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news commentary

サバイバルゲーム

2024-03-30 18:25:23 | 政治

3月29日、東京で桜の開花宣言があり、30日黄沙が吹いた。

3月30日はぽかぽか陽気だった。近くの公園に散歩に出かけた。公園内の遊歩道には屋台のトラックがずらりと並んでいた。桜明神の縁日のようだ。

人々は園内の草地にシートを敷き、そのうえで飲食、談笑している。お花見なのだが、木には開花した花がまだ少ない。1輪の桜花を十人以上でながめるような花見だ。普段、公園には犬を連れた散歩人が多く、犬は木の根元をかぎ、オシッコをし、時にはウンチもする。散歩者によってはオシッコにペットボトルの水をかけ、ウンチを拾って持ってきたプラスチックバッグにおさめて持ち帰る。もちろんそうでない人もいる。とはいえこの公園の遊歩道と草地は、パリの裏通りより糞が少ない。

花見らしい花見ができるにはあと数日かかるだろう。仕事を持つ勤め人には30日か31日の土日しかない。次の週末は落下さかんのころだろう。日本国首相の岸田文雄氏は花見どころではないだろう。4月に入ると党紀委員会で派閥パーティー券に関わった議員たちの処分を決めなければならない。30日付の朝日新聞朝刊によると、29日夕方自民党福総裁の麻生太郎氏と自民党幹事長の茂木敏充氏が、首相官邸の裏口から官邸に入り、岸田氏と話し合った。自民党副総裁・幹事長の党幹部が裏口から官邸に入ったのはなぜだろうか。

朝日新聞によると、自民党派閥の裏金事件をめぐり、岸田文雄首相は29日、自民党の麻生太郎副総裁、茂木敏充幹事長ら党幹部と首相官邸で会談した。安倍派幹部ら裏金作りに関与した関係議員の来週中の処分に向け、意見交換した。麻生・茂木両氏が自民党総裁である岸田氏と会うために官邸の裏口を使ったことについて朝日新聞はその意図を記事にしてない。おそらくは来訪の記録を残したくなかったと推察できる。

4月に入って新しい週が始まると安倍派幹部だった議員たちの処分が発表される。安倍派の旧幹部たちが政治的に身動きできなくなり、影のボスとうわさされた森元首相の影響力が党内で薄くなる。麻生氏や茂木氏も今のままでは党総裁になりにくい。岸田氏本人も低支持率で党内の支持が薄らいでいる。パーティー券スキャンダルに乗じて、禍福を逆転させようとした岸田氏の派閥解消作戦が功を奏して自民党が解体し始めた。自民党は派閥の連合体なのだから。小泉純一郎氏は、自民党をぶっ壊せと叫んで自民党の人気者になった。そのおかげで後継者の進次郎氏は、これといった業績もないのに、世評では首相にしたい議員に入っている。

パーティー券キックバックの議員処分、4月下旬の衆院3補選、首相訪米などの結果に加え、首相の人気があがる外交成果がなければ岸田政権は沈没する。

 

(2024.3.30 花崎泰雄)

 

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捨て台詞

2024-03-26 01:09:29 | 政治

自民党の二階俊博氏が25日記者会見し次の総選挙に立候補しないとかたった。

自民党はパーティー券で裏金づくりをやっていた安倍派の幹部で衆参の政治倫理審査会に出席した塩谷立氏、下村博文元氏、松野博一氏、西村康稔氏、高木毅氏、世耕弘成氏から再度事情を聴き、4月に処分を決め入る方針を明らかにしていた。

二階氏の記者会見の一部をテレビが放映した。立候補しない理由は政治資金収支報告書に不記載があったためなのか、それとも、年齢の問題か、と記者が質問した。

二階氏応えて曰く。「お前もその歳くるんだよ。ばかやろう」。二階俊博氏、85歳。

アメリカ合衆国では、日本流にいえば後期高齢者にあたる男性2人が次の大統領職を目指してしのぎを削っている。お互いに固有名詞を言い間違えながら演説する。メディアは嬉しそうにそうした言い間違いをあげつらっている。あるいは、政治家にも賞味期限というものがあるのだよと、冷やかしている。

ローマ帝国のウェスパシアヌス帝は国家財政健全化のために市中に公衆便所を建て、集めたし尿を販売した。当時、し尿は羊毛から油分を落とすために使われた。せこい奴と政敵からあざけられたが、ウェスパシアヌス帝は「金は匂わない」と応じたという故事が伝えられている。

江戸の町では近隣の農家がし尿をくみ取り、住民に対価を支払っていた。

自民党の議員の一部は議員の立場を利用して、支持者の意向を汲み上げる場としてのパーティーを開き、利益率9割ともいわれる意向汲み取り料金を集めていた。

(2024.3.26 花崎泰雄)

 

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いずれにしても……

2024-03-16 23:29:53 | 政治

インドネシア大統領選挙でプラボウォ・スビアント氏が勝利した。この人は元軍人でスハルト元大統領の娘と結婚したことがあり、治安部隊のチーフとして反体制派の学生や活動家を弾圧した疑いがもたれ、スハルト政権崩壊後に軍籍をはく奪されて、一時期国外に退避していたことがある。プラボウォ氏の勝利はインドネシアの有権者の政治的記憶力の反映である。

ロシアで大統領選挙が行われた。結果が確認できるまでしばらく時間がかかるが、世界中のメディアがプーチン氏の勝利は間違いないと予測している。プーチンの勝利はロシアの選挙民の政治理解度の反映である。

今年秋のアメリカ合衆国大統領選挙はバイデン現大統領とトランプ前大統領の戦になるようであるが、政治的な判断の根拠が安定的でないトランプ氏のような人物が当選してもおかしくないという状況を生み出したのは、合衆国の選挙民の政治理解度の反映である。

日本では自民党の派閥の政治パーティー券の裏金問題で国会が大騒ぎになっている。裏金を受け取った議員たちは「知らなかった」「わからない」を連発した。だんまりを決め込む者も少なくなかった。政治資金は日本の民主政治を発展させるための活動資金であると議員たちは口にする。その大事なお金の出入りに無頓着だったということは、日本の民主主義政治の発展に無頓着だったということになる。特定政党の長期政権をゆるし、このようなみっともない事態を招いたのは、日本の有権者の政治理解度の反映である。

知らなかった・わからない・記憶にない、などと言った議員たちは専門医の診察を受けたほうがいい。残る議員たちで、政治資金をめぐる不正が発覚した場合、それを処罰する法律を作り直す方がいい。

政治資金については、個別の政党に寄付する方式を禁じ、寄付受付の窓口を一つにまとめ、「民主政治発展基金」のような組織を設けて個人、団体からの寄付を受けつける。「基金」は集めた金を希望する国会議員に平等に配布する。配布した基金の額、その使途については、着服、横領、目的外使用などを防ぐために定期的に明細を提出させる。議員は受け取った基金の一部を党組織におさめることができるが、党組織はその金の使途について「基金」に報告する。

上記のような政治資金共同募金法でもつくらないと、議員たちの銭をめぐるフーガの技法がやむことはないだろう。

(2024.3.16 花崎泰雄)

 

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