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news commentary

定義の曖昧なお国柄

2015-03-25 23:51:28 | Weblog

 安倍晋三首相が3月20日の参院予算委員会で、自衛隊のことを「我が軍」と呼んだ、と新聞が伝え話題になっている。正直なことだ。誰が見たって、自衛隊は軍である。

日本国の憲法第9条は、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない、と定めている。新聞報道によれば、第1次安倍内閣の答弁書で「自衛隊は我が国を防衛するための必要最小限度の実力組織で、『陸海空軍その他の戦力』には当たらない」としていた(朝日新聞)。

昨年の集団的自衛権を認める閣議決定の際、ついでに自衛隊を軍隊と呼んもよろしいと密かに決めていたのだろうか。外国の軍隊に国を守ってもらうだけでなく、条件次第でその外国軍隊を守ることができるようにするのが安倍流集団的自衛権で、それは軍隊がなくては出来ないことだ。

それに、今年1月の『ジェーン・デフェンス・ウィークリー』が、2015年中に中国が海軍力で日本を追い抜くと報じた。おや、日本の海上自衛隊は中国人民解放軍海軍より戦闘能力があるのか! それとも中国の海軍力は、陸海空軍その他の戦力には当たらない日本の海上自衛隊よりも脆弱なのか!

こうなると、なんでも「問題ない、問題ない」と鉄面皮に言い張る“白馬非馬の騎士”こと菅内閣官房長官の出番だ。菅官房長官は、新聞報道によるとこんな言い回しをつかった。

「自衛隊は我が国の防衛を主たる任務としている。このような組織を軍隊と呼ぶのであれば、自衛隊も軍隊の一つということだ」

「自衛隊は憲法上、必要最小限度を超える実力を保持し得ないなどの制約が課せられており、通常の観念で考えられる軍隊とは異なる」

「自衛隊は一般的に国際法上は軍隊に該当することになっている。自衛隊が軍隊かどうかというのは、軍隊の定義いかんによるものだ」

「侵略の定義は定まっていない。国と国との関係で、どちらから見るかで違う」という首相がいて、「自衛隊が軍隊かどうかというのは、軍隊の定義いかんによるものだ」という官房長官がいる。

国際戦略研究所の報告では、日本の軍事費は世界で10位以内に入る額である。おめでたい国柄である。

(2015.3.25  花崎泰雄)
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