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news commentary

首相の孤食

2010-12-22 14:42:15 | Weblog
内閣総理大臣菅直人は「12月第2週は月曜から金曜まで、すべて1人で(昼飯を)食べていた」と、12月22日付朝日新聞朝刊が伝えていた。

以前は秘書官らと会議室で昼飯を食い、民主党幹部や官房長官らとしばしば昼食をともにしていたが、参院選での敗北や、対中外交手詰まり、内閣支持率急落などとともに、孤食が常態化したという。首相菅の孤食は「ひきこもり」現象ではないかと周辺は気にしているとその記事は言う。

首相は官邸5回の首相執務室で昼飯を食っている。その間、7人の首相秘書官は同じ階の会議室に移って昼食をとる。

この記事に、食生態学が専門の大学教員の談話がついていて、曰く「共食をすすめたい。菅さんは自分をリセットでき、周囲は菅さんの小さな変化に気づくことができる機会になる。菅さんの表情は、はた目にも疲れている。首相のような孤独な立場に大事なのは、リラックスできる時間と話題を周囲が提供してあげることだ。政治の話抜きでいいから、昼食くらいみんなで囲んではどうだろう」。

しかし、同じページの「首相動静」という欄を見ると、首相は来る日も来る日も朝から晩まで分刻みで人に会っている。秘書官も党幹部も内閣官房長官ももはや見飽きた顔だし、会話のネタも尽きた。昼飯ぐらいほっとして1人で食いたいという気分も分かる気がする。首相が官邸のトイレで弧食していたとなれば、これは完璧な政治事件だが、執務室での一人飯ていどなら、新聞の見出しが言うような「孤食の総理――情報過疎懸念も」というほどの話でもあるまい。

(2010.12.22 花崎泰雄)
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