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news commentary

女房と相談してみる

2008-09-27 22:23:11 | Weblog
この国では大臣の暴言、放言、失言、脱線の例にこと欠かない。それにしても、中山成彬・国土交通相が就任するやすぐさまぶっ放した暴言ほど、今の日本の政治家の知的レベルを如実に示すものはなかった。

マスメディアの報道によると、彼は成田問題について「ごね得」があった、と言った。これには、千葉県知事も地元町長も、成田空港を所管する大臣としてまことにピントの外れた発言だと、呆れ顔で抗議した。

中山はまた、日教組について、日教組の子どもは成績が悪くても先生になる。だから大分県の学力は低い、といった。新聞はこの発言が根拠のないデタラメであることを、次の日にデータを示して記事にした。

中山は保守政治家の一つ覚えのように日本単一民族説をぶった。この六月にアイヌの先住民族認定を政府に求める国会決議が採択され、つづいて政府の有識者懇談会で議論が始まっているときになんという暴言と、北海道ウタリ協会の指導者が中山を批判した。

中山は発言後に、失言だとして一応はわびる姿勢を見せた。しかし、選挙区の宮崎に帰ると元気を取り戻して、日教組は日本の教育のガンだ、発言を撤回するつもりはない、日教組をぶっ壊す、などと暴言を増幅させた。彼の論理によると、日教組は道徳教育に反対しているから日本の教育のガンなのだそうだ。

これ以上調子ハズレの中山節につきあってよしなしごとを書き連ねるのは時間の無駄だから、このあたりで終わりにするが、じつはコラム執筆者が本当に書いておきたかったことは、中山が失言にともなう自らの進退について、
 「帰って女房と相談する」
と、空港で取り囲んだ記者たちに語ったことだ。テレビのニュースで見た。

日教組が左翼偏向教育の首謀者である、だからぶっ壊すと、いっぱしの右翼壮士を気取ってイキがって見せたオヤジさんにしては、「帰って女房と相談してみる」という発言が、なんともカワイイではないか。

ちなみに、中山成彬の“女房”は拉致問題担当で名をはせた中山恭子である。

小泉劇場の出し物 Much Ado About Nothing のあとは温泉劇場の場末のコントか。いろいろ見せてくれて、礼を言うぜ。

(2008.9.27 花崎泰雄)
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