新石垣空港建設もアメリカのため 12月23日

来年度予算内示前日の12月19日、国交省はとうとう、新石垣空港の設置を許可した。耐震強度偽装問題で揺れる国交省は、そのどさくさに紛れて、懸案だった新石垣空港建設にGOサインを出してしまったのだ。小池環境大臣は、コウモリなどの稀少生物やサンゴ礁の保護あるいは赤土流出問題に対する具体的な対処方法を、あらためて評価書に記載するよう評価書の再修正を求める意見書を発表するなど、誰の目から見ても、新石垣空港の建設は、環境破壊以外の何ものでもないのだ。

新石垣空港の建設は、ジャンボが飛ぶことによる経済的なメリットよりも、環境破壊によるデメリットのほうがはるかに大きい。建設推進派が主張するように、現行の石垣空港の改修では不十分であったとしても、新石垣空港建設によるデメリットと比較すれば、はるかに許容できるものだ。

そもそも、現石垣空港は、決して飽和状態ではない。高額な運賃は、客足を遠ざける。便数が追いつかないと表現されるのは、ダイビングのシーズンなどごく限られた時期のみだ。地元経済界は、貨物輸送の強化を大義名分として掲げているが、いくらジャンボで大量輸送しても、販路が確保されない以上、特産物の売れ行きは、現状を打破することはできないのだ。ソフトが伴わないうちに、ハードを先行させても無意味なのだ。

観光産業が主流の沖縄の振興を考える上で最も重要なことは、沖縄の付加価値を上げることだ。それには、北半球一のサンゴ礁を誇る八重山の美しい海を、世界自然遺産に登録し、国をあげて八重山諸島の自然を守り育むことが不可欠なのだ。仮に新石垣空港ができジャンボが往復するようになれば、常識的に考えて航空運賃は上がることはあっても下がりはしない。大量輸送が可能になっても、オフシーズンの観光客には限界がある。

地元経済界が言うように貨物の輸送量を増やしたいのなら、国内の航空会社がパイロット養成に使用している、宮古島の下地空港を利用すれば済むことだ。風の便りで聞こえてくるように、仮に石垣島と宮古島に相容れない島人同士の隔たりがあるとするならば、わかり合えるよう説得するのが県や国の務めというものだし、真に沖縄の発展を願うなら、目先の公共事業に期待する建設業者などの地元住民を、正しい方向に導いていくのが国の責任というものだ。

一縷の望みは、滑走路予定地のド真ん中に、建設反対派630名が保有する1,500㎡に及ぶ未収用の土地が存在するという事実だ。この土地が収容されない限り、滑走路の建設は不可能だ。630名の共同地主の1人である私のところへも、沖縄県の担当部署より、再三にわたり土地の所有権を放棄するよう要請が来ている。勿論、私は最後まで譲らない構えだ。新石垣空港建設は、長い目で見て、絶対に沖縄に利益をもたらすものではないからだ。

結局のところ、国交省は、米軍の再編問題に絡んで、沖縄県が要望する「新石垣空港2,500m滑走路」を速やかに実現して、キャンプシュワブ沿岸案を了承して欲しいだけなのだ。沖縄の未来に責任を持っているわけでは、決してないのだ。観光客や貨物の輸送量がパワーアップするという名目は、まさしく建前でしかなく、ここでも米国優先の政策が実行されようとしているにすぎないのだ。

ジュゴンの生息に影響を及ぼしかねない米軍基地の辺野古沖移設問題では、このまま地元との折り合いがつかなければ、権限を知事から国に移行させるため、与党は「特措法」の制定もじさない構えだ。アメポチ・ネオコン路線は、決定的に日本を崩壊へと導いていく。アメリカのために、日本はどこまで身を削るつもりなのかと、小泉総理に問いただしたい。小泉総理になって、世界の中で日本人を取り巻く環境は、劣化の一途をたどっている。アメポチ・ネオコン・ハリボテ小泉改革は、必ず日本を滅ぼす。次の国政選挙では、大きな軌道修正が必要だ。民主党は、そのための受け皿になり得る政党に、一刻も早く脱皮しなければならないのだ。
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