都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「ブラティスラヴァ世界絵本原画展とチェコの人形劇」 千葉市美術館
千葉市美術館(千葉市中央区中央3-10-8)
「世界の絵本がやってきた ブラティスラヴァ世界絵本原画展とチェコの人形劇」
10/5-12/5
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4b/cc/40f4f35bf16f08ee3f200bff446235f4.jpg)
千葉市美術館で開催中の「ブラティスラヴァ世界絵本原画展とチェコの人形劇」へ行って来ました。
絵本原画展と聞くと、先だって板橋区美で紹介されたボローニャ国際絵本原画展も有名ですが、このスロヴァキアのブラティスラヴァ世界絵本原画展もそれに並ぶ世界最大規模の絵本のコンクール展です。(ともに同じ1967年に始まっています。)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/08/8f/fc0ab5d26d5733fb2ede90a66031daca.jpg)
マルチナ・マトロヴィチョヴァー「トレーシーの虎」
同展はこれまでに隔年で計22回ほど開かれてきましたが、いわゆる新人登竜門のボローニャとは違い、対象が出版済の絵本原画、つまりは既に出版界でキャリアを持つ作家を審査することで知られています。まさに「ベテランの作家の競演」(ちらしより引用)です。2009年の受賞作家、約20名(日本人作家を含む。)の作品が紹介されていました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7e/e2/03b749003c5a15ae33fb88967f21f9ac.jpg)
山口マオ「わにわにのおでかけ」
作風も内容も多様なので一概に言えませんが、私として魅力を感じたのはクレー画を連想させるピート・グロブラーの「色!いろいろ!」です。またもう一点、アンヌ・ベルティエの「文字を描いて」シリーズにも興味をそそられます。これはいわゆる文字を子どもに教えるための絵本ですが、左ページの文字から生まれた色々な単語の絵が右に描かれています。「S」が靴のヒール部分に変化するなどは思いもつきません。その発想の豊かさには終始感心させられました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6b/51/a43050be211501b43ee12ceda89940b6.jpg)
イジー・フデチェクによる家庭用劇場の人形より 「房糸をつけた悪魔」「角の生えた歯のある悪魔」「魔界の王子」「王様」 フルジム人形劇博物館蔵
さて後半のチェコの人形劇ですが、こちらこそ今回のハイライトとしても過言ではないかもしれません。そもそもスロヴァキアの隣国のチェコで人形劇が盛んだったとは初めて知りましたが、展示では19世紀以降、一般家庭向けに制作された何と170体にも及ぶ人形がそのセットと合わせて一同に会しています。ここは壮観です。何でもチェコの人形をまとまった形で展示するのは国内で初めてだそうですが、例えば悪魔しかり赤ずきんしかり、素朴ながらも様々な格好をした人形たちは見応え十分でした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5a/d9/ca421166477724002e8e29fbed369edd.jpg)
マルティーネクの劇場/ルドルフ・ハヴァラスによる家庭用劇場の人形より 「王様」「お姫様」 フルジム人形劇博物館蔵
またもう一つ見逃せないのは、実際の人気劇の映像が二本立てで放映されていることです。字幕はなく、筋を追うのは無理でしたが、動きの面白さなどは良く伝わってきます。映像はともに45分から55分前後と長めですが、一部でもかなり楽しめました。
最後には人形を実際に動かせる体験コーナーまでが用意されています。ここは少々長居して、人形を動かしながら遊びました。
なお会期中、人形を使ってのデモンストレーションや人形劇の上演もあります。ともに予約不要なのでそちらに参加されるのも良いかもしれません。
糸操り人形のデモンストレーション 11月14日(日)、27日(土)
各日2回開催 14:00―14:30・15:00―15:30/荒川純子(人形劇団プーク)
人形劇上演「えんどう豆の上にねたお姫さま」(原作:アンデルセン) 11月21日(日)
各日2回開催 13:00―13:20・15:00―15:20/人形劇団MあんどB
千葉市美術館のyoutubeチャンネルで会場風景の動画が公開されています。
「ブラティスラヴァ世界絵本原画展とチェコの人形劇」展会場風景@ChibaCityMuseumofArt
本邦初公開のチェコの人形、一見の価値ありです。12月5日まで開催されています。
「世界の絵本がやってきた ブラティスラヴァ世界絵本原画展とチェコの人形劇」
10/5-12/5
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千葉市美術館で開催中の「ブラティスラヴァ世界絵本原画展とチェコの人形劇」へ行って来ました。
絵本原画展と聞くと、先だって板橋区美で紹介されたボローニャ国際絵本原画展も有名ですが、このスロヴァキアのブラティスラヴァ世界絵本原画展もそれに並ぶ世界最大規模の絵本のコンクール展です。(ともに同じ1967年に始まっています。)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/08/8f/fc0ab5d26d5733fb2ede90a66031daca.jpg)
マルチナ・マトロヴィチョヴァー「トレーシーの虎」
同展はこれまでに隔年で計22回ほど開かれてきましたが、いわゆる新人登竜門のボローニャとは違い、対象が出版済の絵本原画、つまりは既に出版界でキャリアを持つ作家を審査することで知られています。まさに「ベテランの作家の競演」(ちらしより引用)です。2009年の受賞作家、約20名(日本人作家を含む。)の作品が紹介されていました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7e/e2/03b749003c5a15ae33fb88967f21f9ac.jpg)
山口マオ「わにわにのおでかけ」
作風も内容も多様なので一概に言えませんが、私として魅力を感じたのはクレー画を連想させるピート・グロブラーの「色!いろいろ!」です。またもう一点、アンヌ・ベルティエの「文字を描いて」シリーズにも興味をそそられます。これはいわゆる文字を子どもに教えるための絵本ですが、左ページの文字から生まれた色々な単語の絵が右に描かれています。「S」が靴のヒール部分に変化するなどは思いもつきません。その発想の豊かさには終始感心させられました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6b/51/a43050be211501b43ee12ceda89940b6.jpg)
イジー・フデチェクによる家庭用劇場の人形より 「房糸をつけた悪魔」「角の生えた歯のある悪魔」「魔界の王子」「王様」 フルジム人形劇博物館蔵
さて後半のチェコの人形劇ですが、こちらこそ今回のハイライトとしても過言ではないかもしれません。そもそもスロヴァキアの隣国のチェコで人形劇が盛んだったとは初めて知りましたが、展示では19世紀以降、一般家庭向けに制作された何と170体にも及ぶ人形がそのセットと合わせて一同に会しています。ここは壮観です。何でもチェコの人形をまとまった形で展示するのは国内で初めてだそうですが、例えば悪魔しかり赤ずきんしかり、素朴ながらも様々な格好をした人形たちは見応え十分でした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5a/d9/ca421166477724002e8e29fbed369edd.jpg)
マルティーネクの劇場/ルドルフ・ハヴァラスによる家庭用劇場の人形より 「王様」「お姫様」 フルジム人形劇博物館蔵
またもう一つ見逃せないのは、実際の人気劇の映像が二本立てで放映されていることです。字幕はなく、筋を追うのは無理でしたが、動きの面白さなどは良く伝わってきます。映像はともに45分から55分前後と長めですが、一部でもかなり楽しめました。
最後には人形を実際に動かせる体験コーナーまでが用意されています。ここは少々長居して、人形を動かしながら遊びました。
なお会期中、人形を使ってのデモンストレーションや人形劇の上演もあります。ともに予約不要なのでそちらに参加されるのも良いかもしれません。
糸操り人形のデモンストレーション 11月14日(日)、27日(土)
各日2回開催 14:00―14:30・15:00―15:30/荒川純子(人形劇団プーク)
人形劇上演「えんどう豆の上にねたお姫さま」(原作:アンデルセン) 11月21日(日)
各日2回開催 13:00―13:20・15:00―15:20/人形劇団MあんどB
千葉市美術館のyoutubeチャンネルで会場風景の動画が公開されています。
「ブラティスラヴァ世界絵本原画展とチェコの人形劇」展会場風景@ChibaCityMuseumofArt
本邦初公開のチェコの人形、一見の価値ありです。12月5日まで開催されています。
コメント ( 3 ) | Trackback ( 0 )
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人形劇を見てから人形を拝見したのですが
人形の凄さに本当に見入ってしまいました。
子供も楽しかったそうです。
BIBと称されもするブラティラスヴァ世界絵本原画展、今回は行けないので、楽しませてもらいました。
チェコの人形劇はまた機会があればぜひぜひぜひとも、おススメしたいです。
東欧の絵本原画は何故こんなに魅力的なのだろう、としばしば思うことがあります。
現代アートがニガテだといいつつ、絵本原画だけは常にリアルタイムで作品を追いたいと思ったりしてます。
こんばんは。コメントありがとうございます!
お子さんとお出かけでしたか!
人形劇は楽しかったでしょうねえ…。私も悪魔や色々な人形に目移りしてしまいました。多様です。
映像も楽しかったですよね。言葉はわかりませんでしたが、奇想天外な展開には驚きました。
@遊行さん
こんばんは。
>チェコの人形劇はまた機会があればぜひぜひぜひとも、おススメしたいです。
さすがです。ご存知でしたか!
あのような劇がチェコで歴史を持っていたとは知らず…。不覚でした。
>絵本原画
この前板橋でボローニャの原画展を見てから少しはまってます!
これからは欠かさず見ていきたいです。