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2017年7月に見たい展覧会

6月を終え、1年も半分が過ぎました。上半期では国立新美術館の2つの展覧会、草間彌生とミュシャ展が特に人気を集め、会期後半は長蛇の列も発生しました。結果的に草間展は50万名超、ミュシャ展は60万名を超える入場者数を記録しました。

先月からはジャコメッティ展やアルチンボルド展もスタートしました。ほかでは建物との雰囲気と独特な作風の接点も面白い松濤のクエイ兄弟、画業を丹念に掘り起こした千葉の椿貞雄、多面的な切り口で手箱の魅力を伝えたサントリーの玉手箱展などが印象に残りました。

7月は新しい展覧会が数多く始まります。今月中に見たい展覧会をリストアップしてみました。

展覧会

・「浮世絵師北斎展」 パルコミュージアム(~7/17)
・「石川九楊展」 上野の森美術館(7/5~7/30)
・「世界報道写真展2017」 東京都写真美術館(~8/6)
・「アート・スコープ2015ー2017 漂泊する想像力」 原美術館(~8/27)
・「幻の画家 不染鉄展」 東京ステーションギャラリー(7/1~8/27)
・「タイ~仏の国の輝き」 東京国立博物館(7/4~8/27)
・「静かに狂う眼差しー現代美術覚書」 DIC川村記念美術館(7/8~8/27)
・「吉田博展 山と水の風景」 東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館(7/8~8/27)
・「遠藤利克展ー聖性の考古学」 埼玉県立近代美術館(7/15~8/31)
・「没後90年 萬鐵五郎展」 神奈川県立近代美術館葉山(7/1~9/3)
・「荒木経惟 写狂老人A」  東京オペラシティアートギャラリー(7/8~9/3)
・「ヨーロッパの木の玩具ードイツ・スイス、北欧を中心に」 目黒区美術館(7/8~9/3)
・「ギガ恐竜展2017」 幕張メッセ(7/15~9/3)
・「地獄絵ワンダーランド」 三井記念美術館(7/15~9/3)
・「藝『大』コレクション パンドラの箱が開いた!」 東京藝術大学大学美術館(7/11~9/10)
・「藤島武二展」 練馬区立美術館(7/23〜9/18)
・「レオナルド×ミケランジェロ展」 三菱一号館美術館(6/17~9/24)
・「さかざきちはるのおしごと展」 芳澤ガーデンギャラリー(7/1~9/24)
・「ベルギー奇想の系譜」 Bunkamuraザ・ミュージアム(7/15~9/24)
・「荒木経惟 センチメンタルな旅 1971ー2017ー」 東京都写真美術館(7/25~9/24)
・「そこまでやるか 壮大なプロジェクト展」 21_21 DESIGN SIGHT(~10/1)
・「深澤直人がデザインする生活の周囲展」 パナソニック汐留ミュージアム(7/8~10/1)
・「深海2017」 国立科学博物館(7/11~10/1)
・「ボストン美術館の至宝展」 東京都美術館(7/20~10/9)
・「杉戸洋 とんぼとのりしろ」 東京都美術館(7/25~10/9)
・「サンシャワー:東南アジアの現代美術展」 国立新美術館・森美術館(7/5~10/23)
・「日本の家 1945年以降の建築と暮らし」 東京国立近代美術館(7/19~10/29)

ギャラリー

・「第11回 shiseido art egg 沖潤子展」 資生堂ギャラリー(~7/23)
・「2017 ADC展」 ギンザ・グラフィック・ギャラリー/クリエイションギャラリーG8(7/3~7/25)
・「登山博文 部屋|光」 タカ・イシイギャラリー 東京(7/1~7/29)
・「アピチャッポン・ウィーラセタクン Memoria」 SCAI THE BATHHOUSE(7/7~8/4)
・「ヴァージニア・リー・バートンの『ちいさいおうち』」 ギャラリーエークワッド(~8/9)
・「元田久治ーTowers」 アートフロントギャラリー(7/14~8/13)
・「鏡と穴ー彫刻と写真の界面 vol.3 水木塁」 ギャラリーαM(7/15~8/26)
・「池田学展 誕生」 ミヅマアートギャラリー(7/26~9/9)
・「エマニュエル・ソーニエ展」 メゾンエルメス(7/14~10/31)

まず今月の展覧会で気になるのは上野の森美術館です。書家の石川九楊の個展がはじまります。



「石川九楊展」@上野の森美術館(7/5~7/30)

私が石川九楊の作品を初めて見たのは今から10年以上も前、日本橋三越のギャラリーで行われた個展でした。時に音楽的とすら呼べる書はあまりにも自由でかつ奔放。その凄まじいエネルギーを前に衝撃を受けたことを覚えています。

それ以来、何故かあまり作品に接する機会がありませんでした。久方ぶりの個展です。期待したいと思います。

一度、美術館での単独の展示を見たいと思っていた作家の一人でした。埼玉県立近代美術館で遠藤利克の個展が開催されます。



「遠藤利克展ー聖性の考古学」@埼玉県立近代美術館(7/15~8/31)

焼成した木や水、あるいは土やゴムなどを用いて彫刻をつくる遠藤利克。身近なところでは東京国立近代美術館の常設展示のほか、所沢ビエンナーレなどにも出展し、圧倒的な量感のある作品を見せてきました。


2010年以降の近作、および新作も加わるそうです。関東では26年ぶりの大規模な個展となります。

東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館にて「吉田博展 山と水の風景」が開催されます。



「吉田博展 山と水の風景」@東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館(7/8~8/27)

同展は昨年春の千葉市美術館を皮切りに、郡山、久留米、上田の各市立美術館を巡回してきました。この損保ジャパン会場が最後の巡回先でもあります。


私も千葉で一度、見ましたが、単に木版だけでなく、瑞々しい水彩、そして山を捉えた油絵のほか、激しい戦争画など、驚くほどに多彩でかつ、制作に旺盛な画家だということがよく分かりました。千葉市美を見逃した方にはまたとないチャンスです。私も再度見に行きたいと思います。

秋に向けての大型展の中では注目されるのではないでしょうか。ボストン美術館の至宝展が東京都美術館ではじまります。



「ボストン美術館の至宝展」@東京都美術館(7/20~10/9)

出展は約80件。古代エジプト、中国、日本の各美術、フランス、アメリカ絵画のほか、現代美術までを網羅します。ともすると総花的になるやもしれませんが、英一蝶の「涅槃図」の170年ぶりの里帰りや、ゴッホのルーラン夫妻の肖像の同時展示など、いくつかの大きな見どころもあります。また美術館のコレクションの形成に関わった収集家の活動にも着目するそうです。


「国芳・国貞展」(文化村)や「ダブルインパクト」(芸大)、また「ミレー展」(一号館)や「ジャポニスム展」(世田谷)などでもボストンの作品が多数展示されましたが、館のコレクションに着目した大きな展示は「日本美術の至宝」(東博)にまで遡るかもしれません。

ムンクの「叫び」の来日が決まりました。

「ムンクの「叫び」、上野で会える 来年秋に回顧展」:朝日新聞デジタル

来日するのは「叫び」で最も知られるオスロ国立美術館の所蔵作品ではなく、ムンク美術館の油彩、テンペラの作品です。ムンクは「叫び」を似た構図で複数枚制作しました。また展覧会は油彩、版画、素描など100点を展示。おそらくムンクの体系的な回顧展になることが予想されます。

それでは今月もよろしくお願いします。
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