Podium

news commentary

落日

2010-02-27 20:12:57 | Weblog
せんだって夏のオリンピック誘致合戦で何百億の金をかけながらも惨敗した東京都知事・石原慎太郎が、バンクーバーの冬のオリンピックについて、以下のような感想を語っていた(朝日新聞サイト)。

①「銅(メダル)を取って狂喜する、こんな馬鹿な国はないよ」。東京都の石原慎太郎知事は25日、バンクーバー五輪の日本選手の活躍に対する国内の反応について、報道陣にこう述べた。

②同日あった東京マラソン(28日開催)の関連式典のあいさつでも同五輪に触れ、「国家という重いものを背負わない人間が速く走れるわけがない、高く跳べるわけない。いい成績を出せるわけがない」と話した。

27日の朝刊(拙宅の場合朝日新聞東京版)を見て、つれあいがあきれたように言った。「朝日新聞、狂ってる」。銀メダルに終った日本の女子フィギュア選手について、まるで金メダルを取ったかのような紙面展開だったからだ。社会面の見開きに見たこともないような大きな活字が躍り、いわく「これぞ我が舞姫」「泣かないで真央」。見出しをつけたのはいい年のおじさん/おばさん編集者なのだろうが、気恥ずかしいことである。

韓国では金メダルを取った選手のことで大騒ぎだ。東亜日報は社説で「キム・ユナのプレゼント、国民も泣いた」と書いた。

さて、日本の新聞は日本の選手が2位だったというのがメインの見出し、バンクーバーの地元紙のサイトを見たら、カナダの選手が銅メダル獲得というのがメインの見出しになっていた。メダルに関係のないアメリカのABCのサイトを見ると、韓国の選手が金メダルというのがメインの見出しになっていた。

したがって、石原のコメント「銅メダルを取って狂喜する、こんな馬鹿な国はないよ」は誤りで、関係各国とも狂喜しているのだ。正確には、石原は「銅メダルを取って狂喜する、なんて馬鹿な国だ」というべきだった。

石原の②のコメント「国家という重いものを背負わない人間が速く走れるわけがない、高く跳べるわけない。いい成績を出せるわけがない」はナンセンスだ。3月27日の朝日新聞夕刊に「金メダルまだ3つ ロシア落日」という記事が載っていた。ロシアが選手養成のための国家予算を削減したのでメダル獲得数が激減した、という話だ。したがって石原は正確には「国家に背負われない人間が速く走れるわけがない、高く跳べるわけない。いい成績を出せるわけがない」というべきだった。

たしかオリンピックに出るためにロシア国籍をとった元日本国籍者がいた。オリンピックで日本選手に金メダルをとらせ国旗を揚げさせたければ、有望な外国選手をくどいて高額な契約金を払い一時的に日本国籍をとらせ、日本選手として出場させる―ーなんて方法、どうだろう。例えば金メダル1個50億円、10個で500億円。2009年度の政党助成金が300億円余だったから、政党には共産党をみならって、それぞれ税金依存体質から脱却し自立してもらうことにして、浮いた金を金メダル助成金にふれば、300億×4年=1200億円で、夏冬あわせて24個の金メダルがとれる計算になる。

  しろがねもくがねもたまもなにせむにとはいふものの金のほしさよ  閑散人

(2010.2.27)
  
コメント

ドバイの暗殺

2010-02-20 23:47:48 | Weblog
ひさしぶりにモサドの名を新聞の紙面でみた。国際謀略物のフィクションではCIA、KGB、SISことMI6と並ぶレギュラーである、あのモサドだ。

現代のバベルの塔ともいうべき世界最高の超・超高層ビルを建てているうちに不動産バブルに襲われたものの、なんとか完工にこぎつけたドバイで、モサドが暗殺を企てたという報道である。

パレスチナ自治区ガザのイスラム組織ハマスの武器調達担当幹部がこの1月、ドバイのホテルで殺された。その殺人事件がじつはモサドが仕組んだ暗殺だったと、さきごろドバイの警察が発表し、インターポールに犯人の手配の手続きを取った。犯人グループ17人のうち11人が手配された。殺人容疑者たちはスパイ小説の定石どおり、イギリス、アイルランド、フランス、ドイツなどの偽旅券をつかっていた。

イギリスをはじめとするヨーロッパ諸国はわが方の市民は加担していないと、火の粉を払うのに大忙しだ。イスラエルは、モサドが関与した証拠はない、というだけで、詳しいことかたらない。情報機関の活動は対外的にあいまいにする方針だ、という理由からだ。

イスラエルではハマス幹部暗殺を「よくやった」と褒めるメディアがあり、「ドジ踏んだ」と批判するメディアがあるが、ともあれモサドの行為だと受け止めている。

ハマスは例によって報復を誓っている。アルジャジーラによると、ハマス内部ではPLOがモサドの暗殺を手伝ったと、PLO批判をしている。敵の敵は味方、遠交近攻の例である。

しかし、ジョン・ル・カレの『リトル・ドラマー・ガール』をはじめとする洋物フィクションや、小谷賢『モサド―暗躍と抗争の六十年史』(新潮選書、2009年)をはじめとする内外ノンフィクション――とはいうものの、この手の話はどこまでがノンフィクションでどこからがフィクションなのか判然としないのだが――で紹介されているモサドのお手並みから判断して、今回の作戦はどうも素人っぽい。そこが、また、疑惑をよぶ。

モサドは総勢2,000人足らずのこじんまりとした諜報・特殊工作のための機関で、暗殺や破壊工作などはメトサダとよばれる特別作戦部が担当している。CIAが舌を巻く工作機関である。今回のようなドジはめったに踏まない。

そういうわけで、今回の暗殺はモサドの犯行に見せかけて、どこか他の組織がやったのではないかと噂されている――つまり、辣腕のモサドがはめられたのだ。ニューヨーク・タイムズ紙がそんな噂に言及している。ほんに、事実は小説より奇なり。次の展開が待たれる。

  石積みは二つや三つや四つ五つ六道輪廻ヨルダン川原  (閑散人)

(2010.2.20)

コメント

ドレスコード

2010-02-13 21:33:24 | Weblog
日本からカナダ・バンクーバーのオリンピックに行ったスノーボードの国母和宏が、成田からバンクーバーに向かったさい、ズボンをずり下げた「腰パン」スタイルだったと、騒ぎになった。それも、私服ではなくで選手団の公式ブレザーを“着こなし”ていたときのことだった。

国母は大学に籍をおくプロのスノーボード・ライダーだ。金儲けのために観客の受けを狙ってあれこれ服装に工夫を凝らしてきたのであろう。スケートボードやスノーボードは腰パン“あんちゃん”の雰囲気がただよう遊びなのだ。ドレスコードにうるさい日の丸五輪選手団に入ったのが間違いだった。

昨年の事業仕分けでJOCが要求していた選手強化費など30億円余が補助金削減の対象になった。新聞報道によると、仕分け人が、そもそも五輪は参加することに意義があるのではないか、とか、ボブスレーなどマイナーな冬季競技を支援する必要があるのか、などJOC関係者に詰め寄ったそうだ。バンクーバーでメダルを稼がないと、次の事業仕分けで、さらに補助金が値切られる、と危機感を抱き、ドレスコードいうものの存在を知らない子までメダル稼ぎの足しに連れて行った。JOCの身から出たさびでもあった。

スノーボードも腰パン(アメリカではsagging pantsなどという)もアメリカが発祥の地だ。腰パンのあのスタイルは刑務所の囚人ファッションから流行りだしたものといわれている。(BBCで写真をどうぞ)。2007年ごろには、公衆に不快感や恐怖感を与える、との理由で、アメリカでは腰パンを禁止する法律を作った自治体も出た(詳しくはそのころのニューヨーク・タイムズ紙で)。

バラク・オバマがアメリカ大統領候補として運動を進めていたころ、さるメディアのインタビューで、腰パン禁止法についてどう思うかと質問されたことがあった。オバマ、答えて曰く。「腰パンを案じる役人には真の問題がどこにあるのかについての探求の方にもっと時間を使ってもらいたいものだ。一方、こうも言ってやりたいね。よう、兄弟、ズボンをひきあげようぜ」

カナダのバンクーバーはアメリカ合衆国のすぐ隣町だが、幸いにして腰パン禁止法はなかった。それにしても、巨大な国際社交場であるオリンピックに、腰パンで参加とはいい度胸だった。次は金太郎の腹掛け一枚でのお出かけをおすすめする。ところで、中国では「露股装」というのが流行っている。グーグルでどうぞ。

    ゆるふんの五輪選手も機内ではちゃんと締めますお座席ベルト (閑散人)

(2010.2.13  花崎泰雄)



コメント

立春冷え冷え

2010-02-04 20:32:34 | Weblog
泥酔・暴行問題で横綱の品格を問われていた角界の暴れん坊・朝青龍があっけなく土俵を割ってしまった。2月4日引退を表明した。土俵で格闘していればおのずと品格・品位が現れてくるというものでもなく、品格を磨くことに心が向かえば、土俵での練習やタニマチと酒を飲むファン・サービスの時間が減る。

しかし、格闘競技の選手に殴られた相手が死ななくてよかった。どこかの相撲部屋では選手や監督が選手の一人を殴ったりして死なせたことがあり、また、大相撲で死者という事件なるところだった。

政界の暴れん坊こと豪腕小沢一郎は、検察のつめがあまかったのか、今場所はどうにか剣が峰でこらえきったようだ。付け人の国会議員と公設第一秘書ら3人が起訴されただけだった。

引退した朝青龍にはもう次の場所はない。小沢の次の場所は始まったばかりの国会だ。小沢の資金管理団体・陸山会(田中角栄の後援会・越山会と一字違い)は、新聞報道によると、2004年までの11年間に11億5千万円を投じて、東京都や岩手県などで12件の不動産を買った。 なんだか街の不動産屋のような政治団体だが、不動産取引をめぐる税金は一切払っていないそうだ。

個人が所有している不動産を売却し、利益が出た場合、所得税や住民税の課税対象になる。しかし、陸山会のように、政治団体が不動産買取に使った金には所得税がかかっていないし、政治団体が不動産を売却してもその金を政治団体が受け取っていれば原則として課税されない。政治家の死後、その子が世襲で政治団体を引き継いでも、相続税はかからない。さすがの政治家たちも2007年以降、政治団体による不動産取得を降禁止することにした。

総務省所轄の政治資金管理団体で不動産を持っているのは小沢の陸山会だけだそうだ。小沢は2003年に解党した自由党の党首だったが、2003年に公布された政党助成金15億円のかなりの部分が行方不明になっている。2004年ごろ小沢の関連政治団体・改革フォーラム21の口座に約15億円の帳簿外入金があったらしいと報道されている。国庫から出た政党助成金は陸山会の不動産と関係があるのか、ないのか。国会、検察とこれから夏の参院選にかけての土俵をもりあげてもらいたい。

海の向こうでは、消息が絶えていた暴れん坊オサマ・ビン・ラデンが、地球温暖化の元凶アメリカを懲らしめよう、という演説を例のアルジャジーラで流した。この1月末のことだった。前任者のブッシュと比べるとオバマはエコロジストだ。それに対応してオサマもエコロジーの領域でアメリカ攻撃をめざすことにしたのだろうか。

9.11以後これまでに、オサマのメッセージを収めたビデオやオーディオのテープといわれるものが40近く流されている。そのうちの多くが贋作との指摘もされている。一番興味深いコンスピラシー・セオリーは、オサマは2001年の暮れ、アフガニスタンのパキスタン国境近くの山岳地帯トラ・ボラで米軍の空爆によって死んだが、オサマの亡霊を徘徊させることで利益を得るその筋の組織が偽オサマ・テープをせっせと作っているというものだ。

この間は最近のオサマの似顔絵をつくるにあたってFBIが現存するスペイン人の顔を利用したとして、顔を無断借用された本人から抗議を受けた。CIAもオサマに似た人物やオサマの声を合成するなどの細工はお手のものだろう。これまたコタツで冬ごもりしている閑人にとって格好の話題提供である。そのうち、「調査の名目で鯨を殺す日本へ」なんてオサマのメッセージがシー・シェパードと連名で発表されたりするかも。

2月4日は凍えるような立春だった。

引退も居座りもまた浮世かな春は名のみの人の寒々  閑散人

(2010.2.4 花崎泰雄)





コメント