1週間ほどかけて東北の5つの温泉地を回ってきた。温泉のハシゴである。温泉通ではないので泉質の違いは私にはわからない。温泉旅館の晩御飯の献立とおなじで、基本的には似たようなものである。つれあいが温泉に行くというのでついて行っただけである。
今回のLa Edad De Oroで使った写真はその旅の途中で立ち寄った平泉の中尊寺で撮ったものだ。3月11日のお昼過ぎ、中尊寺の本堂横にある2011年の3.11東日本大震災の追悼碑にお参りした。本堂では追悼の読経か行われていた。
ところで、温泉のハシゴをすると、皮膚の脂気がとけてしまい、高年齢が原因の乾燥肌がひどくなる。したがって保湿クリームをたっぷりと塗り込めて、また温泉につかる。すると保湿クリームが流れてしまう。それ、昔の中国の有名な詩の一行に
温泉水滑らかにして凝脂を洗う
とあるが、年寄りの脂肪は内臓にたまるだけで、皮膚まで回ってこない。入浴・保湿クリーム・また入浴。温泉のハシゴはこの作業の繰り返しだった。
温泉宿のテレビや新聞で日本の石破茂首相が自民党所属衆院議員15人に10万円の商品券を配っていたことを知った。石破首相は3月3日、自民党の1回当選議員15人を集め懇談会と称する食事会を開いた。その時に参加した議員に10万円の商品券を渡したそうだ。
首相は自らが党首である自民党の議員を首相公邸に集めて懇談したことは認めたが、懇談は政治活動ではないと言った。政治資金規正法で禁止されている「政治活動に関する寄付」には該当しないというのが首相および首相周辺の政治家の見解である。商品券をもらった議員はそれぞれ金券を返却している。
金集めに貪欲で、金の使い方のだらしなさ。これは政治家の持病である。この病気には政治家以外にも罹る人は多いが、政治家は清廉でなくてはならないとする社会通念が強いため、とくに問題視されてきた。戦後の金まみれの保守党支配の歴史をみれば納得できるだろう。
人は選挙で選ばれて議員になる。国会議員ともなれば一国の富と権限の配分に関与する。政権の中枢に集う議員はランクに見合った権限を持つことになる。そのランクにたどり着くには党内の議員を味方につけておく必要がある。資本主義デモクラシーの枠内で、マックス・ウェーバーのいう「政治によって生きる政治家」は、権力のランクを上ることで政治活動資金を増やすことができる。資金が増えれば人が集まってくる。だから金まみれの政治を根本的に浄化することは至難である。できるのは、おりを見て対症療法を試みることだけだ。
(2025.3.16 花崎泰雄)
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