「諸国畸人伝」 板橋区立美術館

板橋区立美術館板橋区赤塚5-34-27
「江戸文化シリーズ No.26 諸国畸人伝」
9/4-10/11



板橋区立美術館で開催中の「江戸文化シリーズ No.26 諸国畸人伝」へ行ってきました。


狩野一信「五百羅漢図 第71幅 龍供」増上寺

奇異でかつ個性的な江戸の絵師たちが板橋に集結中です。日本各地の「陸奥、常陸、信濃、江戸、駿河、京、大坂、土佐」(公式WEBサイトより引用)から堂々登場したのは、以下の10名の絵師たちでした。

菅井梅関
林十江
佐竹蓬平
加藤信清
狩野一信
白隠
曾我蕭白
祗園井特
中村芳中
絵金

ともかくどれも見入る作品ばかりでしたが、その中でも絶対に外せない、言わば度肝を抜かれるほどに衝撃的な絵師がありました。その名は絵金です。元々は狩野派に属し、土佐藩の家老の御用を務めた経歴を持ちながらも謎の贋作事件にまきこまれ、野に下って時に血みどろの芝居屏風絵などを描き続けました。


絵金「伊達競阿国戯場 累」赤岡町本町二区

今回の展示ではその絵金の屏風絵が4点ほど展示されていますが、ともかくはその鮮烈な表現には目を奪われます。決して精緻とは言えない、むしろ大雑把な線で激しい動きを絵画上に封じ込めるように捉えた描写からは、荒々しいまでの迫力が感じられました。殺戮のシーンに用いられたケバケバしい赤い彩色は、それこそ本物の血を塗りたくったかのようです。前景を誇張的に引き出して人物の動きを演出するというダイナミックな劇画的構図も、見事なまでの臨場感を醸し出していました。



なお絵金が活動した高知の赤岡町に、屏風絵などを収蔵する美術館兼収蔵庫、絵金蔵という施設があるそうです。そこではこれまで保存されてきた屏風絵が公開されている他、絵金に関する資料なども紹介されています。一度、是非訪ねてみたいと思いました。


「五百羅漢 増上寺秘蔵の仏画 幕末の絵師 狩野一信」 2011年3月15日~5月29日 江戸東京博物館

もちろん絵金の他にもメインの蕭白の「群童遊戯図屏風」や、来年に増上寺で驚異の全幅展示がある一信の「五百羅漢図」などの見どころも満載です。もちろんこうした烈しい表現をとる絵師だけでなく、不気味系美人画の井特や、和みの琳派の芳中らを楽しめるのもまた嬉しいところでした。


祇園井特「美人図(部分」摘水軒記念文化振興財団(~9/27)

東京ではあまり紹介される機会の少ない絵師たちばかりです。初見のものが目白押しでした。なお会期途中で一部、展示替えがあります。

出品リスト(pdf)@板橋区立美術館


中村芳中「白梅図」千葉市美術館

10月11日までの開催です。もちろんおすすめします。
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