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podium移転

2025-08-09 23:46:08 | Weblog

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podiumは移転しました

2025-08-09 22:54:44 | Weblog

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引っ越しします

2025-07-27 17:58:08 | Weblog

gooblog の閉鎖が近くなりました。

podiumは https://mandalamandala.hatenablog.com へ移転の準備中です。

2025年8月上旬には引っ越しを終えるつもりです。

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日本及日本人

2025-07-22 23:07:09 | 社会

自民・公明惨敗の参院議員選挙にもめげず赤沢経済再生相は米国へ行って関税交渉にあたっている。これで8回目の訪米だ。「お互いの国益を守りながら着地点を見つける」と赤沢氏は言った。日本の新聞が伝えている。「アメリカ・ファースト」と「日本ファースト」のせめぎ合いだ。

今度の選挙でこぼれ球を集めて議員を増やした参政党が叫んだ「日本人ファースト」は「日本ファースト」と意味が異なる。

ロイター通信など海外のメディアの記者は、参政党を右翼ポピュリストであると報じた。ヨーロッパの動向を目撃している彼らには、貧しさのうっぷんばらしに日本の有権者の一部が外国人排斥(ゼノフォービア)ごっこをしているように見えるのだろう。日本には、在来の日本人が不安を感じるほど外国人からの圧迫感はヨーロッパほど強くはないのだが。

このところ日本にやってくる観光客が増えた。出入国統計によると2023年には3700万人弱の入国があった。だがその98パーセントは短期滞在の人である。2023年には約380万人の外国人(調査時に日本に滞在中だった観光客などもふくむ)が日本に住んでいた。日本の人口の3パーセントほどである。日本に住む外国人は増えているが、外国人が刑法犯として検挙される人数は減少傾向を示している。在留資格のない滞在者は2025年初めに7万人余り。20年ほど前の4分の1に減っている。生活保護受給世帯の3分の1が外国人という言説もSNSで流されたが、厚生労働省の資料では、2.87パーセントである。2015年度からこれまでに受給率は2.8パーセントから2.9パーセントの間を推移している。外国人の医療費未払いが多い、という説も流されたが、政府の統計では、日本人を含む医療費の未払いは総額766億円なるが、そのうち外国人による未収金の割合は1.4パーセントだった。

こういうみみっちい物語をばらまいて集票の道具とするような選挙戦であった。SNSの情報が虚偽であったとしても、一部の有権者はゼノフォービアの快感に浸りたかったのである。

 

そういえばむかし『日本及日本人』という雑誌があったことを思い出した。調べてみると、2019年10月13日の朝日新聞の「グローブ」にこんな記事があったのを見つけた。要旨は以下のとおりである。

 

1920年(大正9年)4月、『日本及日本人」(政教社)が「百年後の日本」という特集を組んだ。当時の有識者らに、100年後の日本の姿、つまり2020年に日本がどんな国になっているかを大胆に予想してもらったのだった。

 

  • 「もし現在の如く、我が軍閥が国論を無視して侵略主義を行う時は、遠からず日米戦争を惹起し、その勝敗いかんによって、日本の百年後の運命が定まることになる。勝てば英国と並ぶ大国となり、いよいよアジアの主人たるを得るけれども、負ければ日清戦争前の小日本に成り下がることになる。しからば、来たるべき戦争において日本に勝算ありや。残念ながら私は結果を危ぶむ」(法学博士・末廣重雄)
  • 「日本はまだ醒めきらないのです。寝床の中でやッと背伸びをしているぐらいです。強者に跪拝し、弱者を陵辱して悦んでいます。ヨーロッパの真似をして威張っています。さァ、百年の後? その間に、一度は崇め奉っているヨーロッパ、アメリカから袋叩きにあいます。そこでほんとうに目を覚ます。覚めなければ叩き殺されて滅亡するばかり。覚めればアジアの解放を完成して、東洋の心臓くらいになれるでしょう」(早稲田大学講師・矢口達)
  • 「我ら子孫の日本人はますます根性がひねこびてずるがしこくなり、小闘紛騒を事として諸外国に侮られ、国威すこぶる振るわざるものとなります。この間に支那は誠に大国としていよいよ発展し、米国と提携して日本をいじめることになるでしょう」(小説家・仲木貞一)
  • 「自分が生きていそうもない百年後のことなどは、考えて見たことがありません。ただしかし、人間がこれから先、だんだん幸福になっていくかどうか、大いに疑問だろうと思います。人類の真の幸福というものは、社会改造論者などの手でヒョイヒョイと生まれるものでしょうか」(作家・菊池寛)

100年前も諸賢は明るくない見通しを語っていたのである。

 

(2025.7.22 花崎泰雄)

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暑っちっち!

2025-07-17 00:11:07 | 社会

エアコンを止めて窓を開けると、床が湿気でじとっとなってくる。われながらこんな風土の土地で、よく生きてこられたものだと、いつものことながらあきれる。

日本は四季があって美しい、と周りの大人たちから教わった。春雨・五月雨・夕立ち・秋雨・日本海側の雪。日本はなぜこうも水気の多い国なのだろうと、大人になって知った。四季麗しい日本は、年中、雨天・曇天の日本の負け惜しみである。水はあっても、みずほの国の田んぼは干上がっている。

7月20日は参院選の投票日だ。自公あわせても過半数に届かず、政権党はますます不安定なり、といって連立を組みなおそうとしても、相手に足元を見られて有利なスクラムが組みにくい。世間もメディアもそう見立てている。

安倍晋三が決められない政治からの脱却を唱え、世間がそのかけ声に唱和して自民党の回復に力を貸した。その安倍晋三を担いだ自公がやった決められる政治の後遺症が日本で蔓延している。そのあげく新顔の小政党がヨーロッパの右翼をまねて排外主義的な選挙運動をやっている。だが、それができるのも今のうちだ。あと50年もすれば、日本など見向きもされなくなるだろう。

みんなうすうす感じている。バブルの崩壊が舵を取りそこなった日本の水没の初めだった――にもかかわらず、あの時の政権党が今でもなお政権党であるという滑稽さを。

20日、投票所に行って投票用紙に向かい合ったとき、冗談じゃないよ、とまず低くつぶやき、やおら鉛筆を手にされるとよろしい。

 

(2025.7.17 花崎泰雄)

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イラン攻撃

2025-06-24 12:47:48 | 国際

ロンドンに行ってきた。物見遊山の旅だった。

ロシアとウクライナの戦争のせいで、日本と欧州を結ぶ航空会社の多くがロシア上空の飛行を避けている。6月9日に羽田からヒースローに向かった英国航空機はまずアラスカへ向かった。アラスカからカナダに入り、北極圏をぬけてグリーンランドへ。さらにアイスランド、アイルランド上空を経由してイギリスに到着した。飛行時間は約14時間。

ヒースローから羽田へむかった6月19日、英国航空機はフランス上空をぬけて中欧・東欧の空を飛び、イスタンブールとオデーサの間で黒海に入った。そのあと、カスピ海をぬけ、ウズベキスタン、中国の上空を飛んだ。

カスピ海の南はイランだ。イスラエルとイランがお互いを攻撃しあっていた。そうこうするうちにイスラエルがイランの核施設を爆撃した。ころあいをみて、米国もイランの核施設を爆撃した。米本土から出撃したB2爆撃機が地中貫通爆弾バンカーバスターを投下した。

イスラエルは中東地域で唯一の核保有国とみられており、この地域での覇権確立に余念がない。イランの核はイスラエルにとって邪魔である。米国はイスラエルにイランを攻撃させ、いまが弱体化したイランを追い詰める好機と判断した。

米国による核施設攻撃を先制的自衛権(議論のわかれる考え方だが)で説明しようとしても、イランの核開発が米国にとってさしせまった重大危機のレベルにあったと主張するには無理がある。

国際法はともかく、米国内法上も問題をはらんでいる。1964年に当時のリンドン・ジョンソン大統領がトンキン湾事件を理由に北ベトナムへの爆撃(北爆)を開始した。のちにペンタゴン機密文書でトンキン湾事件は存在しなかったことが明らかになった。ジョンソン大統領は架空のトンキン湾事件を理由に、議会から必要な措置をとってよいとの了承を得た。

2003年の米国によるイラク攻撃では国連を舞台に激しい議論がかわされた。米国はイラクが核兵器を持っていると主張してイラク攻撃を開始したが、核兵器は見つからなかった。

米国憲法第1条8節は戦争を宣言する権利は議会にあるとしている。1973年の戦争権限法は、戦争を始めるにあたって大統領に議会と協議することを求めている。米大統領は米軍の最高司令官だが、大統領の戦争権限を縛るためにこの法律がつくられた。

トランプ大統領はイラン爆撃にあたり、共和党の重鎮議員には事前に攻撃計画を説明したが、民主党の議員への事前説明はしなかったと、米メディアが伝えた。

オバマ大統領が米国はトランプ政権下で専制国家に向かおうとしているとスピーチした、と米国のプレスは伝える。

日本の石破首相はイスラエルによるイラン核施設攻撃を「到底容認できない」と非難したが、米国による爆撃は「事態の早期鎮静化を求めつつ、イランの核兵器保有を阻止するという決意を示したもの」とする一方で、石破首相は米国のイラン攻撃は国際法の観点から妥当といえるのかとの質問には「詳細な事実関係を正確に把握できる立場にない」と明言を避けた(朝日新聞6月24日朝刊)。

まいどの対米もみ手外交である。

(2005.6.24 花崎泰雄)

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Déjà-vu

2025-06-06 00:59:50 | 政治

「時は春、日は朝、朝は七時、片岡に 露みちて、あげひばり、名のりいで、かたつむり、枝にはひ、神、空に しろしめす、すべて世は 事もなし」

ロバート・ブラウニングの長い詩劇の一節の上田敏訳の名調子だ。牧歌的である。ロシアはウクライナから兵を引く気配を見せず、イスラエルの攻撃でガザは飢え、このままでは先は長くない。アメリカの大統領は世界情勢の管理など、オレがやればちょろいものだとほらを吹いていたが、混乱する国際情勢を鎮静化することもできず、憂さ晴らしに米国内で大学を相手に「内戦」を始めた。

「神、空にしろしめす、すべて世は事もなし」はブラウニングの発明ではなく、旧約聖書のころから言われていた。「エルサレムの王、ダビデの子、コヘレトの言葉。コヘレトは言う。なんという空しさ、すべては空しい……かつてあったことは、これからもあり、かつて起こったことは、これからも起こる。太陽の下、新しいものは何ひとつない。見よ、これこそ新しい、と言ってみても、それもまた、永遠の昔からあり、この時代の前にもあった。昔のことに心を留めるものはない。これから先にあることも、その後の世にはだれも心に留めはしまい」(新共同訳聖書)

辞書にあたると、「太陽の下、新しいものは何ひとつない」は人口に膾炙された言葉で、ラテン語の格言 "nihil sub sole novum" になっている。

関税障壁を張りめぐらせた米国の大統領はトランプ氏だけではない。第25代のマッキンリー氏も関税好きの保護貿易論者だった。同時に植民地獲得が好きな拡張主義者だった。米西戦争を始め、プエルトリコ、グアム、フィリッピンを併合、ハワイを属領にした。支持者の運動でアラスカの高山・デナリ(地元の先住民族がつけた名)がマッキンリー山とよばれるようになった。マッキンリー山はオバマ大統領の時代に元の名前・デナリに戻されたが、トランプ大統領が再びマッキンリーと旧名に戻した。トランプはオバマよりもマッキンリーが好きなのだ。

トランプ大統領はパナマ運河はアメリカのものだ、グリーンランドをアメリカの支配下に置きたい、カナダを51番目の米州にしたい、ガザから住民を集団移転させて更地にし、一大観光・保養地を建設したいといった。

オーストラリアの岩山・ウルルはかつてエアーズロックの名で知られたが、時の流れる中で岩山は地元のオーストラリア先住民族に完全返還され、先住民族にとっての聖なるウルルは登山禁止の山となり、観光登山道に沿ってうたれていた登山補助の金属製の杭はすべて引き抜かれた。

トランプ氏お得意のMAGA(Make America Great Again) も1980年の大統領選挙でレーガン氏が使ったスローガン “For those who’ve abandoned hope, we’ll restore hope and we’ll welcome them into a great national crusade to make America great again”の焼き直しである。

同じことをロシアのプーチン大統領も考え、行動している。「ロシアを再び偉大な国に」。それはソビエト連邦崩壊で散り散りになった元の連邦構成国をロシアの影響下に取りもどし、西洋世界に対する緩衝地帯をぶ厚くしておきたいというロマノフ朝時代からの安全保障の固定観念である。

(2025.6.6 花崎泰雄)

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ギフト

2025-05-31 00:47:36 | 国際

米国のトランプ政権が留学生を国外へ追い出している。アメリカが蓄積してきた知的財産を留学生たちが出身国に持ち帰るのを嫌悪しているように見える。留学生と彼らを送り出した国々は、米国から甘い汁をむさぼろうとしている害虫であるという認識なのだ。

一昔前の米国はおせっかいな国で、途上国が共産化するのを防止するために、奨学金を出して海外の若者を米国の大学に招いた。

いまインドネシアで大統領をつとめているプラボウォ・スビアント氏の父親は経済学者で、インドネシア大学の経済学部長のころ米国のフォード財団の資金でカリフォルニア大学バークレー校に学生を送り込み、経済学を学ばせた。学生たちは帰国後、インドネシアの開発と経済発展に取り組みバークレー・マフィアとよばれるようになった。

バークレー・マフィアの学者たちのアメリカ仕込みの開発論は、スハルト政権の幹部の開発ナショナリズムと衝突諸突することも多かったが、インドネシアの近代化に一定の役割を果たした。米国で学んだバークレー・マフィアの経済学が、スカルノ時代に左傾化していたインドネシアを資本主義のイデオロギー圏に復帰させることに役立った。

インドネシアの首都ジャカルタ郊外のテーマパーク「タマン・ミニ・インドネシア・インダ」に隣接して、いわゆる「スハルト博物館」(Purna Bhakti Pertiwi Museum)があった。博物館の見ものは、スハルトが大統領として海外の元首や政治指導者からギフトとして受け取ったおびただしい数の品々の展示だった。スハルト1997年の『フォーブズ』によると世界で4番目の金持ちだった。資産総額160億ドル。大統領として年額2万1千ドルの給与を受け取っていた人物の貯蓄としては法外な額だった。1990年代のスハルトは東南アジアのとびぬけた権力者で、インドネシアは東南アジアでは抜きんでた腐敗国家だった。KKN(korupsi, kolusi, nepotisme  汚職・癒着・ネポティズム)がインドネシアにあふれていた。

ギフトといえば英国王室が所有する世界最大級のダイヤモンド(原石はカリナンとよばれた)。原石はいくつかに分けられ、その一部はロンドンの「ロンドン塔」におさめられているそうだ。

ブーア戦争でイギリスの植民地なったトランスバールの政府が英国王エドワード7世に献上したダイヤモンドで発掘したトマス・カリナンの名をとって「カリナン」とよばれている。ブーア戦争の一因はトランスバールの金やダイヤモンドが欲しくなったイギリスの野心だったという見方もある。

国家間のギフトのやり取りは見返りを当てにしている。スハルトやエドワード7世がその見返りに何を贈ったのか。それについては別の機会にしらべてみよう。

時の人であるトランプ米大統領へのギフトであるボーイング747が米国に届いたという記事を読んだ。カタール王室からのこのギフトを、米国の法律がどう判断するのか、興味を持ってみている。

誰から誰への贈物なのか? 

見返りについては何か暗黙の了解があるのか? 

 

(2025.5.31 花崎泰雄)

 

 

 

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そのきさらぎの望月の頃

2025-05-16 01:02:25 | 国際

5月13日に死去したホセ・ムヒカ元ウルグアイ大統領の追悼記事が15日付の朝日新聞社会面に載っていた。89歳。

農民で、過激派都市ゲリラ・ツパマロスのメンバーを経て、囚人、のちに政治家に転じて大統領をつとめ、引退後に農民に戻った。収入のほとんどを寄付し「世界で最も貧しい大統領」とよばれて世界中に知られた。

記事の中で、元ウルグアイ大使の真銅竜日郎氏が5年ほどまえホセ・ムヒカ氏の自宅を訪ねて、桜の木を贈った時のエピソードが語られていた。

 「わしは近い将来、天に召される。わしの亡きがらは、この桜の木のそばに埋めてもらい、土にかえって、桜の花がきれいに舞うのをながめたい」

 元大統領はそうつぶやいた。

 ねがはくは花のしたにて春死なんそのきさらぎの望月の頃 西行

私はオマル・ハイヤームのファンで、ルバイヤートの日本語訳本が出ると買い込んで積読するのをならいとしてきた。森亮訳、高遠弘美訳、黒柳恒男訳、岡田恵美子訳、陳舜臣訳、小川亮作訳など。とはいうものの、手に取るのはたいてい小川亮作訳『ルバイヤート』岩波文庫版である。その文庫版の解説にオマル・ハイヤームの弟子だったネザーミイ・アルーズイが書いた『チャハール・マカーラ』の中にある次のような文章が引用されていた。オマル・ハイヤームが他界した数年後の1135年ごろにネザーミイ・アルーズイがネイシャプールにある師の墓参りをした時、

「彼の墓はとある土塀の直下にあって、その塀を越して数本の梨の木と桃の木が枝を垂れかけており、墓場の上にはおびただしい花びらが地面の見えないほど堆く散り敷いていた」

小川訳の『ルバイヤート』はいう。

 幾山川を超えて来たこの旅路であった、

 どこの地平の果てまでもめぐりめぐった。

 だが、向こうから誰一人来るのに会わず、

 道はただ行く道、帰る旅人を見なかった。

いつの日にかネイシャプールを訪ね、オマル・ハイヤームの墓に参るのを楽しみにしてきたが、インターネットでオマル・ハイヤームの墓があったあたりにモニュメントがたてられ、すかっり記念公園の風景になっているのを知った。

(2025.5.30  花崎泰雄)

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どうしてそんなにのろいのか

2025-05-03 00:01:24 | 政治

 

「もしもしかめよかめさんよ せかいのうちにおまえほど あゆみののろいものはない どうしてそんなにのろいのか」

立憲民主党が選択的夫婦別姓の導入に向けた民法改正案を4月30日衆院に単独で提出した。選択的夫婦別姓制度の提案が最初に国会に出されたのは前の世紀(1996年)のことである。爾来、夫婦の名前が異なると日本社会が崩壊するというたぐいのナンセンス議論が繰りかえされてほぼ30年。内閣府にいたっては2022年に行った世論調査で、夫婦同姓の維持がよいか、選択的別姓の導入がよいかを問う設問に「現在の制度である夫婦同姓制度を維持した方がよい」「選択的夫婦別姓制度を導入した方がよい」「現在の制度である夫婦同姓制度を維持したうえで、旧姓の通称使用についての法制度を設けた方がよい」の3つの選択肢を用意した。その結果、「維持したほうがよい」27%パーセント、「選択的夫婦別姓制度を導入した方がよい」29%、「旧姓の通称使用の法制度を設けた方がよい」42%という数字をねん出した。選択的別姓の支持率を下げるための工作である。共同通信社は4月1日に郵送方式の世論調査結果をまとめた。選択的夫婦別姓は「賛成」71%となり「反対」27%と差が開いた。Yes or Nonの2択で尋ねるとこういう結果になる。

5月3日は憲法記念日である。憲法第13条は「すべて国民は、個人として尊重される」としている。私の知り合いのオーストラリアの大学教授は、大学院生のころ知り合った男性と結婚し、夫の姓を名乗った。夫の姓で博士論文を書き、またたくさんの学術論文を発表した。そして離婚。やがて別の男性と結婚したが、彼女は独身時代の姓でなく、新しい夫の姓でもなく、離婚したかつての夫の姓を維持した。その姓が彼女のキャリアを示すものであり、彼女にとってアイデンティティーだったからだ。世界最後の夫婦同姓を強制する国である日本からみると外国では人が個人として尊重され、その中で個人が日本より自由に生きているように見える。

日本はなぜもこう不自由なのだろうか。インド哲学の碩学中村元氏によると、日本人は生きるために与えられている環境世界ないし客観的諸条件をそのまま肯定してしまう。現象世界をそのまま絶対者とみなし、現象をはなれた境地に絶対者を認めようとする立場を拒否する。「現象即実在」の思惟方法が目立つ(中村元『日本人の思惟方法』春秋社)そうだ。

外国からの観察はもっとえぐい。その一つバリントン・ムーア・ジュニア『独裁と民主政治の社会的起源』(岩波現代選書)は以下のように論じる。明治維新は中央権力と藩とのあいだの旧式な封建闘争だった。天皇制が保守的な諸勢力の結節点になった。 日本ではブルジョア革命も、農民革命も生じなかった。17世紀以降の日本の村落の寡頭支配構造、内部の連帯、上級の権威と効率的な垂直の結びつきがながく生き残った。日本の政治・社会構造が資本主義に適応可能だったことから、日本は革命という犠牲を払わないですんだが、のちにファシズムと敗戦によって打ちのめされた。No bourgeoisie, no democracy と民主化の担い手として中間階級に焦点を当てたムーアの見解で、当たるも八卦当たらぬも八卦のようなところも感じられるが、選択的夫婦別姓問題の30年を回顧すれば、現代日本になおも明治の国家主義の陰が残っていることを思い知らされる。

(2025.5.2   花崎泰雄)

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