『大竹伸朗展』 東京国立近代美術館

東京国立近代美術館
『大竹伸朗展』
2022/11/1~2023/2/5



東京国立近代美術館で開催中の『大竹伸朗展』を見てきました。

1955年に生まれた大竹伸朗は、絵画、版画、 素描、彫刻、映像、さらにインスタレーションから巨大な建造物などを制作すると、個展やグループ展にて作品を公開するだけでなく、国際展や芸術祭にも参加して旺盛に活動してきました。

その大竹の16年ぶりの大規模な回顧展が東京国立近代美術館にて開かれていて、会場には約500点もの作品が時代を問わずに7つのテーマに基づいて公開されていました。



まず最初が「自/他」と題したセクションで、9歳の頃のコラージュから近年に描かれた自画像などが壁を埋め尽くすようにして並んでいました。



これに続くのが、大竹の記憶に対する関心を示すシリーズの「時憶」、「憶景」、「憶片」と呼ばれる作品群で、印刷物やゴミとされるものを貼り付けつつ、作品へと留めていく大竹の表現の一端を見ることができました。



こうした記憶とともに、大竹が重視する素材としてあげられるのが時間で、30年の時間をかけて変化した素材を用いた作品や、30分の制限を設けて描きあげた作品なども紹介されていました。大竹にとって時間とは拾い集め、貼り合わせて厚みをもたらす材料でもあり、偶然を呼び寄せる道具としても位置付けられてきました。



『モンシェリー:スクラップ小屋としての自画像』とは、ドイツ・カッセルにて開催される国際展・ドクメンタへ2012年に出展された大型のインスタレーションで、今回初めて関東にて公開されました。



それらはネオンサイン、トレーラー、舟、 ギター、映像、またスクラップブックなどにて構成されていて、さまざまな素材によるコラージュがありとあらゆる場所を侵食するように広がっていました。



物質を寄せ集め、切り貼りしていく大竹の制作の中で、どこか幻想的な雰囲気を放っていたが「夢/網膜」のセクションの作品でした。



ここで大竹は捨てられたポラロイド写真が夢のようなイメージを再現しているとして、透明な樹脂をのせた作品を制作し、樹脂の質感と写真の色彩が重なり合うような独自の画面を築き上げました。



物質的な厚みを伴う作品を集めた「層」や、大竹の素材にとって重要な音に着目した「音」も、世界観をダイレクトに味わえるセクションだったかもしれません。



一連の作品は、必ずしも開放感があるとは言えない美術館のスペースをむしろ逆手に取るように展開していて、ものと音が空間を濃密に埋め尽くしていました。



「宇和島駅」のネオンサインが美術館の外壁に作品として設置されていました。夕方以降、日が影ってから輝く様子を見るのも楽しいかもしれません。



撮影も可能でした。(写真はすべて「大竹伸朗展」展示作品)


2023年2月5日まで開催されています。*12月28日~1月1日は年末年始のため休館。

『大竹伸朗展』 東京国立近代美術館@MOMAT60th
会期:2022年11月1日(火)~2023年2月5日(日)
時間:10:00~17:00。
 *金・土曜は20時まで開館。
 *入館は閉館の30分前まで。
休館:月曜日。ただし1月2日、9日は開館。年末年始(12月28日~1月1日)、1月10日(火)は休館。
料金:一般1500(1300)円、大学生1000(800)円、高校生以下無料。
 *( )内は20名以上の団体料金。
 *当日に限り、所蔵作品展「MOMATコレクション」も観覧可。
住所:千代田区北の丸公園3-1
交通:東京メトロ東西線竹橋駅1b出口徒歩3分。
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