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東京国立博物館 「特別展 踊るサテュロス」

東京国立博物館(台東区上野公園)
「特別展 踊るサテュロス」
2/19~3/13

こんにちは。

今日は上野の国立博物館へ行ってきました。もちろん目当てはサテュロスです。愛知万博に合わせて来日したこの門外不出の美術品を、今だけ特別に東京で公開する展覧会…。究極ともいえる「一体のみの展示」ですが、「公開はこれが最初で最後となるでしょう。」(パンフレットより。)と宣伝されれば、どうしても観たくなるものです。じっくり鑑賞してきました。

サテュロスは、まるで跳ね動くのを無理矢理引き留められているかのように置かれています。全体としてはふくよかながらも引き締まった筋肉が浮き出る臀部と、その割にはすらっとした足の跳ね上がるような躍動感は、陶酔の頂点にある彼の官能を一挙に解放しているかのようです。上体は、外側から大きな力が加えられたのではないかと思わせるぐらい、グイッと回転するように反り返っています。胸部は極めて肉感的で、無骨な印象さえ受けます。失われた手は、むしろそれが「ある」よりも、彼の動きの自由度を高めて想像させる意味を持っているように感じました。そして頂点には髪を後ろになびかせた頭。少し口が開いているようにも見えて、それがあたかも酩酊の一時を示すようにも感じますが、全体的には意外と端正でやや無表情ではあります。一体何を想うのでしょう…。また、瞳の中央部分にはどのようなものがはまっていたのでしょうか。彼の眼光は、海底で長い間沈んでいたことによる倦怠からようやく解放されて、世紀を幾度も超えた上での新らたな生を享受する喜びを感じ始めているかのようです。

サテュロスは角度を少し変えて見ることで、様々な表情を生み出してくれます。私が一番美しく感じたのは、正面から見てやや左から眺めた時のサテュロスですが、下から舐め回すように見上げて鑑賞するのも、台座から離れて天井へ飛び立ってしまいたいかのような表現が楽しめると思いました。こうすると、「そこまで俺を眺めてどうする!」と言わんばかりの堂々たる彼が、前に立ちはだかって圧倒してきます。思わず仰け反ってしまいそうでした。

この像が造られたのは今から2000年以上も前なのだそうです。もちろん、そのまま残っていればそれもまた素晴らしい傑作として認められたのでしょう。ただ、誕生してから長い間海底で深い眠りにつき、再び人間の手で目覚めさせられたというところに、この像の大きなロマン性を感じます。人間の創造と偉大な自然の偶然、そしてそれがまた再び人間の手に還る。長い歴史を抱える芸術品は、歳月の積み重ねがさらなる威厳と魅力を生みだすようです。素晴らしいものを見せてもらいました。
コメント ( 4 ) | Trackback ( 0 )
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コメント
 
 
 
サテュロス舞う (Tak)
2005-03-13 00:29:35
こんばんは。

行かれましたね!サテュロス。

会期が短いので見逃しかねませんよね。



愛知万博のおかげでこうして

都内でも観られる(先に!)のは

ありがたいことです。



2000年以上も海の底で魚たちと

戯れていて、いきなり博物館では

サテュロスも大変ですね
 
 
 
Re.サテュロス舞う (はろるど)
2005-03-14 23:42:45
takさんこんばんは。



サテュロス展、終了したようですね。

いよいよ愛知入りです。輸送、大丈夫でしょうか…。



>2000年以上も海の底で魚たちと戯れていて、いきなり博物館ではサテュロスも大変ですね



しかもあの人だかり…。さぞ驚いたことでしょう!
 
 
 
Unknown (みどり)
2005-03-16 00:18:53
はろるどさん、こんばんは。TBありがとうございます。サチュロス像は今にもう動き出しそうな躍動感がありましたね。愛知ではどんな空間に展示されるんでしょうね・・・興味津々です。
 
 
 
みどりさん、こんばんは。 (はろるど)
2005-03-16 23:15:30
コメントありがとうございます。



>愛知ではどんな空間に展示される



そうですね。万博でもさぞかし人気者になると思います。

表慶館の展示は、とてもかっこよかったですから、

愛知の方も、美しく見せてくれると良いですね。
 
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