ショルティとウィーンフィル 思い出の名演奏

N響アワー 「思い出の名演奏」 NHK教育(5/29 21:00~)

曲 R.シュトラウス/交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」
  ベートーヴェン/交響曲第7番

指揮 ゲオルグ・ショルティ
演奏 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

1994年にサントリーホールで行われたショルティとウィーンフィルの演奏会です。ショルティは生涯に七度の来日をしているそうですが、このコンサートが結果的に最後となりました。彼はこの三年後には天に召されたわけですが、それにしても82歳とは思えないようなエネルギッシュな指揮ぶりです。驚かされました。

乱暴な括り方をお許しいただければ、ショルティやセルなどの「ハンガリー系指揮者」は、オーケストラを厳格に統制し、そこから、筋肉質で引き締まった響きを最大限に引き出す巧さを持っているように思います。特にショルティは、その中でも最も音楽に「甘さ」や「揺らぎ」を付け加えない指揮者かもしれません。一曲目の「ティル」では、まさにそのような印象を受けます。目まぐるしく表情が変化するこの曲を、金管の硬質な響きにのせてテキパキと処理します。ウィーンフィルの甘美な弦の美しさも、彼の前ではギシギシと動く歯車の機械的な音のようです。

ベートーヴェンの第七交響曲では、「ティル」ほどの厳格さはありませんでした。ショルティの指揮姿は、体を小刻みにカクカクと動かしたり、目を突如ギョロッと見開いたりして何やら異様な雰囲気ですが、意外とゆったりとしたテンポで各主題を歌わせて、時折、アンサンブルをビシッと揃えていきます。感情的で有り過ぎない第2楽章の腰の据わった表現、それに、一音一音をパズルのように組み合わせて音の全体像を作り上げていった第4楽章の「構成美」が印象に残りました。

始めに「ハンガリー系指揮者」などという、適当なカテゴリーを作ってしまいましたが、もしそれが許されるなら、その中ではジョージ・セルが私の最も好きな指揮者です。ショルティの演奏は殆ど聴かないので、何とも言いようがありませんが、リングやマーラーのCD以外に、何か面白いものがあるでしょうか。今日の録画を拝見して少し興味を持ちました。
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