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「迷宮+美術館 コレクター砂盃富男が見た20世紀美術」 渋谷区立松濤美術館

渋谷区立松濤美術館渋谷区松濤2-14-14
「迷宮+美術館 - コレクター砂盃富男が見た20世紀美術 - 」
10/31-12/10



日銀マンであり、またコレクターでもあり、さらには美術評論家でもアーティストでもあったという、砂盃(いさはい)富男(1930-2001)のコレクションを紹介する展覧会です。主にシュルレアリスム系の絵画と、戦争主題の作品、それに戦後活躍した(もしくは活躍中の)日本人アーティストの作品が展示されていました。

「ゲルニカの悲劇を越えて - 20世紀・戦争と画家たち/砂盃富男/沖積舎」

砂盃が40年に渡り収集し続けたと言うコレクションは、さすがにどれも氏の関心の拠り所を露にしたような作品ばかりです。ヴォルスのおどろどろしい素描にはじまり、フィニらのシュルレアリスムから、黒の迸るサム・フランシスにステラ、タピエスと、やや泥臭くも詩心を誘うような作品が並んでいます。そしてジャッドやボイスなどの、かつては先鋭だった作品も平然と展示されていたのには驚きました。またそのコレクションは、以前世田谷美術館で紹介されていた瀧口のそれを思わせる部分があります。実際にも砂盃は彼との交友を深めていたそうですが、氏の制作する作品自体も瀧口の絵画と良く似ていました。強い影響下にあったのかもしれません。



パンフレットに掲載されているラインハルト・サビエの「オスロから来た若い女」(1993)は、実際に見るとその面白さが倍増します。印刷では単に一枚のコラージュ風肖像画にしか見えませんが、作品はガラスなどを使った半ばオブジェ風の立体(?)絵画でした。焦りにとらわれたかのような、その深刻な表情を眼差しがとても印象的です。またその他には、日本人アーティストから秀島由己男の「われらにさきかけてきたりしもの」(1997)などにも惹かれました。それに、もはや生け花の範疇を超えた中川幸夫の「花坊主」(1973)も強烈です。花の赤い色素が、まるで鮮血のように迸り、そして滴り落ちていました。

91年には前橋の自宅を改装し、「ベル・イマージュ・ミューゼアム」という私設美術館を設けたことがあったそうです。(現在の活動は不明ですが。)草間、李、それに榎倉や赤瀬川の作品なども展示されています。今月10日までの開催です。

*展覧会の概要については、松濤美術館よりも高崎市美術館(展覧会開催済。)のWebサイトの方がより詳しく掲載されています。(11/26鑑賞)
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )
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Unknown (一村雨)
2006-12-03 05:44:26
ラーメン食べようと渋谷の街を歩いていて、
ふと電柱にかかったこのポスターを見かけて
ふらっと出かけた展覧会でした。
迷宮という言葉にも誘われました。

私もここではじめて、秀島由己男という版画家を
知りました。これがいちばんの収穫でした。
 
 
 
Unknown (はろるど)
2006-12-04 00:17:29
一村雨さん、こんばんは。

>ラーメン食べようと渋谷の街

実は私もこの日の昼食にラーメンをいただきました。
文化村から松濤美術館へ向う道の右側にあったお店です。
名前は忘れてしまいましたが美味でした。つけめんです!

>迷宮という言葉にも誘われました。

ネーミングのセンスに長けていますよね。
上手いです。

>秀島由己男という版画家

知らない画家から大家まで幅広く拝見出来て、とても楽しめる内容でした。
入場料もお安いですし、とてもお得な展覧会ですよね。
 
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