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news commentary

ヒラメの忖度

2018-03-27 22:14:38 | Weblog

3月27日の参議院予算委員会での丸川珠代委員と佐川宣寿証人との問答が興味深かった。

文書改ざんについて指示をめぐる問答である(産経ニュース デジタル版から)。

丸川委員「佐川さん、あるいは理財局に対して安倍総理からの指示はありませんでしたね」

佐川氏「ございませんでした」

丸川氏「安倍総理夫人からの指示もありませんでしたね」

佐川氏「ございませんでした」

丸川氏「官房長官、官房副長官、総理秘書官からの指示はありましたか」

佐川氏「ございませんでした」

丸川氏「安倍総理の秘書官からの指示はありましたか」

佐川氏「ございませんでした」

丸川氏「ここまでの証言踏まえますと、まず官邸からの指示はなかったということになります。間違いありませんか」

佐川氏「間違いございません」

佐川証人が歯切れよく答えたのはこの部分だけで、その他肝心の部分は、刑事訴追の恐れを理由に、証言を拒否した。

自民党幹部はこの日の佐川証言で、森友問題に関する安倍政権への疑惑はすっかり晴れたと言っている。野党は反対に、疑惑はますます深まったと言っている。国会前では市民が安倍政権への抗議集会を開いている。政治はこうでなくては面白くない。

27日午前の参議院、午後の衆議院の証人喚問中継を見ていて、佐川氏が自らを悪者にして政治の中枢部にいる人たちを守った、と感じた人は多かっただろう。上ばかり見ているヒラメ官僚の悲哀をひしひしと感じた現職の公務員もいたことだろう。

だが、ヒラメは官僚だけではない。

指示があったかどうか問うにあたっての、国会議員の丸川珠代氏の言葉遣いをよく見ていただきたい。

安倍首相や首相夫人の支持については「ありませんでしたね」と尋ねた。

一方で、官房長官・官房副長官・総理秘書官からの支持については「ありましたか」と尋ねている。

丸川珠代氏は安倍晋三氏と同じ自民党の派閥に属し、安倍首相に引きたてられて大臣のポストを与えられたこともある。

そういうことで、丸川氏の「ありませんでしたね」「ございませんでした」という問答に、ヒラメ官僚とヒラメ議員の面影を見て、なんだかなあ、と思った人が多かったのではないかと推察する。

 

(2018.3.27 花崎泰雄)

 

 

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大叔父と又甥

2018-03-10 20:56:36 | Weblog

カール・マルクスは『ルイ・ボナパルトのブリュメール18日』の冒頭で、世界史上の大事件と大人物は2度現れると、ヘーゲルを引いて言った。さらに、マルクスは皮肉っぽく「最初は悲劇として2度目は茶番として」とヘーゲルは付け加えるのを忘れた、と書いた。悲劇と茶番の一例に「伯父のかわりに甥」(ナポレオン1世とその甥のルイ・ボナパルト)をあげた。

今の日本だと、さしずめ「大叔父と又甥」ということになろうか。大叔父こと佐藤栄作首相(当時)は1971年のニクソン訪中が、日本に対する事前の打診抜きの頭越しで決定されたことに驚いて腰をぬかした。キッシンジャーが密かに中国にわたり事前準備をしていることを日本政府は知らなかった。日本政府だけでなく各国政府も米国のメディアも気付かなかった。

ニクソンが大統領を辞任した1974年、筆者はワシントンD.C.で米国の通信社のホワイトハウス担当記者から、「そのころキッシンジャーがしきりにジョージタウンのチャイニーズ・レストランに通っているという話を聞いていた。そのときその理由を追いかけていたら、大スクープにたどりつけたかも知れなかった」という話を聞いたことがある。

イヴァンカ・トランプ補佐官はピョンチャン・オリンピックの式典に出たが、その前後に彼女が韓国やワシントンD.C.郊外の冷麺ショップに出入りしたという話も聞かないし、大統領の側近が密かにピョンヤンに入ったという噂も聞かなかった。

にもかかわらず、あれだけ米国に尽してきた安倍政権の頭越しに、アメリカの大統領は北朝鮮の最高指導者と会うと声明をだした。大叔父も又甥も、アメリカの対外姿勢のドライさに傷ついたことだろう。ビックリ仰天、佐藤栄作の又甥こと安倍晋三首相もあわてて、4月にホワイトハウスを訪れると発表した。

ほんの最近まで「ロケットマン」、「気のふれたアメリカの老いぼれ」といがみあっていた同士が突如「会いましょう」「いいですよ」という間柄になるとは、安倍政権の誰もが想像が出来なかったことだろう。「アメリカ・ファースト」の男は、どうもADHD(注意欠如多動性障害)の傾向がみられるので、ゴルフコースで会った時のように、4月も安倍首相に注意を払ってくれるかどうか。

米国のメディアは米朝首脳会談について賛否両論を伝えている。アメリカ大統領としての利点は、北朝鮮から長距離ミサイルを米国に向けて飛ばさないと確約をとれば、今年の中間選挙に向けてのポイント稼ぎになり、北朝鮮と面と向かって対話する初めての米国大統領という強力なイメージがつくれることだ。そうすればロシア疑惑やポルノ女優との交友関係問題を煙に巻くことができるかもしれないとトランプ大統領は踏んでいるのかもしれない。

北朝鮮は米国大統領と直々に対話することが大きなポイントになる。北朝鮮の目標は、北朝鮮を国家としてアメリカに認めさせ、さらに米国と平和条約を結び、現体制存続の保証を求めることにある。国民の多くを飢餓線上におきながら核とミサイルの製造に励んだのも、アメリカを直接対話に引っ張り出すためだった。

米国大統領は北朝鮮に対する圧力が奏功して、キム・ジョンウンが耐えかねて対話路線に転じたという風に説明し、北朝鮮は核とミサイルがアメリカを会談の場に呼び出したと説明するだろう。

さて、会談で何を語り合い、どんな取引をするのか。誰にもわからない。ドナルド・トランプとキム・ジョンウン。世界の国家指導者で最もその言動が予言しがたい2人の会談だから、やってみてからのお楽しみ、だろう。

今回の米朝首脳会談のおぜん立ては韓国と北朝鮮とアメリカで、日本は蚊帳の外だった。北朝鮮が韓国とアメリカに向けてミサイルを発射しないと約束するようなことになった場合、そこに「日本」を入れてもらえるかどうか。その件については日本が北朝鮮と話し合ってくれ――こんな非情な結果にはよもやなるまいが。

(2018.3.10  花崎泰雄)

 

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任期というもの

2018-03-05 22:50:43 | Weblog

3月5日、中国の全国人民代表大会が始まった。国家主席の2期10年の任期の制限を廃止するための憲法の改正案が提出された。

習近平国家主席は中国共産党中央委員会総書記であり、中国共産党中央軍事委員会主席でもある。党のポジションについては任期に制限はない。国家主席と党総書記と党中央軍事委員会主席は通常同一人物が兼務する。

中国国家主席の任期制限は毛沢東の個人支配による失政を反省して設けられたが、支配者というものは死ぬまで支配者でいたいものらしい。古代アテネ政治家ソロンの名が高いのも、やるべきことをやったあと、さっさと職を退いたからだ。この賢人にあやかって米国では連邦議会の議員を「ソロン」と呼んでいるが、呼ばれるほどの賢人は、さて、どのくらいいるのだろうか。

米国のトランプ大統領は自身が所有するフロリダのリゾートでのスピーチで「中国は偉大だ。習氏は偉大な紳士だ。彼は今や終身国家主席だ。素晴らしい。いつか我々も挑戦してみるか」と語った、とCNNが伝えた。100パーセントの冗談でもなさそうだ。

日本国の首相の任期については制限がない。自民党が党総裁の任期をそれまでの連続2期6年から、連続3期9年にする党則改正を、昨年行った。2018年に自民党総裁連続2期6年の満期が来る安倍晋三氏に内閣総理大臣を続けさせるのが目的である。

自民党も中国全人代と似た上意下達組織なのだろう、冗談抜きで。

 

(2018.3.5  花崎泰雄)

 

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