新日本フィル 第385回定期演奏会 「ブルックナー:交響曲第7番他」

新日本フィルハーモニー交響楽団 第385回定期演奏会/トリフォニーシリーズ第1夜

ベルク ヴァイオリン協奏曲「ある天使の思い出のために」
ブルックナー 交響曲第7番

指揮 ヴォルフ=ディーター・ハウシルト
ヴァイオリン 戸田弥生

2005/5/20 19:15 すみだトリフォニーホール3階

こんにちは。

昨日は新日本フィルの定期演奏会へ行ってきました。知る人ぞ知る(?)というハウシルトのブルックナーを聴いてきました。

一曲目はベルクのヴァイオリン協奏曲です。ヴァイオリンの戸田さんはこれまでも何回か聴いたことがありますが、いつもながらのマイルドな味付けで、ベルクの情緒的なフレーズをたっぷり聴かせてくれました。ハウシルトの丸みのある音像とも上手くマッチしています。抑制的なオーケストラと、ホールを包み込むように響く豊かなヴァイオリンの響き。この曲がこれほどまで調和的な一体感を持って演奏されるのを初めて聴きました。

ゆったりとした足取りで開始されたブルックナーの第7番は、最後まで息の長い堂々とした演奏でした。第3楽章のスケルツォこそ彫りの浅さが気になりましたが、雄大な第1楽章から長大なアダージョ、それにコンパクトでありながらも壮大なフィナーレは弛緩する瞬間が殆どありません。仕掛けもほぼ皆無で、音の大伽藍にひたすら浸ることができます。ハウシルトは、音を緻密に積み重ねて全体を作るよりも、曲の大きなアウトラインを示すことに徹して、後はオーケストラに伸び伸びと演奏させていたのではないでしょうか。時間と空間の広がりを無限なまでに感じさせます。時折、非日常を体感できるブルックナーの音楽ですが、それがさらに彼岸を思わせる音楽となっていました。滅多にはなかなか聴けないブルックナーだったと思います。

オーケストラは健闘していました。低弦と金管のパワー不足が否めない点はありますが、十分に立派だったと思います。私はインテンポで陰影の深い、ある意味で「厳格な構成美」を感じさせるブルックナーを好みますが、ハウシルトの一貫したアプローチには文句の付けようもありません。今後彼が新日本フィルでブルックナーを振る機会があれば、是非また聴きに行きたいです。
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