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「鈴木友昌 展」 SCAI

SCAI THE BATHHOUSE台東区谷中6-1-23
「鈴木友昌 展」
1/22-2/20



1972年に水戸で生まれ、現在はロンドンを拠点に活動を続ける鈴木友昌が日本で初めての個展を開催します。SCAI THE BATHHOUSEではじまった展示を見てきました。

作家プロフィールについては画廊HPをご参照ください。

鈴木友昌 Tomoaki SUZUKI@SCAI THE BATHHOUSE

木彫4点と聞いていたので、事前にそのサイズを確認もせず、てっきり大きな作品が展示されているのかと思いきや、実際にはその何れもが約50センチほどの比較的小さなものでした。それこそロンドンの街角にいるであろう白人やアフリカ系の若者たちが、そのファッショナブルでやや奇抜な出立ちとは裏腹に、あたかも日本の仏教彫刻を思わせる真摯な造形にてシンプルに象られています。腰に手をやり、薄汚れたジーンズを履き、まただらりとブロンドのロングヘアーを垂らす若者たちは、妙に気怠そうでありながらも、その存在を強く主張していました。ついつい彼らの目線へ向かい合い、その内面、そして何らかを訴えようとする様子に思いを巡らしたのは私だけではないかもしれません。

天井高のあるSCAIの空間で50センチ強の木彫4体はやや寂しい感じがしましたが、その印象はこの場に他の観客が入ることで見事に打ち破られました。展示室の四方、微妙に視線をそらすかのようにして点々と立つ彼らは、その合間に実際の人間が入ることで、俄然「突っ張り」だします。観客を借景に取り入れ、その余白を巧みに利用した展示手法には強く感心させられました。もし画廊に人がいなかったら、どなたか訪ねてくるまで待ってみては如何でしょうか。彫刻と、それを見やる人間の光景が一枚の『絵』になっていました。

2月20日までの開催です。おすすめします。
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