首長の任期は2期8年 10月3日

逮捕も間近と言われる佐藤栄佐久知事が辞職して、10月26日告示・11月12日投票の福島県知事選挙が新たに行われることとなった。この出直し選挙へ向けて、今日、自民党福島県連は、新しい県知事候補とは、「2期8年」の任期を前提に政策協定を結ぶと、明確に発表した。

既に民主党では、首長の4選以上は推薦しないことを決めているが、自民党福島県連の更に踏み込んだ「2期8年」の決定は、非常に評価できる。佐藤栄佐久前福島県知事の官製談合疑惑は、明らかに5期18年にわたる多選の弊害であることは言うまでもない。福島県に限らず、全国の自治体で多選による弊害、即ち税金のムダ遣いの例は数多く見られ、そこでついに自民党福島県連は、多選の弊害を防止するために、「知事の任期は10年以内」とすることで一致し、3期12年では結果的に多選を許し緊張感がなくなる可能性があるため、思いきって「2期8年」を打ち出したというわけだ。

自民党福島県連の決定は、結果的に民主政治の本質に叶っている。1人の人間に権力が集中する最大の事例は、なんといっても米国大統領だ。しかし米国では、憲法の規定によって、大統領の任期は最大2期8年と定められている。一方、現在の日本の政権与党である自民党総裁も、2期6年迄とされている。1人の人間が、権力の重責を背負って、市民・国民のために全力を傾注するとしたら、やはり2期8年が限界なのだ。冷静に考えれば当然だ。身が持たない。

日本での「マニフェスト」は、もともと北川正恭元三重県知事が提唱したものだ。北川元知事は、期限を区切った公約という意味で「マニフェスト」という概念を打ち出した人物だ。首長となるべき人は、2期8年で自らの公約を実現・実行すべく、予め政策課題に優先順位をつけ準備を怠らぬ努力が必要なのだ。願いが叶って首長に就任した暁には、直ちに具体策に着手しなければならない。そんな具体的準備と緊張感のある行政こそが、本来、市民・住民のための行政たり得るものなのだ。

では、その点、発足直後の安倍新内閣はどうだろう。政権につく可能性は、数ヶ月前から非常に高いと言われていた。本来なら、政権発足後に実現・実行する政策の具体的な準備が出来ていなければおかしいが、少なくとも所信表明演説を聴く限りにおいては、その片鱗すら感じられなかった。憲法改正・集団的自衛権・消費税増税などは、全てこれからの検討課題であるとした一方で、やる気を見せている教育基本法・共謀罪・防衛省設置法などは、小泉政権からの継承案件にすぎない。安部新内閣には、「マニフェスト」に当たるものが、実はまったくないのだ。これでは、時の情勢に流されて、ただ政権を維持するだけの政権でしかなくなることは明白だ。こんな安倍政権に、2期6年の任期はまったく必要なく、来年7月の参院選をもって終止符を打つことが、何より日本国民のためなのだ。

民主党は、次期総選挙前までに、政権をとった場合の「最大2期8年以内のマニフェスト」を今から具体的に準備し、明快に国民の前に示す責任と義務がある。「政治は生活である」というキーワードを合言葉に、民主党と国民とが一体となって、必要な具体的な政策を、法案の形で打ち出していくことが、今から求められているのだ。衆参ダブル選挙の可能性もあるのだから、民主党はまず何よりも、「年金改革法案」を早急にまとめなければならないのだ。
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