「太陽の塔 1967―2018」 岡本太郎記念館

岡本太郎記念館
「太陽の塔 1967―2018―岡本太郎が問いかけたもの」 
2/21~5/27



大阪万博のテーマ館のシンボルとして建造され、万博記念公園に残された「太陽の塔」は、内部の修復を終え、48年ぶりに恒久的な展示施設として生まれ変わりました。

それを期して行われているのが、「太陽の塔 1967―2018―岡本太郎が問いかけたもの」展で、岡本太郎が「太陽の塔」の制作に際した試みと、今回の再生プロジェクトについて紹介していました。


「太陽の塔」内観模型

まず目を引くのが、「太陽の塔」内観模型で、1970年の当時の姿を再現するため、フィギュアメーカーで知られる海洋堂が模型に制作しました。現在、耐震補強のなされた内部は、内径が僅かに小さくなり、エスカレーターが階段に置き換えられるなど、万博当時とは少し姿を変えているそうです。


「生命の樹」再現模型

また、万博終了後に撤去された「生命の樹」の模型も見どころの1つで、写真をもとに、三次元で再現すべく、同じく海洋堂が作りました。実物の「生命の樹」は高さ45メートルもあり、単細胞から人類までの生物進化のプロセスを、292体もの「いきもの」で象っていて、岡本太郎は自らの生命観を形に表現しました。


「生命の樹」演出スコア

その「生命の樹」の演出スコアも興味深い資料でした。設計段階において作成されたスコアで、照明、映像、音響、作動メカなどの演出方法が、スケッチで表されていました。一部に割愛された箇所があるものの、多くはスコア通りに実現しました。


「シンボルゾーン」配置計画

「生命の樹」の生物群配置計画や、「シンボルゾーン」の配置計画資料も目を引きました。ともに建築時の資料で、色あせてはいるものの、往時のあり方を知ることが出来ました。丹下健三のアイデアによって構築された「シンボルゾーン」は、岡本太郎の参入によって、当初の計画になかった巨大な塔が現れることになりました。


「地底の太陽」原寸模型

万博閉幕後に行方不明になり、48年ぶりに復元された「地底の太陽」の原型模型も見どころでした。そもそも「地底の太陽」に関しては、3次元資料が一切残されていないため、僅かな写真から立体化するほかなかったそうです。

手のひらサイズからスタートした原型制作は、10分の1サイズを経て、原寸へと拡大しました。マスクの部分だけでおおよそ3メートルもあります。


「地下展示」全体模型

さらに地下展示のミニチュアなども充実しています。これまで写真などでしか見られなかった空間が、海洋堂の技術を借りて、3次元で追体験することが出来ました。


地下展示「いのち」

記念館2階の手狭なスペースながらも、所狭しと資料や作品が並んでいて、密度の濃い展覧会と言えるかもしれません。


地下展示「ひと」

次回も「太陽の塔」に関した展示が予定されています。


1960年代の作品を中心に、万博前夜の岡本太郎の世界を見据える内容となるそうです。改めて見に行くつもりです。



会場内は盛況でした。5月27日まで開催されています。

「太陽の塔 1967―2018―岡本太郎が問いかけたもの」 岡本太郎記念館@taro_kinenkan
会期:2月21日(日)~5月27日(日)
休館:火曜日。但し祝日の場合は開館。
時間:10:00~18:00 *入館は閉館の30分前まで
料金:一般620(520)円、小学生320(210)円。
 *( )内は15名以上の団体料金。
住所:港区南青山6-1-19
交通:東京メトロ銀座線・千代田線・半蔵門線表参道駅A5、B1出口より徒歩8分。
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