 13:08:07 | 

今日はナウい缶詰をご紹介。

GINZA SIXで買ってきた缶詰なのであります。

地下2階の「MEAT&GREEN 旬熟成」で売られていたもので、牛焼肉、牛しぐれ煮、タンドリーチキン、ハーブオイルチキンの4種があった。

 

今回は牛焼肉(ラベル表記は熟成肉缶)を開けようと思う。

なぜかと申すに、同店は熟成肉と無農薬有機栽培の野菜がウリなのだ。

だからこの牛焼肉缶にも熟成牛肉が使われているわけで、いわば同店の顔といってもいい商品だ。

お値段はなんと1,680円。期待(ハードル)が高まるではないか。

 

開缶!

何やらモダンアートのように見えるが、醤油ベースのタレに脂が浮いているのでこんな写りになった。

あらかじめ湯せんで温めれば良かった。すみませぬ。

 

あらためて湯せんで温め、器に盛りつけた。

見た目には焼肉というより、佃煮のようである。

この写真では盛りつけのためにタレを少しだけ注いだが、実際はタレがもっとたくさん入っている。

では、失敬してひと口...。

やっ。

肉の食感がぽろぽろしている。長時間加熱し、水分をしっかり飛ばしたときの食感である。

そこに甘辛いタレが染みこんでいる。

やはりこれは佃煮でありましょう。

世の中には牛肉の佃煮というものがあり、それがきっと、こういう味わいなのだと思う。

僕は食べたことがありませんが。

(牛肉を佃煮にするなんてもったいないという貧乏心から)

 

かくのごとし。

この缶詰の食べ方は、熱々のご飯に肉を乗せ、タレも一緒にかけてかっこむのがいいようだ。

このタレは、抜群にウマい。

いわゆる砂糖醤油の素朴な味だが、甘みがほとんどなく、醤油のきりっとしたしょっぱさが立っている。

すごく美味しいけど、すごくしょっぱいので、ご飯にかけるときは用心すべし。

 

 

内容総量:200g

固形量:100g

原材料名:牛肉、みりん(もち米、米麹、醸造アルコール)、醤油、砂糖、調味料(アミノ酸等)

原産国:日本(販売・フードイズム、製造・いわき遠野らぱん)

希望小売価格:1,680円

 

 


くじらは海のジビエだ! くじらの和ヒージョ缶登場!

2017-04-21 08:48:27 | 

読者諸賢よ!

ついに、博士缶修のまったく新しいくじら缶「くじらの和ヒージョ」が缶成しましたぞ。

造り手は宮城の「木の屋石巻水産」

同社は伝統的にくじら大和煮缶を造ってきたメーカーであります。

昨今は「金華さば味噌煮」缶ですっかり有名だが、実はくじら肉の扱いにかけてはプロ中のプロなのだ。

 

 

 

開缶。

食材をオリーブオイルで煮込む “アヒージョ” の手法を取っているが、その味付けにはひと工夫凝らしている。

それは和風ということ。

だから「和ヒージョ」(ダジャレです)。

厚削り節、干し椎茸などから出汁を引き出し、くじら肉に浸漬させている。

そのくじら肉は、あらかじめ冷温で2週間熟成し(ここ凄いとこです)、丁寧に筋などを取り除いてから使う。

ほかには唐辛子と、にんにくを粒のままころりと投入。

 

 

かくのごとし。

くじら肉は歯応えがあり、噛みしめるとまず、しょうゆ関係の和の味が来る。

次にくじら肉そのもののうまみ(熟成させたうまみだ)と、かつお節や干し椎茸のうまみが混合してやって来る。

これがたまらぬ。

そこんとこに、トロトロに柔らかくなったにんにくをまぶして食べてもウマい。

付け合わせる野菜はクレソン、ルッコラなど、風味の強いものが良く合う。

 

 

「くじらを和風のアヒージョにしませんか」

という僕の思い付きを木の屋石巻水産が受け止めて、開発に取りかかったのは2014年のこと。

試作し、味の方向を両者で確認しながら、和のテイストを磨いていった。

初めはくじら肉を砂糖醤油に浸けてみたのだが、その後に砂糖は不要となった。

同社S氏の提案で、新たに厚削り節と干し椎茸も加えられた。

そうして試作と試食を繰り返し、味のバランスを調整して、ついに缶成したこの「くじらの和ヒージョ」缶。

パッケージのイラストと商品名は僕の手描きであります。

ぜひぜひ、食べていただきたいのであります。

 

 

内容総量:150g

固形量:90g

原材料名:ひげ鯨、食用オリーブ油、食用大豆油、にんにく、しいたけ、かつお節、唐辛子、食塩、混合削り節、しょうゆ

原産国:日本(宮城県石巻市・木の屋石巻水産)

希望小売価格:630円(税込)


愛おし缶。フランスのポークパテ缶 

2017-03-05 08:53:06 | 

肉の缶詰には心が躍る。

「この缶の中いっぱいに肉が詰まってるんだ...!」

そう思うと、愛おしくてたまらない。

愛おしいあまりに開けられず、何年も手元に置いてあったりする。

で、こちらもそんな愛おし缶のひとつ。2010年にフランスで買ったポークパテ缶であります。

賞味期限を過ぎて4年も経っているのだが、そんなのは些細な事であります。

 

開缶!

表面に脂肪が浮き、その下の肉には焦げ目がついている。

缶に「オーブン焼き」と書いてあるから、一度焼いて表面に焦げ目をつけてから缶に充填したのか。

いや、きっと缶に充填してから表面だけを炙ったのだと思う(そのほうが簡単だ)。

 

さて、これをきれいに取り出すにはどうするか。

缶を両手でつかみ、側面をもみもみしてみる。

すると、内側に貼りついていた肉がはがれたので、逆さまにしてトントンしてやった。それですっと出てきた。

 

かくのごとし。

逆さまに出したので缶底部が上になったわけだが、そこには焦げ目がついてなかった。

つけあわせにバゲットを切り、マスタードも用意した。

ひと口分をナイフで切り取って、まずはそのままいただく。

むっ。甘くて、香ばしい匂いがする。ウマいです。

豚肉そのものに焼きたてのパンのような匂いがある。そこにブランデー的な香りも加わっているらしく、それが甘い匂いにつながっている。

肉の合間にレバーも混ざっていて、そこを噛むとレバーらしい風味がある。

しかし、飲み込んでしばらくすると、舌の上にかすかな渋みが残った。

酸っぱ辛いマスタードをつければまったく気にならない程度ではある。

きっと、賞味期限を過ぎて、味の経年劣化が起こったのでありましょう。

 

缶の裏を見ると、油性ペンで「2.14ユーロ」と値段が記してあった。

今のレートで計算すると260円。かなりリーズナブルなパテ缶でありました。

 

内容量:200g

原材料名:豚脂肪、豚レバー(最大で29.5%)、水、小麦粉、卵、外皮(豚皮のことか?)、塩、香料、砂糖、アルマニャック

原産国:フランス 

 

 

 


缶ごと焼く肉のパイ、ですと?!

2016-12-30 15:23:10 | 

2016年最後の缶詰として、イギリスの珍缶をご紹介したい。肉のパイの缶詰である。

缶蓋に「ステーキ&キドニー」と書いてるから、肉とキドニー(腎臓)が具に入っているようだ。

ほかの箇所にも「ビーフとポーク・キドニーがグレイビーソースに入ってます」的な表記がある。

僕はこれをロンドンのスーパーで買った。今年の夏、取材とイベントで渡英したときのことである。

パイの缶詰が珍しいのと、缶が大きかったことに一目惚れして、迷わずカートに入れてしまった。

一体どれくらいの大きさかというと...。

 

このくらいである。

手前のいわし蒲焼缶と比較すると、その大きさがよく判ると思う。

上蓋の直径が15.5cm。厚みは3.5cmもあるのだ。

大きい缶詰というのは、訳もなく人を缶動させる。

缶動させるだけでなく、買わせてしまうパワーも持っている。

お値段は1ポンド50セント。日本円にして215円。

缶動の大きさのわりには安価なのがやや、気になった。

 

ともあれ、買い物の後に行なったイベントで、これをお客さんに見せて

「こんなの買ったんだけど、中身はどんなの?」

と訊いてみたら、一人のおじさんがこう言ったのだ。

「それはオーブンに入れて焼いてから食べるんだよ」

な、何ですと?!

 

そのおじさんは酔っぱらっていたので(イベントで酒も提供した)、その時はきっとジョークを言っているのだと思った。

日本では、缶ごとオーブン焼きさせるような缶詰はない。

なぜなら、缶は調理器具ではなく保存容器であるからして、直火に掛けたら

「どうなるか保証しませんよ」

と、日本の製缶会社は言っているのだ。

ところが、この缶詰の裏側には(上の画像)

「フタを取ったら230℃に余熱したオーブンで25分〜30分くらい焼いてくれろ」

的なことが書いてある。

あの酔っぱらいおじさんの言っていたことは本当だったのであります。

 

じゃあ中はどうなっているのか。

こうなってました。半生っぽいパイ生地がたっぷり入ってます。

フタを開けた瞬缶、ちょっと甘いパイの匂いとグレイビーソースの匂いが広がった。

とてもいい匂いである。

 

我が家のオーブンはあまり信用できない奴なので、魚焼きグリルで焼くことにした。

イギリスのオーブン文化も素晴らしいが、日本の魚焼きグリルだって優秀なのである。

温度を設定することは出来ないが、うまく使えばサラマンダー(上火オーブン)と同じような料理が可能なのだ。

どうだマイッタカ!

 

ということで調理開始。

一番弱火にして、まずは9分間加熱してみる。

 

途中で好奇心に負けて引き出してみた。

半生っぽく見えたパイの表面が少しずつ焼け、焦げ目が出来はじめている。

いい缶じであります。

ただ、匂いが気になった。加熱前はしなかったモツ臭が漂い始めたのだ。

 

合計12分ほど焼いたところで出来上がりとした。

フチ部分が熱く焼けてふつふつとはぜている。見た目はものすごく美味しそうである。

しかしモツ臭は激しい。

 

かくのごとし。

周囲が缶内面に貼りつくことなく、すっと取れるのがいい。

缶底にはグレイビーソースがたっぷり入っていたが、それはゼラチン的なもので固まっているようで、ぷるぷるしている。

とにもかくにも、ひと口...。

むっ。

パイがさくさくで、その食感はちょっとした缶動である。

確かに焼いた効果があるわけだ。

しかし、中の肉&腎臓がけっこう臭い。

モツ好きの人でもやや眉をひそめるくらいの匂いである。

だが、開高健も言っていた。

「腎臓料理というのは、少しおしっこ臭いくらいじゃないといけない」

このパイの肉は、おしっこ臭くはない。

ないが、腎臓の鮮度、もしくは洗浄などの下拵えがイマイチだったのではないか。

しかしまあ、決して不味くはないのだ。

 

ということで、2016年の締めくくりはやや臭い肉のパイ&スコッチとした。

みなさま、どうぞ良い年をお迎え下さい。

 

 

内容量:425g

原材料名:水(欧米の缶詰は水も原材料に含めて表記する)、パイ生地27%、マーガリン、牛肉12%、豚の腎臓9%、安定剤(キサンタンガム)、加工したとうもろこしでん粉、小麦粉、塩、コショウ、スパイス、酵母エキス、香料、トマトペースト、大麦麦芽エキス、牛肉エキス、チコリエキス、砂糖、カラメル色素、トマト、にんにく、ひまわり油

 

原産国:イギリス