「川上元美 デザインの軌跡」 リビングデザインセンターOZONE

リビングデザインセンターOZONE
「川上元美 デザインの軌跡」
9/9-9/25



日本を代表するプロダクトデザイナー、川上元美の制作を辿ります。リビングデザインセンターOZONEで開催中の「川上元美 デザインの軌跡」へ行ってきました。

「1960年代後半より活動をはじめ、1970年代に名作椅子などの成功でトップデザイナー」(OZONEサイトより引用。一部改変。)の地位を確立した川上元美ですが、今回は彼のデザインした約800点のうち、代表作が約80点ほど勢揃いしています。


「BLITZ」(1981-1994)

メインは出世作となった「BLITZ」などの椅子であるのは間違いありませんが、その他にも「NEWS」と呼ばれるウオッカ、さらには茶筒や仏具に文具、また時計からシステムバスなど、大小様々なジャンルの作品があるのも見どころと言えるのではないでしょうか。

うち小さいもので印象的なのは、卓上ステーショナリー「SILICOMBO」です。素材にシリコン樹脂を用いた色とりどりの入れ物は、それこそ重箱のように積みあげて整理することも出来ます。シンプルな美感に秀でながらも、巧みな機能性を持ち得ていました。


「鶴見つばさ橋」(1994)

逆に大きい作品で一つ挙げておきたいのは、鶴見つばさ橋です。全長1キロを超える同橋は、一面吊りの斜張橋としては世界一の長さを誇るそうですが、川上は橋の景観デザインを担当しました。

首都高湾岸線で一際目につく美しい橋が、まさかこの川上の手によって生み出されたとは思いもよりません。展示では模型や映像で橋の魅力を味わうことが出来ました。

さてこうした個々の作品以外に、今回の展示で特筆すべきは、会場全体の展示デザインです。

実は展示デザインをトラフ建築設計事務所が出がけていますが、それが川上作品の魅力を引き出すのはもちろん、展覧会の一つの流れを巧みに作り出すことに成功しています。

会場には人の背の高さ、あるいはそれ以上の木のボックスがいくつも置かれ、来場者は受付で配布されたMAPを手に、その合間を縫うようにして歩きながら、作品へと辿り着くという仕掛けがとられています。

しかもそのボックスを順路通りに進むと、川上の制作を時系列で追うことが出来るわけです。ボックスに回り込み、中をのぞき、また入りながら、椅子などを見て行くという鑑賞行為そのものも大きな魅力でした。


「Step Step」(2008)

なお会場内の撮影は不可、また作品に触れることも許されていませんが、入口付近の「円意」と題されたサークル状の展示スペースの椅子には実際に座ることが出来ます。座り心地を確かめてみては如何でしょうか。


「有田 HOUEN」(2005)

またボックスには、インテリアスタイリストの長山智美氏によってコーディネートされたベットルームの再現展示もあります。こちらは残念ながら中へ入れませんが、川上のデザインがどう生活の中に入り込むのかを知る一つヒントになるかもしれません。

恥ずかしながら川上氏の名前を今回初めて知った私でしたが、思いの外に長居して楽しむことが出来ました。

excite.ismに展示風景の写真が多数掲載されています。そちらも是非ご覧ください。

「25日まで川上元美展、日本の巨匠を知る」@イズムコンシェルジュ

9月25日までの開催です。なお入場は無料でした。

「川上元美 デザインの軌跡」 リビングデザインセンターOZONE
会期:9月9日(金)~9月25日(日)
休館:水曜日
時間:10:30~19:00
場所:新宿区西新宿3-7-1 新宿パークタワー リビングセンターOZONE3階 パークタワーホール
交通:JR線新宿駅南口から徒歩15分。新宿駅西口エルタワー前より無料バス(約10分間隔)運行。
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