ロシアとアメリカの関係。
昨年(2016年)の米大統領選挙のころ、ロシアが米ネットへ不正侵入したのではないか、という疑いがありますが、私は正直に申し上げて、どちらの言い分が正しいのか、まだ分かりません。アメリカ側はロシアが侵入したと言い、ロシア側は否定しています。
かつてアメリカは
「イラクに大量破壊兵器が存在する可能性がある」としてイラク戦争に踏み切ったのですが、のちに「大量破壊兵器はなかった」ことを認めたのですから、ニセ情報によって戦争を起こしてしまったことが知られています。
よって今回アメリカが発表した「ロシアが米大統領選挙へ不正介入した」もまたニセ情報に違いないだろう、と直感的には思われますが、現段階ではまだ「ロシアによる不正介入がなかった」とも言えないようです。
一方ロシア(ソ連)は
アフガニスタンへ侵攻(1979年)し10年にわたって武力介入し続け、結局失敗したのがソ連崩壊(1991年)の遠因となったのかも知れず、ウクライナ領クリミア半島武力併合(2014年)についても独善的な説明に終始しており、また国家ぐるみの薬物隠蔽疑惑発覚(2014年)でも謝罪どころか疑惑を否定し続けており、ロシアの「介入していない」という声明にも充分過ぎるほどの疑いがある、と言えます。
よって今回ロシアが「米ネットへの不正侵入はなかった」といくら強調しても、信頼に至らないとする人がいるのです。
つまり
ロシアによる米民主党・共和党へのサイバーテロは、限りなく真実に近いとは思われるものの、まだ断定できない段階だと言えます。
こんなロシアに対して、「敵対的・攻撃的」ではなく、「親和的・友好的」に対抗しようとする米大統領トランプですが・・・・・・
先日、副大統領ペンス、国防長官マティス、国務長官ティラーソンらがヨーロッパへ出かけましたが、NATO同盟国やヨーロッパを尊重するらしく、先に大統領トランプが打上げた妙な方向へのアドバルーンを修正・弁明し続けているように見えます。
トランプが不動産取り引きで身に付けたと思われる「最初に脅しておき有利な取り引きにもち込もうとする商売人の駆け引き」が政治の世界で通じるのかどうか、でしょうか。
ロシアは、この閣僚たちの弁明に対して、失望やいらだちを感じている(朝日新聞 2017年2月20日)とも報道されています。
これでトランプ政権は
ヨーロッパでは妙にNATOやEUに肩入れし
親ロシアの噂を否定したことになりますが、娘婿がユダヤ人だからなのかどうか奇妙なほど親イスラエル的で、雪どけムードが漂っていたのにイランをも敵視しはじめ、在イスラエル米大使館移設にも関連して、中東に大混乱をもたらしそうです。
アジアでは日本に肩入れしつつあるように見えますが
まだ対中国の姿勢が明確でないようで、今回の北朝鮮が金正恩をマレーシアで暗殺したとみられる朝鮮半島問題についても明確な姿勢を示していません。
かりに明確に示したとしても、周辺閣僚がまたまた弁明に追われるのでしょうか。
しかし全般的にみてロシアは
かつてないほどの好機が到来したとみなしていることでしょう。
3年ほど前の原油高から一転して、原油安になり、OPECの減産宣言もあり、いま徐々に原油安から脱出しようとしていますから、原油関連の輸出国としてロシアは心安らかにならないはずがありませんね。
ただしウクライナ領クリミア半島武力併合(2014年)や国家ぐるみの薬物隠蔽(2014年)などでロシアは経済制裁されたままですから、どん底を終えたかも知れませんが、まだまだ苦境が続きそうです。
こんな時に米大統領トランプがどのようなロシア政策を実施するか、興味あるところです。
さてさて、皆様はどう思われますか。