「山本太郎 - 風刺花伝」 新宿高島屋美術画廊

新宿高島屋10階美術画廊(渋谷区千駄ヶ谷5-24-2
「山本太郎 - 風刺花伝」
6/18-7/1



昨年のVOCA賞の栄誉に輝いた山本太郎の新作個展です。大作の屏風画4点をはじめ、かつての日本画の世界を現代アートに置き換えようとする『ニッポン画』が数点紹介されています。

率直なところ、山本太郎の絵は面白いのかそうでないのかが未だに良く分かりませんが、少なくともデパートというオープンな場で彼の最新作を手軽に楽しめるのは間違いないでしょう。光琳の紅白梅図の水流に缶より流れるコーラの波紋を合わせた「清涼飲料水紋図」や、抱一の夏秋草にガードレールとキリン草を配した「秋之麒麟草図」などは、本歌取りで果敢に古典の名作を再構築しようとする彼ならではの作品です。実際、水紋とコーラとの関係が今ひとつ結びつかないところに絵としての弱さがあるような気もしますが、この野暮なほどの明快さはもはや魅力の一つであるとしても良いのではないでしょうか。総じて彼の『風刺』や機知は過去の名作と殆ど対立しません。極めて緩い構図感にて、あくまでものんびりと大らかに調和されていました。

評が作品を上回っている気がしないでもありませんが、高階秀爾氏のコメントのついた作品のミニ冊子が配布されていました。7月1日まで開催されています。
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