「楽園創造(パラダイス)ー芸術と日常の新地平 vol.5 佐藤雅晴」 ギャラリーαM

ギャラリーαM
「楽園創造(パラダイス)ー芸術と日常の新地平 vol.5 佐藤雅晴」 
10/26-11/30



ギャラリーαMで開催中の「楽園創造(パラダイス)vol.5 佐藤雅晴」を見てきました。

いただいた一枚の上記DM。これを見た時、全くの予備知識も得ず、大変失礼ながら作家の活動を存じ上げなかった私は、何かペインティングの展示であろうと思い込んでいました。

まさに無知とはこのことです。会場で展開されているのは何と映像。その名は「ダテマキ」。7つの壁面を用いて、文字通り伊達巻きの制作工程をモチーフとしたアニメーションが展示されていたのです。



作家の佐藤雅晴は1973年に大分で生まれ、1999年に東京芸術大学大学院美術科の絵画専攻を修了。その後、ドイツに滞在し、現在は茨城県を拠点に活動。国内外において個展の他、文化庁メディア芸術祭や岡本太郎現代芸術賞展などに出品を重ねてきました。



さて伊達巻きの製造工程。完全なオートメーションです。ようは一切、人の手が加わっていません。映像でも機械が半ば淡々と動く様子のみが映し出されています。



工程は全部で7つです。原料の卵を混ぜ合わせ、型に流し込み、焼いて、また型から取り出す。面白いのは巻の工程がないことです。ともかくひたすらに黄色の溶液が流れ出してはコンベアで移動していく。一見するところ、伊達巻きはおろか、食品の製造過程だと分からないかもしれません。不思議です。

そこにこの作品の面白さがある。またそれぞれの工程も短く、次々と同じシーンが現れます。言ってしまえばミニマルです。



また映像もどこか絵画的だと言えはしないでしょうか。それこそ溶液がゆらゆらと揺れる様からは絵具の生々しい質感を連想する面も。そして映像、当然ながら動きのあるものですが、全体を追っていくと奇妙な静けさも感じられます。


丸又蒲鉾製造有限会社

なお本展の伊達巻きの製造工程は、かの東日本大震災で甚大な被害を受けた丸又蒲鉾製造有限会社(いわき市)に取材したのだそうです。会場内には製品案内のパンフレットも置かれていました。



伊達巻きの工程をアニメで表現する。しかもそれが何故か刹那的でもあり美しくもある。思いがけないほどに惹かれました。

11月30日までの開催です。おすすめします。

「楽園創造(パラダイス)ー芸術と日常の新地平 vol.5 佐藤雅晴」 ギャラリーαM@gallery_alpham
会期:10月26日(土)~11月30日(土)
休廊:日・月・祝。
時間:11:00~19:00
住所:千代田区東神田1-2-11 アガタ竹澤ビルB1F
交通:都営新宿線馬喰横山駅A1出口より徒歩2分、JR総武快速線馬喰町駅西口2番出口より徒歩2分、日比谷線小伝馬町駅2、4番出口より徒歩6分。

*写真は全て佐藤雅晴「ダテマキ」2013年/アニメーション/7チャンネル 音楽:スコット・アンライン
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