孫ふたり、還暦過ぎたら、五十肩

最近、妻や愚息たちから「もう、その話前に聞いたよ。」って言われる回数が増えてきました。ブログを始めようと思った動機です。

『 医は算術なり 』 ですから 。『仁術』じゃないです。

2017年08月16日 | 社会観察
なんでも、犬の血液型は13位あるそうです。

手術するとなると、犬も輸血が必要ですが、初めて輸血する場合は血液型は何でもいいそうですが、2回目以降はそうはいかないんだとか。

ある愛犬家のブログに半日検査入院した時の合計治療費が出ていました。愛犬が歯から出血して貧血になったそうです。

  血液検査代        5775円
  血液検査代(血液型)   5250円
  輸血代         12600円
  ICU          3150円
  半日入院代        1050円 
  留置代          1575円
  内服薬          2625円

  合計          32025円 

骨折だとか、ヘルニア、外耳炎などで数日間入院して手術となると、平均で15万円以上はかかってしまうという統計もあるそうです。

ペットにも過保護気味の現代は、獣医師は「おいしい職業」らしく、これ以上獣医師を増やさない方が、こういうおいしい儲けを享受できるわけなので、獣医師会は躍起になって増やさない政治工作をしてきたのも、なるほど頷けます。

私が小学生の頃、怪我をしてかなり出血したため、姉が慌てて私を近くの外科医のところに連れて行ってくれた事がありました。その日は確か日曜日で、町の小さな医院も開業していなかったのですが、姉はドアをドンドン叩いて、医者を呼んでくれました。

暫らくして、ドアが開いて年配の医者が顔を出すと、姉は早口で状況を説明して、私の出血している後頭部の傷口を医者に見せたのです。

医者は傷口を見て、「コレは縫わなきゃダメだ。」と言い、玄関から入って手術室に私を寝かせるよう言い奥に消えました。

私と姉は手術室で医者を待っていると、白衣を着た医者が来て、「看護婦がいないから、お姉さんちょっと手伝ってくれる?それから、手術費が1万円になるけどいい?」と言います。

今から50年ほど前のことです、私は痛みに耐えながら、1万円の高額さが良く理解できない感じでした。医者に姉が何と返事をしたかはよく覚えていませんが、あの時あの状況下で、手術費のことを言い出す医者の感覚に、子供ながら疑問を感じていました。

私の「医者嫌い」の原点は、あの時の体験だったのかもしれません。

だから、「医は仁術(じんじゅつ)」などという言葉を聞くと、「仁術」じゃなくて「算術」に決ってるだろう。「常にソロバンをはじいているのさ」と私は反射的に反論するようになってしまったようです。


従って、今日のYahoo ニュースにあった、【認知機能診断、悩む医師】という西日本新聞の記事を読むと、私の体にはムラムラと憤りが湧き出てくるのです。

記事(以下抜粋)は、【75歳以上の高齢ドライバーに対する認知機能検査を強化した改正道交法が施行されて5カ月になるが、戸惑いを隠せないのが医療現場である】と伝えていました。

 高齢運転者

【(民間の運転講習会で診察対象となった)診察対象者が「認知症」と診断されると運転免許の取り消しになりうるためで「実質的に医師が免許証を取り上げることになり、患者との関係が悪くなる」と医者が診断に二の足を踏む。】のだそうです。

【認知症と診断して長年の患者が怒って来院しなくなったケースもあり、高齢者にとって認知症はいまだ心理的な壁がある。「かかりつけ医として、患者さんが運転できなくなる認知症と診断していいものだろうか」】

【「認知症ではない」と診断した患者が、認知機能の低下を原因とする事故を起こしたら損害賠償責任が生じないかいう医師の懸念もつきまとう。】

【「運転免許取り消しというと乱暴に聞こえるが、認知症と分かった場合、本人の安全を担保したり大惨事を予防したりするためにも、一刻も早く運転を止めなければならない。」大分県警運転免許課の山本満彦警視は強調する。】

大分県の交通死亡事故の4割は高齢者によるもので、原因は高齢からくる認知機能の低下だそうです。

 免許返納

自治体は、【運転免許証の返納を促すと同時に、タクシー割引券や交通機関割引券を支給する。】

【警察庁は高齢者の交通事故防止対策として、自動ブレーキとペダル踏み間違い時の加速抑制装置を搭載した「安全運転サポート車」に限って運転できる「限定免許」を導入するなど、免許制度の見直しに取り組む方針だ。】

簡単に解決する問題ではないにせよ、この記事から漂った「医は算術なり」が根底にある世間の我利我利亡者の医者たちの性根には、やはり私は憤るのであります。

かわいい孫娘を持つ身の私としては、高齢者ドライバーたちは、せめて小学生たちの通学・帰宅時間帯の運転を法律で自粛させて戴きたいのです。




『麦秋』 聖地めぐり

2017年08月16日 | 趣味の世界
連日雨模様の盆休みとなると、DVDレンタルショップは盛況となる。

先日、立ち寄ってみると、新作DVDはほとんどが貸出し中だった。私は気に入った昔の名作を繰り返して観る性質(たち)なので、1作80円の旧作DVDばかり借りることになる。

例えば、『砂の器』とか、『グラン・トリノ』とか・・そんな感じでもう何度も借りているのだが、この間は旅行帰りのこともあって、ゆかりの地の映画『遠雷』を借りたわけだ。

本当に気に入った作品は、自分の手元に置きたくなるもので、小津安二郎の作品は大抵揃っている。多くが鎌倉を舞台にしていて、私は前から一度鎌倉を訪れたいと思っていたのだが、機会を逸してきた。

なんだか、鎌倉というと、ミーハーな若い娘が行くところのようで、こっ恥ずかしい感じがするのも理由の一つであったが、この際青春18きっぷを使って、日帰りの旅をするのも悪くはないだろう。

小津の映画で鎌倉と言えば、まず思い浮かべるのが、『麦秋』である。

  落ち着いた名作だ

この映画が公開されたのは、私の生まれる4年前のことで、自分が生まれたあたりの日本はこんな感じだったのかと思いながら観ると、実に興味深いのである。しかも、そのストーリーも、特別なものではなく、極めてありふれた庶民の日常を描いている。

平凡すぎるくらいの内容だが、監督の眺める和風の極みが、観る者の心を和ませてくれるのだ。

  長谷の大仏

定番の「紀子」を演ずる原節子の清々しさと、杉村春子、笠智衆、淡島千景、三宅邦子、高堂國典らの、まるで日本庭園の岩についた苔のような渋い演技が、この映画にコクと旨みを加えて観るものを飽きさせない。

『麦秋』には、孫がくれるキャラメルを紙ごと口に放り込んでしまう年寄りから、その息子夫婦、そのまた息子の家族、嫁入り前の長女・紀子、ヤンチャな弟たちまで、世代の違う人間たちの日常が、描かれているだけだ。

目の前に集まってくる登場人物たちを上から見つめているであろう大仏のカットは、印象的だ。

 ボールで遊ぶ勇ちゃん


 知り合いのたみと孫娘

ちょっと、ボケ気味のおじいちゃん役の高堂國典は『七人の侍』では長老役を演じていた渋い名優である。この映画でも実にいい味を出している。

  紀子とお爺ちゃん

調べてみたら、家から鈍行でも3時間半あれば、江ノ電・長谷駅に着く。大仏を見るだけなら充分日帰り旅行はできる。

金曜日か土曜日。天気がいい方を選んで出かけてこようと思う。

時間に余裕があったら、近くの「鶴岡八幡宮」にも足をのばそう。同じ小津の映画『晩春』の中で、杉村春子が境内でがま口を拾い、縁起がいいと言って、懐に入れたところに駐在さんが通りかかるという、少しコミカルなシーンがあったっけ・・。

あの財布、結局交番に届けたのだろうか・・・? 映画では分らなかったが。