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news commentary

そろそろ年貢の納め時

2014-02-28 01:09:28 | Weblog

今から10年前の2004年、政治家やメディアの人気者の年金掛け金未納問題が続出した。

当時民主党の代表だった菅直人は過去の年金未納で党代表を辞任した。辞任後、未納は行政側の手続きミスによるものだと判明した。小沢一郎も同様に年金未納で、予定していた民主党代表就任を辞退した。自民党の福田康夫は年金未納で内閣官房長官を辞任した。

NHK経営委員の長谷川三千子が2005年にNHK受信料の支払い拒否をしていたことを2月27日の毎日新聞がすっぱ抜いた。

毎日新聞によると、NHK『クローズアップ現代』が2005年3月28日に放送した「国旗国歌・卒業式で何が起きているのか」について、その問題意識のありかたが、長谷川方式と異なることに立腹して「NHKが回心するまで不払い続ける」と公言していたそうである。

毎日新聞の取材のさい長谷川は「未納は2ヵ月間で、その後、支払った。支払いの保留をあたかも視聴者の権利のごとく考えていたのは、完全に私の無知によるものだ」と釈明。

また、「支払い義務を委員になって初めて知った。世の中には、かつての私のような思い違いをしている人が多いかと思いますので、このことは声を大にして、深い反省と共に申し上げたい」と話した。

NHKの経営委員になるまで、受信料の性格についてご存じなかったとは、とんだのうてんきである。ここでやめないと、哲学者・長谷川三千子は、菅直人、小沢一郎、福田康夫よりも人間として劣っていることを世間にさらすことになる。長谷川三千子の声帯模写でいえば、このままでは“天皇陛下に申し訳が立たない”はずである。

(2014.2.28 花崎泰雄)

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はた迷惑な似非大河ドラマ

2014-02-21 00:30:58 | Weblog

安倍晋三首相の母方の祖父は、「昭和の妖怪」岸信介である。東京裁判のA級戦犯被疑者で、アメリカの都合で不起訴・釈放され、やがて日本国の首相になった。

ティム・ワイナーの『CIA秘録』によると、岸が首相になるまでの過程で、背後にはずっとアメリカのCIAの影があった。岸の接触相手はClyde McAvoyという若手のCIA局員だった。CIAは岸を通じて、保守合同で誕生した自由民主党の操作に成功を収めた。アメリカからの資金は、信頼できる米国のビジネスマンが注入のパイプ役になった。

安倍晋三総理大臣もその一員である岸信介の親族が、著者に訂正を求めたり、名誉棄損で訴えたりしたという話は聞いていない。

CIAに操作された自民党内では、軽武装・経済発展重視の吉田茂派と、憲法改正・再軍備の鳩山一郎・岸信介派に分かれていた。鳩山は首相になったが、憲法改正には手が届かなかった。岸も首相になり、1960年の日米安保条約改定をテコに憲法改正を目論んだが、結局、安保闘争の後、内閣総辞職に追い込まれた。

岸は国の指導者にとって最重要課題は安全保障であり、自衛のためなら現行憲法下でも核兵器の保有は可能である、と言った。吉田がつくった旧安保条約では、日本はアメリカに占領されているようなものだ、とも言ったことがある。

安倍晋三首相が唱えている憲法改正、再軍備(核武装保有も否定しない)という目標は、祖父岸信介の見果てぬ夢だった。祖父が夢見た「美しい国」日本を孫の手で成し遂げてやりたいというのは、なんともはた迷惑な似非大河ドラマの筋書きである。アメリカの風下にいつも立たされている戦後レジームからの脱却というのは、これまでの自民党政治を引き継いできた、いわゆる吉田学校の流れをくむ首相たちの政治を否定的に見ているからだ。

さて、自民党は憲法第9条について、これまでに解釈改憲を行い、警察予備隊に始まり保安隊を経て自衛隊に至る、事実上の軍隊を持つことが合憲とするところまできた。防衛庁が防衛省に昇格された。安倍内閣は、歴代の内閣が憲法の変更が必要としてきた集団的自衛権を、、それも内閣の判断で可能にしようとしている。そのために、法制局長官を入れ替えた。この手法を続けてゆけば、自衛のための先制攻撃も「交戦権を認めない」とする憲法と抵触しないことになる。行く行くは、自衛のための核先制攻撃も理論上は憲法9条に違反しないという言説も持ち出されるだろう。

去年の7月に吉田茂の孫にあたる麻生太郎財務相(元総理大臣)が「憲法はある日気づいたら、ワイマール憲法が変わって、ナチス憲法に変わっていたんですよ。だれも気づかないで変わった。あの手口に学んだらどうかね。わーわー騒がないで。本当にみんないい憲法と、みんな納得してあの憲法変わっているからね」と言った。

ナチスは全権委任法という手品を使ったのだが、麻生財務相の応援で意を強くしたのか、安倍首相は「白馬は馬に非ず」式の解釈改憲で、集団的自衛権の行使を実現してアメリカの要求に応えようとしている。

(2014.2.21 花崎泰雄)
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球は転々右翼側

2014-02-12 22:59:32 | Weblog

東京都知事選挙で田母神俊雄元航空幕僚長が61万票を集めた。その理由を2月12日付朝日新聞朝刊が分析していた。手短に言えば、従来の保守層よりも過激で愛国的なネットユーザーたちである「ネット保守」の支持があったと思われる、という論旨である。

この61万票は、超保守派の安倍首相のカムバックで右旋回を始めた日本の政治が、今後さらに鋭い角度で右方向へ曲がって行く可能性があることを示している。

朝日新聞によると、26歳の会社員の男性は「歴史の真実はわからないが、田母神氏のように考えれば誇りが持てる」、25歳の会社員の女性は「平和を守る気持ちを維持するため、靖国神社を参拝すべきだ」、21歳の大学生の男性は「ぶれやすい政治家が多い中、強さを感じた」と語っている。

田母神氏が航空幕僚長を更迭されるきっかけになった懸賞論文「日本は侵略国家であったのか」は、現代史に不案内な人たちに「元気の素」として受け入れられる要素がある。

論文といってはいるが、論文の構成・記述の仕方、適切な参照資料・文献の少なさなど、レベルとしては高校上級生、あるいは大学学部新入生程度のものだ。次のサイトで読める。
http://www.apa.co.jp/book_report/images/2008jyusyou_saiyuusyu.pdf

この文章の中で、田母神氏は次のような主張をしている。

①我が国は蒋介石により日中戦争に引きずり込まれた被害者なのである②もし日本が侵略国家であったというのならば、当時の列強といわれる国で侵略国家でなかった国はどこかと問いたい。よその国がやったから日本もやっていいということにはならないが、日本だけが侵略国家だといわれる筋合いもない③イギリスがインドを占領したがインド人のために教育を与えることはなかった。インド人をイギリスの士官学校に入れることもなかった④日本がアメリカの要求するハル・ノートを受け入れれば一時的にせよ日米戦争を避けることは出来たかもしれない。しかし一時的に戦争を避けることが出来たとしても、当時の弱肉強食の国際情勢を考えれば、アメリカから第2, 第3 の要求が出てきたであろうことは容易に想像がつく。結果として現在に生きる私たちは白人国家の植民地である日本で生活していた可能性が大である。⑤もし日本があの時大東亜戦争を戦わなければ、現在のような人種平等の世界が来るのがあと百年、2 百年遅れていたかもしれない。そういう意味で私たちは日本の国のために戦った先人、そして国のために尊い命を捧げた英霊に対し感謝しなければならない。⑥タイで、ビルマで、インドで、シンガポールで、インドネシアで、大東亜戦争を戦った日本の評価は高いのだ。

インターネットの中でナンセンスな気勢をあげている無邪気なネット保守層の耳に心地よく響く主張である。だが、③はある種の居直りで、①③④⑤⑥の主張にはその根拠になる証拠は何も示されていない。③については、マハトマ・ガンディーはロンドンの法律学院を卒業して弁護士資格を取り、ジャワハルラル・ネルーはイギリスの名門ハーロー校、ケンブリッジ大学で学んでいる。④と⑤は、仮定と結論を結ぶ論理が、まるで落ちた橋のように断絶しており、根拠のない妄想にすぎないとしか論評しようがない⑥については、日本の外務省が行った2002年の「ASEAN諸国における対日世論調査」が参考になる。それによると、第二次世界大戦中の日本については

  ●「悪い面はあったが、今となっては気にしない」と考える人が、 インドネシア:44% マレーシア:50% フィリピン:51% シンガポール:62% タイ:45% ベトナム:71%。
 ●「悪い面を忘れることはできない」 が、インドネシア:25% マレーシア:22% フィリピン:33% シンガポール:31% タイ:18% ベトナム:12% 。

外務省のASEAN調査の結果は、第2次大戦中の日本の悪い記憶が時間の経過とともに薄れていることを示している。外務省が第2次大戦中の日本についての「よい評価」をたずねなかったのは、外務省は田母神氏よりはるかに現地の事情に詳しく、そのような設問は現地では成立しえないことを知っているからである。田母神氏は何を論拠に⑥のような主張をしたのだろうか。

ヨーロッパでも潮の流れは右寄りだ。右翼政党が選挙で伸びを見せている。オーストリアでは自由党が国会で34議席をすでに獲得している。スウェーデンではスウェーデン民主党が20議席、ハンガリーでは極右ヨビック党が47議席、フィンランドでは真実のフィンランド人党が39議席、オランダでは自由党24議席を獲得している。フランスでは、ジャン‐マリ・ルペンから娘のマリーヌ・ルペンに引き継がれた右翼の国民戦線、ドイツでは国民民主党が勢いづいている。

ヨーッロパにおける極右政党の伸長の理由は、既成の政党に対する不満、仕事を奪う移民やムスリムに対する反感、力を増すEUによってかつての国民意識が風化されることへの恐れ、などが背後にあると識者は指摘する。

日本の場合、覇権主義の度合いを増す中国、突っ張る韓国、あてにならない米国、そうした環境の中でグローバリゼーションと新自由主義経済によって貧困化してゆく若年層、そして歴史の教訓に疎い人々が、「誇りを持ちたい」と右傾化の波に乗る。貧しく現状に不満な人々は、未来を考えることができず、過去に栄光の幻を見ようとするのである。

問題は、こうした右へ右へと傾く政治のバランスをとるための、まっとうな左翼勢力が、今の日本で払底していることであろう。

(2014.2.12 花崎泰雄)

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だらだら阿呆陀羅祝詞

2014-02-05 15:08:12 | Weblog

毎日新聞(2014年2月5日)デジタル版で大変興味深い記事を読んだ。

NHK経営委員になったばかりの長谷川三千子・埼玉大学名誉教授が、1993年に東京・築地の朝日新聞社へ抗議に行き、最終的には持っていた拳銃で自殺した新右翼「大悲会」の野村秋介・元会長の死を悼む文章を、没後20年の追悼文集(2013年10月)に載せていた

以下、毎日新聞の記事。

「人間が自らの命をもつて神と対話することができるなどといふことを露ほども信じてゐない連中の目の前で、野村秋介は神にその死をささげたのである」と礼賛。野村氏の行為によって「わが国の今上陛下は(『人間宣言』が何と言はうと、日本国憲法が何と言はうと)ふたたび現御神(あきつみかみ)となられたのである」と憲法が定める象徴天皇制を否定するような記載をしていた。

長谷川名誉教授の論理は次の通りである。

①人間が自らの死を捧げうるのは神に対してのみである。
②野村氏は「すめらみこと いやさか」と3回となえた。
③この瞬間、今上天皇は、日本国憲法がどんな規定をしてようが再び現御神となった。

長谷川氏はもはや教職から引退し名誉教授となっているので、教壇でこのような妄想に等しい非論理的言説を若い学生に吹き込むこともないだろう。

だが、彼女はNHK経営委員である。任命したのは内閣総理大臣で、同意したのは国会である。

内閣総理大臣が何と言おうと、国会はその人事に同意してしまった責任上、長谷川氏の言説を、ただ個人的なもの、として看過することはできなくなった。

毎日新聞によると、追悼文は昨年10月18日に東京都内の会合で参列者に配布された。その後まもなく、政府は衆参両院に長谷川氏ら4人をNHK経営委員会委員とする同意人事案を提示、11月8日に正式同意されている。

籾井、長谷川、次は誰?

       (2014.2.5  花崎泰雄)

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