goo blog サービス終了のお知らせ 

高橋尚子選手と徹底したBSE対策 11月20日

人々の心を揺るがすほどのほとばしるパワーで駆け抜けた高橋尚子選手に、私たちが感謝したい。高橋選手の走る勇姿は、私たちに大きな勇気を与えてくれた。体中からメッセージを発信しながら駆け抜けた高橋選手の味わい深い人間力が、よどんだ精神を綺麗にろ過してくれたようで、なんだか気分が高揚する。どんなに偉い人の一言よりも、高橋選手の走る姿は、私たちに多くのことを教えてくれた。高橋選手の一歩一歩が、それぞれの人々の心を、それぞれの形で揺さぶったに違いない。近年稀に見る、感動のレースだった。

さて、今月29日まで、食品安全委員会は広く一般からのパブリックコメントを募集しているが、アメポチ小泉内閣は、年内の米国産牛肉の輸入再開を事実上決めている。最近は、新聞をはじめメディアの情報が、少なからず政府によって操作されている。今日も識者とされる有名なコメンテイターが、「危険をはらんでいるのは、米国産牛肉だけではない。野菜だって危ないものはある。米国産牛肉についてさわぎすぎだ。輸入再開は妥当だ。」とコメントしていた。なんと無責任な発言だろう。日本国民の食の安全を、いったい何と心得ているのだろうか。見識を疑いたくなる。暗に、中国からの輸入野菜は、農薬にまみれていると認めているのか!?しかし、そんな中国野菜を食べたからといって、直ちに死ぬわけではないが、異常プリオンに感染した牛肉を食べ、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病を発症してしまったら、人間は死ぬのだ。このコメンテイターは、薬害エイズの教訓を忘れてしまっている。

世界的な鳥インフルエンザの大発生は、鶏舎がいかに不衛生であるかを物語っている。「米国において、牛由来の肉骨粉、動物性油脂及び血漿たん白質を豚及び鶏に与えることは禁止されていないこと、養鶏残渣及び鶏ふんを牛に与えることは禁止されておらず、肉骨粉入りの飼料が混入している可能性があること、豚及び鶏に与えられた異常プリオンたん白質はふんとして排出され、それが牛に与えられる可能性があること、牛のSRM(特定危険部位)由来の肉骨粉及び動物性油脂が生産されていること、牛のSRM由来動物性油脂及び血漿たん白質を原材料とした飼料が牛に与えられる可能性があること、伝達性ミンク脳症及びシカの慢性消耗病の発生状況、それらの疾病に罹患したミンク及びシカがレンダリングされ、牛に飼料として与えられる可能性並びにシカの摂取歴のあるクロイツフェルト・ヤコブ病患者が存在することについては、食品安全委員会プリオン専門調査会において調査審議が行われている。」と、先の川内議員の質問主意書に対する答弁書には回答されている。これは、米国における飼料規制が非常に不十分であることを認める記述であり、この事実のみをもってしても、とても米国産牛肉が安全だと認めるわけにはいかない。

輸入が再開されたからといって、直ちに米国産牛肉を使用することはしないとする牛丼チェーンもある。政府のお墨付きさえ出れば、消費者の食の安全は二の次に、米国産牛肉を使用して儲けようとする牛丼チェーンとは、明らかにその姿勢に違いがあり評価できる。安くて美味しいにこしたことはないが、牛肉に限らず食材のクオリティは最重要だ。生産者のはっきりしない1個10円にも満たない鶏卵を、食べる気にはとてもならないご時勢なのだ。

私たち大人は、自ら選択するチャンスがあるが、強制的に学校給食を与えられる子どもたちの安全を守る責任は、いったい誰にあるのだろうか。先の総選挙では、食育をかかげ当選した料理研究家もいる。議員になったからには、その公約を全うすべく、100%安全なものだけが子どもたちの口に入るよう、給食現場のチェックを怠らないで欲しいものだ。少なくとも私は、現状では米国産牛肉を子どもたちに食べさせることには反対だ。これを機に、学校給食は地産地消を原則として、すべての食材のトレイサビリティを子どもたちに示し、郷土の農業の重要性を日々の食事からも学べるチャンスをつくって欲しい。

高橋尚子選手は、夢を持ち努力する権利は、すべての人々に平等に与えられていると訴え、人々に感動を与えた。米国産牛肉の問題も、適当になし崩すのではなく、輸入を再開するのなら、徹底的に米国と話し合い、米国でのBSE根絶のための十分な対策を要請し(勿論日本も、なお一層の対策の徹底を行う)、100%安全な牛肉が日本の食卓を彩るその日を、目指すべきだと私は思う。

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

米国産牛肉:給食が危ないっ! 11月1日

このまま米国産牛肉の輸入が再開されたら、日本の子どもたちが、危機に直面する。食品安全委員会プリオン専門調査会の吉川座長自身が認めているように、米国産牛肉がもたらすリスクが、日本の牛肉のそれと同等以下であるということは、いまだ科学的には証明されていない。つまり、輸入解禁を容認する結論を下した今も、米国産牛肉が非常にリスクのある肉であることに相違はないのだ。

それなのに、米政府と米連邦議会に押しに押され、日本政府はプレッシャーに耐え切れず、年内の輸入再開に踏み切らざるを得ないとの判断を下そうとしている。仮に、年明け、スーパーの店頭に米国産牛肉が並んだとしても、明らかにリスクが払拭されていないものを、日本の賢い消費者が選ぶとは思わない。安かろう悪かろうでは、家庭を預かる主婦の面目丸つぶれだ。ましてや、成長期の子どもたちに、そんなリスクのある米国産牛肉を、とても食べさせるわけにはいかないのだ。

米国では、現在、狂鹿病が大流行しており、ヤコブ病に似た症状が、鹿ハンターからも出ているとの報告がある。鹿は、見事な「角」を作るために、鹿の肉骨粉を飼料とする場合があるのだ。所謂、レンダリングだ。狂鹿病に汚染しているかもしれない鹿の肉骨粉は、鶏の飼料になり、その鶏の糞や鶏舎に散らかる肉骨粉が、牛に与えられている。牛の飼料になる100万tの鶏糞の3割が、肉骨粉だ。その事実を知るプリオン専門調査会の心ある委員は、当然だが内心穏やかではないはずだ。

BSEに犯されている可能性のある肉骨粉が、牛の飼料として使用されているのに、現在のところ、それは殆ど規制されていない。勿論、牛自身のSRM(特定危険部位)も、レンダリングされている。飼料規制がまったく不十分な状態で、「月齢20ヶ月以下で、SRMを完全に除去した牛に限り輸入する」と言われても、とても納得のできるものではない。若すぎて発症しないだけで、異常プリオンが潜在している可能性を決して否定できないからだ。

家庭での食事の安全は、米国産牛肉を買わないことでなんとかキープできる。しかし、一番問題なのは、学校給食だ。地産地消を実践し、地元の食材を使用している給食は安心だが、給食を民間に外注している場合は、安価な輸入品を使用している可能性を捨てきれない。子どもは食材を選べない。プリオン専門調査会の吉川座長は、「買うか買わないかは消費者の選択だ」と、最後は本音を吐いている。政府は、その責任において、学校給食には北米産牛肉を使用しないと、決定すべきだ。

万が一、政府が学校給食への対応を怠るならば、子どもを守れるのは親だけだ。給食の牛肉のトレーサビリティがはっきりしないようなら、親は学校に対して、北米産牛肉を使用しないよう要求すべきだ。多くの高所得層の米国民は、日本に輸出するレベルの牛肉を食べてはいない。彼らは、オーガニックつまり有機牛肉を食べている。日本に圧力をかけている連邦議会議員たちは、本当に無責任だ。自分たちは食べない肉を、日本に押し付けるのだから。そして、日本政府あるいはプリオン専門調査会の委員たちも、米国産牛肉を好んで食べることはないだろう。実態を知っているからだ。輸入解禁にGOサインを出す人たちが食べないものを、どうして安心・安全と言えるだろうか!!

政府は、輸入解禁の暁には、杉村太蔵議員あたりに米国産牛肉を使った牛丼を食べさせて、「ウマイ・ウマイ」とパフォーマンスをさせるつもりなのだろうが、とにかく何が何でも、学校給食に使用することだけはやめて欲しい。子どもたちが、かわいそうだ。子どもに、米国産牛肉を、絶対に食べさせてはいけない!
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

食品安全委員会プリオン専門調査会と自民党財政改革研究会 10月24日

今日、食品安全委員会プリオン専門調査会が開催されたが、輸入再開となる結論部分に異論も出て、次回以降へと先送りとなったようだ。そりゃそうだ。

①全頭検査の実施②厳格な飼料規制③SRM(特定危険部位)の除去④トレーサビリティの確立、これら4本柱で、日本のBSE対策は行われている。しかし、米国のそれは、4本柱すべてにおいて、むしろ日本と同等のものはない、と言ったほうがよい状況だ。

今日の調査会では、米国産牛肉と国産牛肉とのリスクの差は非常に小さいという結論でほぼ合意したとの報道もあるが、それは郵政民営化以上に、メディアの先走り、「飛ばし」報道と言える。先の4本柱が、完全に食い違っているのに、どこが「リスクに差がない」ということになるのだろう。調査会の専門委員も、皆、そのことはわかっている。現状では、米国産牛肉には多大なリスクがあるのだ。

そもそも、輸入再開をしつこく迫るアメリカの連邦議会の議員たちは、日本に輸出しようとする「牛肉」を、実は、食べていないのではないか!?アメリカの上流階級(高所得者)の近年のブームは、オーガニック。牛肉も例外ではなく、自然の牧草などを食べた「有機牛肉」を摂取しているそうだ。日本に輸出しようとしている「牛肉」は、米国の低所得層が食べているものであって、米国議会は、自分たちが食べない肉を、日本に押し付けようとしているのだ。冗談じゃない!!

一応、今日の会合では、問題はまだまだ未解決との認識で一致したようだ。誰が見ても明らかなように、現状の米国産牛肉はリスクがありすぎる。そんな牛肉を、無理やり日本に輸入再開させても、賢い日本の消費者は、決して買ったりしない。米国との間で、付け焼刃的な約束は、絶対にしないことが重要だ。

さて、自民党財政改革研究会は、2007年度、所得税と個人住民税に関する定率減税を、廃止すると提言した。一般的なサラリーマン家庭で、年間数万円の増税となる。サラリーマンに増税を課すのなら、当然のこととして公務員の総人件費と公共事業費の削減が先に来なくてはならない。国と地方とを合わせてそれぞれ約40兆円もあるこれらの予算を、20~30%削減することは、喫緊の最重要課題だ。

勿論、公務員の生首を切るということではなくて、高級官僚の天下りを廃止することと、天下りの温床である特殊法人を全廃することが肝心なのだ。そして、団塊の世代の大量退職による欠員の不補充で、公務員の総人件費の削減は可能となるのだ。また、普天間移設の問題とダブルパンチで沖縄の海に衝撃を与えようとしている、新石垣空港建設問題。こんな、あまりにも生態系を無視した、「人間よがり」の無謀極まりない公共事業を、絶対に許してはならない。あらゆる観点から考えて、八重山の美しい海を傷つけてまで新石垣空港を造らなければならない意義を、私はまったく見出せない。そんな、環境破壊以外の何ものでもない公共事業を、止める勇気が必要だ。

さらに、医療福祉関係の歳出の伸びを抑制することも必須。医療費は、今回の厚労省試案にあるように、2025年度の総医療費を49兆円、国民所得比9.1%に抑えること。そして、懸案の年金財源は、消費税を「年金目的税」と限定し、それを基礎年金の財源に充てることが必要なのだ。自民党財政改革研究会のように、消費税を「医療・年金・介護」と社会保障全般にあてるという案は、結局は、目的を限定しないことと同じだ。やはり「消費税=基礎年金」という構図が、一番わかりやすくて合理的なのだ。

プライマリーバランスの赤字をゼロにしても、更に国と地方とを合わせて、約20兆円の赤字が残るのだから、消費税の年金目的税化は、避けては通れない間近に迫った問題だ。消費税を上げることは、誰もが嫌がることだ。しかし、それでも、やらなければ、国の財政は破綻する。議員年金を廃止して、公務員の総人件費と公共事業費を削減した上で、消費税の全額を基礎年金の財源にあてるということで、国民の納得を得るしか方法はないと、私は思う。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

まだ、米国産牛肉は食べられない 6月25日

BSEの危険性がないことをアピールするために、TVカメラの前で庶民には手の届かない高級和牛を食べてみせたピンボケ武部農水大臣(当時)のパフォーマンスに、輪をかけてお粗末だったのが、国内2頭目のBSE感染牛を出した米国ジョハンズ農務長官の釈明の弁だ。

「スーパーで買った牛肉を食べてBSEに感染するよりも、スーパーに行く間に交通事故に遭う確率の方が高い」と、公式の記者会見の場で述べたのだから、さすがの米国の消費者でさえ、これにはブーイングだ。第一、BSE感染牛に遭遇する確率が交通事故に遭う確率ほど高かったら、米国の消費者はとても牛肉など食べられない。

更に、「BSE検査を行った37万頭(正確には38万8千頭)のうちの1頭なのだ」と、確率の低さをアピールしたジョハンズ氏だが、米国ではほぼ100頭につき1頭しかBSE検査を行っておらず、感染牛が1頭出たということは、100頭のBSE感染牛が米国で発見されたということを意味するのだ。米国では、多くの「へたり牛」が、検査もされずそのまま市場に出されている。

ジョハンズ氏のこんないい加減な発言に、消費者が納得するわけがない。記者会見でジョハンズ氏は、「ランチで牛肉を食べてきた」と笑って語っていた。食べたい人は自分の責任で食べればよいが、食べたくない日本の消費者までをも巻き込まないでもらいたい。

ジョハンズ氏の暴言に、内閣府食品安全委員会プリオン専門調査会・座長代理の金子清俊東京医大教授も、「輸入再開は先送りしたほうがよい」と明確に意見した。本調査会が農水省すなわち米国の意向に忠実である傾向が強い中、金子氏だけが役人に踊らされていることへの警戒感をあらわにし、調査会でも消費者本位の姿勢を貫いている。私たちは、金子氏の頑張りに期待するしかない。

今では米国の消費者連盟も、月齢20ヶ月以上の子牛を対象に全頭検査を実施して欲しいと、米政府に要望しているそうだ。いよいよ、日本の全頭検査の在り方が、世界のスタンダードになりつつあるのだ。私たち日本人が、米政府の政官業癒着構造の犠牲になる必要性はまったくない。

聞けば米国の畜産の実態は、そら恐ろしい。BSE検査がなされないままの、解体後の牛が、特定危険部位も含め肉骨粉として豚や鶏の飼料となる。それらの豚や鶏は、レンダルングによってふたたび牛の飼料にされるのだ。この「とも食い」の連鎖こそが、BSE発生の最大の危険因子だと、「もう牛を食べても安心か」の著者・青山学院大学教授・福岡伸一氏は述べている。

日本は既に、豚や鶏の飼料も含め肉骨粉の製造・輸入を全面的に禁止している。米国畜産業界は、人類に与えられた神聖なルールを侵し続けているのだ。この禁じ手を正さない限り米国に未来はないし、その悪影響が日本をはじめ世界各国にもたらされることになるのだ。日本は今後も全頭検査体制を継続し、米国は一刻も早く、日本同様のウェスタンブロット法による全頭検査体制をとるべきだ。

米国のポチ・小泉政権の横暴によって、検査のあまい米国産牛肉が日本人の口に入る日が来ないよう、プリオン専門調査会座長代理・金子清俊教授をはじめ心ある専門家そして消費者との連携を密にして、民主党はこれまで以上に頑張らなければならない。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

BSEと年次改革要望書 6月11日

米国で2頭目のBSE牛が見つかったようだ。今回、なんと「初めて」、日本でも英国でも活用しているウェスタンブロット法を実施し、3頭のうち1頭が陽性となったのだ。米国は急遽、検体の更なる検査を英国に依頼した。最終結果が出るまでには数日かかるというが、日本では、ウェスタンブロット法の陽性をもって、BSEを確定しているのだから、いかに米国の検査体制が緩慢でいい加減なものであるかがうかがえる。

しかも、米国でのBSE検査は、アットランダム。1頭みつかれば150頭のBSE感染牛がいると推定されている。こんな杜撰な米国食肉業界の実態を目の当たりにして、それでも尚、米国産牛肉の早期輸入再開を、日本国民は望むだろうか。仮に輸入再開され、マクドナルドが米国産牛肉を使用すれば、本当に残念だけれど、私はマックには行かない。薬害エイズの轍を踏まないように、いよいよ政府は、BSE問題に「真面目」に取り組むべきだのだ。

毎年10月に公表される日本政府への米国政府の年次改革要望書に、「郵政民営化」は明示されている。民営化し、金融部門(特に保険関連)への米国系金融機関の参入を認めるよう「要望」されているのだ。

1993年の宮沢・クリントン合意により、1994年来毎年10月になると、日本政府への米国政府からの細かい要望が提示される。これまでは要望の大半が、法律や制度を改正してまで実行に移されてきた。郵政民営化問題の担当職員は、おそらく今、頭を抱えているだろう。従来のように、米国の要望をそのまま飲んで良い課題だとは、とても思えないに違いないだろうからだ。

年次改革要望書は、どう考えても紛れもない米国の圧力による日本政治への介入すなわち「内政干渉」そのものではないか!靖国神社参拝問題を内政干渉と言うなら、年次改革要望書は、もっと性質の悪い内政干渉だ。民主党政権になったら絶対に、内政干渉の権化たる「年次改革要望書」は断固廃止すべきだ。次期総選挙・参議院選挙のマニフェストには、「年次改革要望書の廃止」を、必ず盛り込んでもらいたい。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

“食の安全”研究議員連盟 6月4日

米国産牛肉の輸入再開が、いよいよ迫ってきた。世論の圧倒的多数が、米国の圧力に屈した形での輸入再開を拒否しているにもかかわらず、政府はそれを無視している。国民を守るどころか、単なる米国のポチに成り下がっているのだ。

米国に日本国内と同等の措置を求めるならば、全頭検査・SRM(特定危険部位)の除去・飼料規制・牛のトレーサビリティ、この四つの分野全てを対象とすべきだ。そのことを、米国の消費者も望んでいる。米国産牛肉の輸入を再開するために、日本の全頭検査基準を緩和するなんて、本末転倒。日本政府のやることは、矛盾だらけだ。この6月1日からは、1980年から1996年までの間、1日でも英国に滞在歴のある人の献血を禁止した。献血では、このように厳格な規制をとりながら、一方では、全頭検査を緩和する。政府は、いったいどっちを向いて仕事をしているのだろう。

そしてもう一つ気掛かりなのが、先ごろ武田薬品と米国ワイス社によって上市された抗リウマチ薬エンブレル(注)だ。海外で2例、エンブレル使用患者にクロイツフェルト・ヤコブ病が発症している。薬の製造過程に米国産子牛血清が使用されていることは、見逃せない。メーカーは、うち一例はヤコブ病でも変異型ではなかったとし、もう一例は患者が生存中なので調査不能だと主張している。しかも、変異型ではないとする証拠については、厚生労働省の要請にもかかわらず、提出していないのだ。厚生労働省は、メーカーの言い分をすべて丸呑みし、エンブレルの上市を承認してしまったのだ。薬害エイズの教訓が、まったく生かされていない現状に、怒りを覚えざるを得ない。

そんな中、BSE問題を中心に“食の安全”研究議員連盟が設立された。会長は山田正彦衆議院議員、事務局長は川内博史議員。川内議員はこれまでもBSE問題は勿論、鹿児島黒豚偽装問題、それにかかわる全農の不正問題などに精力的に取り組んでいる。エンブレルについても、既に厚生労働省にヒアリング済で、今後の質問主意書も予定されている。必要なことを俊敏に取り組む川内議員の姿勢は、他に類を見ない。BSE問題でもまた、消費者本位を崩さない川内議員の情熱と集中力で、先頭に立って国民のために奮闘していただきたいものだ。

有名無実な議員連盟が数ある中、議連のお陰で法案に待ったをかけた例が過去に幾つかある。最近では著作権法改正問題でのエンタメ議連の活動だ。エンタメ議連が奮闘した結果、改正著作権法の本文修正はかなわなかったが、意味のある附帯決議は付けられた。その結果、数々の著作権法上の問題について、エンタメ議連を無視することが出来なくなったのだ。非常に大きな功績だ。エンタメ議連は、消費者・ユーザーとアーティスト・クリエーターの立場に立って、今後も積極的に活動を展開していく予定だ。“食の安全”研究議員連盟にも、消費者にとって実の有る活動を期待したい。

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

食品安全委員会答申 5月6日

BSEの検査対象を月齢21ヶ月以上の牛に限ることを容認する食品安全委員会の答申が、とうとう出た。食品安全委員会は、20ヶ月以下の牛のBSE検査を中止した場合、見逃されるBSEの牛の数は0.3~1.5頭以下と推定した。食品安全委員会は、「特定危険部位は除去され食肉は洗浄される」また「非常に若いために異常プリオンの蓄積も少ない」との見解を示し、20ヶ月以下の牛を検査対象からはずすリスクは極めて低いと結論づけた。

具体的にリスクをどこまで容認するかについては、リスク評価が任務の食品安全委員会の、それは仕事ではないと言い切った。リスク評価に基づいて、施策を講じるのは厚生労働省だと突っぱねた形だ。厚生労働省は、この答申に基づいて、6月には省令を改正し、BSE検査対象を月例21ヶ月以上に限定する。

食品安全委員会はリスクを評価することのみが仕事であって、施策を講じるのは厚生労働省だと言い、厚生労働省は、食品安全委員会の答申に基づき全頭検査を緩和する。よく考えると、ちょっとおかしな話で、お互いに非常に無責任と言えるが、実はすべてがデキレース。そもそも、昨年秋に、食品安全委員会が「全頭検査は必要ない」と自作自演の「中間とりまとめ」を出し諮問への呼び水とし、厚労省と農水省はそれを良いことに、今回の正式な答申を米国の言いなりになるための絶好の口実と考えたのだ。食品安全委員会と厚労省・農水省とのキャッチボールは、完全に互いがもたれ合うデキレースなのである。あさって8日には、厚労省と農水省のBSE調査団が渡米するそうだ。そのお土産に、どうしても今日のこの答申を必要としたのだ。

そもそも、輸入牛肉と国産牛肉とを同等に扱う必要性を、まったく感じない。日本の消費者は、安全性には非常に敏感だ。特定危険部位の除去と今まで通り全頭検査を実施することで、消費者の安心は保証されるのに、無理やり国産牛の全頭検査を解除することは、消費者の心理を傷つけはしても、得るものは何もない。厚生労働省は、自治体が独自に行なう全頭検査に対しては補助金を出すとしているが、だったら、初めから輸入牛肉と国産牛肉とは分けて考えるべきなのだ。

霞ヶ関の机上の空論は、いつもいつもピントがずれている。大手パッカーに支援される米国の国会議員らが、日本に早期の輸入再開を迫ってきた。しかし、米国の中小のパッカーなどは、全頭検査を実施することにやぶさかではないと証言しているのだ。米国の与党共和党議員もまた、日本同様に一部の企業に対する利益誘導マシーンであり、多くの庶民を切り捨てた政治を断行しているのだ。

本当に、こんなことで良いのだろうか。日本の食の安全は崩壊寸前だ。一つ崩れはじめると、いずれ怒涛の如く安全神話は崩壊する。今こそ、日本の国会議員が体を張って、日本国民を守るときだ。外遊結構。しかし、一番大切な日本国民の安全をないがしろにするようでは、そんな国会議員を選んだ国民も立つ瀬がない。議員自らが、高い倫理感と強い責任感とを持って、この難局に立ち向かってもらいたいものだ。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

全頭検査拒否の政府 3月29日

食品安全委員会プリオン専門調査会が、月齢20ヶ月以下の国産牛の全頭検査を「しない」方針を打ち出した。これまで350万頭にのぼる国産牛の全頭検査を行なったが、月齢20ヶ月以下のウシからのBSE検出は皆無だったことを一番の理由にあげている。スレスレの月齢21ヶ月と月齢23ヶ月のウシがBSEに感染しているのだが、その延髄における異常プリオンの濃度は、他の感染牛と比較して1/500~1/1,000と低かったことも主因にしている。

とてもこれだけの理由では、月齢20ヶ月以下の国産牛の全頭検査を「実施しない」ことの裏付けにはならない。あまりにも非科学的であって、説得力がなさすぎる。可能性がある以上、科学の力で徹底的にリスクをブロックすることが、リスクを知り得た者の責任というものだ。この期に及んで、「生産地(者)」と「BSE検査済み」であることが明示されていない牛肉を、たとえ国産牛であっても、消費者は手にはしないだろう。ましてや米国産牛なら、なお更だ。

売れない牛肉を店頭に並べることを、日本の酪農家は決して望んではいない。米国においても、中小のパッカーは、全頭検査の実施にやぶさかでなく、安全の太鼓判を押した牛肉を日本に輸出することを望んでいるのだ。米国で、検査もせずに日本に輸出しようとしているのは、大手の手荒いパッカーだけなのだ。

現在、全頭検査のコストは年間30億円。月齢20ヶ月未満のウシを検査対象からはずしても、コストに大きな差が出るとは思えない。政府が無作為なら、国産牛についてはまさに地方分権で、自治体が主体的に取り組むしかない。大量仕入れによる検査キットのコスト削減にも、取り組むべきだろう。本来、全農がその役割を果たすべきだが、・・・多分ムリ。日本の消費者は、政府が思う以上に賢い。トレーサビリティのはっきりしない牛肉を、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病のリスクにさらされてまで食べるとは思えない。

食品安全委員会プリオン専門調査会の委員は、東大教授を座長に国立大学や国立病院の教授や部長クラスの方々が名を連ねる。この件に関して、食品安全委員会はパブコメを募集している。消費者あるいは生産農家の考えも、調査会の答申と同様の扱いをして、もっと公正に真に国民が求めている方向に導く努力が政府には必要なのだ。今の政府は、米国のポチでしかない。

一番かわいそうなのは、生産農家の人たちだ。安心安全の太鼓判を押すことで、消費者も生産者も勿論小売り業者も、みんなハッピーになるのだ。米国の手荒な大手パッカーのためだけに、何故、日本人が犠牲になるのか、政府の姿勢がさっぱり理解できない。米国の圧力に屈する形で、日本の消費者を危険にさらす政府の見解は、絶対におかしい。

吉野家などの牛丼チェーンや牛タン・焼肉業界が、米国産牛肉の早期輸入再開を求める120万人分の署名を持って、今日、島村農水大臣を訪れたそうだ。これらの業界は、自分たちの経済的利益を優先している。業界の人々も、すべては「牛肉の安心・安全」が確保されてからの話であることを、忘れてはならない。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

BSE発言 3月4日 

学校給食で牛肉を使用しないことは常識を逸脱していると、武部幹事長が発言した。常識を逸脱しているとは少し大袈裟だが、学校給食こそ地産地消を実践するにふさわしい場であって、地元酪農家が生産した牛肉は、使ってしかるべきものだと思っている。BSE問題が解決しない以上、学校給食に牛肉は使えないというのであれば、学校給食では全て、輸入牛肉を使用しているということになる。

私たちが子孫永々と生きていくには、日本の緑を守り農業を発展させていかなければならない。地産地消を実践してこそ、川の上流に広がる豊かな緑へと心を寄せることができ、その保全育成へと意識も高まるというものだ。生産者の顔が見える食品なら、安心して食べられる。BSE問題が浮上して以降、日本の学校給食に牛肉が登場しなくなったということは、このような観点から、根本的に誤っている。

国内産の牛肉は、いまや全頭検査が実行されている。米国と異なり、消費者の安心のためと同時に、むしろ積極的にBSE感染牛を発見して感染ルートを解明することが目的の検査となっている。日本の場合は、死亡牛も含め感染牛が存在したならば、その出自を明確にして、原因究明をし日本からBSEを根絶することを検査の主眼に置いている。そんな日本の姿勢とはまったく裏腹の、殆どやっていないに等しい米国のBSE検査体制は容認できないし、輸入再開は到底承服できるものではない。

米国は、日本への輸出牛を月齢20ヶ月以下に限定したが、切断された牛肉のどこに月齢が刻まれているというのだろう。米国の言い分にこそ科学的根拠がなく、安全が保証されるとは言い難い。アメリカ人は、イギリス人のように牛の脳髄までしゃぶったりはせず、勿論内蔵にも手をつけず、ステーキやハンバーグに見られるように純粋に肉の部分しか食さない。従って、仮にBSE感染牛であったとしても、ヒトには感染しないのだとタカをくくっているのだ。

町村外相とライス女史との会談が終わり、島村農水相が語った言葉は、「全頭検査は世界の非常識」だ。食の安全の観点とBSE感染ルート解明のために不可欠である全頭検査を、真っ向から否定した島村農水相こそ非常識な人物だ。発言を撤回すると言ったそうだが、島村農水相は、本当の意味を理解しているのだろうかと不安になる。

安全の保証された牛肉を、消費者は求めるべきだ。日米関係を最優先するあまり、日本の消費者の安全確保が二の次になってしまったのでは、国家の責任が果たされたとは言えず本末転倒だ。武部幹事長や島村農水相と違って、日本の消費者の大半は、高価な国産牛にはなかなか手が出ない。牛丼に代表されるように、輸入牛の需要はある。しかし、検査体制が曖昧な米国産牛肉を食すリスクは、あまりにも高すぎる。日本の消費者を守り抜いてこそ、政府は使命を果たしたと言えるのではないだろうか。米国の圧力に押し切られぬよう、政府は踏ん張りどころだ。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
   次ページ »