都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「誇り高きデザイン 鍋島」 サントリー美術館
サントリー美術館(港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウンガレリア3階)
「誇り高きデザイン 鍋島」
8/11-10/11

サントリー美術館で開催中の「誇り高きデザイン 鍋島」へ行ってきました。
毎度の巧みな照明、そして立体展示で定評のある同美術館にすれば、鍋島の魅力を引き出すのもさほど難しいことではないのかもしれません。今回、お馴染みの美しい空間に展示されているのは、個人蔵を含む国内各地の美術館による鍋島の名品、約140点でした。ともかく私は器の中では鍋島が最も好きですが、ファンならずともその魅惑的な瑠璃色と斬新なデザイン性に引かれた方も多いのではないでしょうか。期待通りの鍋島の超名品展と言うべき展覧会でした。
展覧会の構成は以下の通りです。
1 鍋島藩窯の歴史
2 構図の魅力
3 鍋島の色と技
4 尺皿と組皿
5 鍋島の主題 四季と吉祥
はじめに鍋島の歴史について簡単に俯瞰した上で、その制作において頂点を極めた17世紀後半から18世紀前半の作品を紹介する流れになっていました。 (出品リスト)
格調高き鍋島の魅力を言葉にするのはむしろ野暮なことかもしれません。ともかく「百聞は一見にしかず」という文言が今回ほど当てはまることもありませんが、ここでは会場でも紹介された4つのポイントから各1点ずつ代表作を挙げてみました。
・技
当時、将軍家への献上品として重宝された鍋島には、最高級品に相応しい技術が随所に用いられています。

「色絵桃文大皿(重要文化財)」 肥前鍋島藩窯 江戸時代 MOA美術館
大きな桃がまるで寄り添うように3つ並ぶ「色絵桃文大皿」では、桃の表面に細かな点描が無数に施されていることが分かるのではないでしょうか。また仄かに陰った黒ずみを描き込むなど、全体としての桃の質感を見事なまでに再現していました。
・色
青磁と染付による瑠璃色の輝きこそ鍋島の魅力の核心であることは間違いありません。

「色絵植木鉢岩牡丹文大皿(重要文化財)」 肥前鍋島藩窯 江戸時代 栗田美術館
ともかくどれも美しい色をたたえているので、逆に個別の作品を挙げるのは難しいところですが、「色絵植木鉢岩牡丹文大皿」では地の白と藍、さらには牡丹の紅という色のコントラストを楽しめます。色鍋島とシンプルな染付などの色合いは甲乙付け難いものがありました。
・構図
それこそ現代でも全く古びない大胆でかつ洗練されたデザイン性も鍋島の見どころの一つです。

「薄瑠璃染付花文皿」 肥前鍋島藩窯 江戸時代 サントリー美術館
ここではお馴染みの放射状の模様が描かれた「薄瑠璃染付花文皿」を挙げれば十分でしょう。染付と白によって描きこまれた花文はまるで大空に咲く花火でした。
・主題
一定の様式に則った鍋島は、様々なモチーフを取り込んでその意匠を発展させました。

「青磁色絵桃宝尽文皿」 肥前鍋島藩窯 江戸時代 (財)今右衛門古陶磁美術館
吉祥主題の作品の一つ、「青磁色絵桃宝尽文皿」からはどこか華やいだ印象を受けないでしょうか。四方皿の上には宝珠などのお目出度い品々がぎっしりつめこめられていました。
はじめにも触れましたが、今回改めて感心したのは抜群の照明効果です。強い光を当てて色をギラギラと浮かび上がらせるのではなく、控えめな照明で瑠璃色の繊細な色味を引き立てています。鍋島の品格は全く損なわれていませんでした。
何年か前にサントリー美術館に初めて出かけた時、いつかこの場所で鍋島を見たいと思ったことがありました。今回、充実した展示でその願いを叶えることが出来ました。もう何も申し上げることはありません。
10月11日まで開催されています。もちろんおすすめします。
「誇り高きデザイン 鍋島」
8/11-10/11

サントリー美術館で開催中の「誇り高きデザイン 鍋島」へ行ってきました。
毎度の巧みな照明、そして立体展示で定評のある同美術館にすれば、鍋島の魅力を引き出すのもさほど難しいことではないのかもしれません。今回、お馴染みの美しい空間に展示されているのは、個人蔵を含む国内各地の美術館による鍋島の名品、約140点でした。ともかく私は器の中では鍋島が最も好きですが、ファンならずともその魅惑的な瑠璃色と斬新なデザイン性に引かれた方も多いのではないでしょうか。期待通りの鍋島の超名品展と言うべき展覧会でした。
展覧会の構成は以下の通りです。
1 鍋島藩窯の歴史
2 構図の魅力
3 鍋島の色と技
4 尺皿と組皿
5 鍋島の主題 四季と吉祥
はじめに鍋島の歴史について簡単に俯瞰した上で、その制作において頂点を極めた17世紀後半から18世紀前半の作品を紹介する流れになっていました。 (出品リスト)
格調高き鍋島の魅力を言葉にするのはむしろ野暮なことかもしれません。ともかく「百聞は一見にしかず」という文言が今回ほど当てはまることもありませんが、ここでは会場でも紹介された4つのポイントから各1点ずつ代表作を挙げてみました。
・技
当時、将軍家への献上品として重宝された鍋島には、最高級品に相応しい技術が随所に用いられています。

「色絵桃文大皿(重要文化財)」 肥前鍋島藩窯 江戸時代 MOA美術館
大きな桃がまるで寄り添うように3つ並ぶ「色絵桃文大皿」では、桃の表面に細かな点描が無数に施されていることが分かるのではないでしょうか。また仄かに陰った黒ずみを描き込むなど、全体としての桃の質感を見事なまでに再現していました。
・色
青磁と染付による瑠璃色の輝きこそ鍋島の魅力の核心であることは間違いありません。

「色絵植木鉢岩牡丹文大皿(重要文化財)」 肥前鍋島藩窯 江戸時代 栗田美術館
ともかくどれも美しい色をたたえているので、逆に個別の作品を挙げるのは難しいところですが、「色絵植木鉢岩牡丹文大皿」では地の白と藍、さらには牡丹の紅という色のコントラストを楽しめます。色鍋島とシンプルな染付などの色合いは甲乙付け難いものがありました。
・構図
それこそ現代でも全く古びない大胆でかつ洗練されたデザイン性も鍋島の見どころの一つです。

「薄瑠璃染付花文皿」 肥前鍋島藩窯 江戸時代 サントリー美術館
ここではお馴染みの放射状の模様が描かれた「薄瑠璃染付花文皿」を挙げれば十分でしょう。染付と白によって描きこまれた花文はまるで大空に咲く花火でした。
・主題
一定の様式に則った鍋島は、様々なモチーフを取り込んでその意匠を発展させました。

「青磁色絵桃宝尽文皿」 肥前鍋島藩窯 江戸時代 (財)今右衛門古陶磁美術館
吉祥主題の作品の一つ、「青磁色絵桃宝尽文皿」からはどこか華やいだ印象を受けないでしょうか。四方皿の上には宝珠などのお目出度い品々がぎっしりつめこめられていました。
はじめにも触れましたが、今回改めて感心したのは抜群の照明効果です。強い光を当てて色をギラギラと浮かび上がらせるのではなく、控えめな照明で瑠璃色の繊細な色味を引き立てています。鍋島の品格は全く損なわれていませんでした。
何年か前にサントリー美術館に初めて出かけた時、いつかこの場所で鍋島を見たいと思ったことがありました。今回、充実した展示でその願いを叶えることが出来ました。もう何も申し上げることはありません。
10月11日まで開催されています。もちろんおすすめします。
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