坂の上のピアノ教室

おうちの方にレッスン室の様子、日頃思っている事をお知らせするためのblogです。

イメージを助けるもの 妨げるもの

2014-07-07 | 伝えたいこと

ちょっと前のこと

中学生の女子生徒が、 1冊の曲集をとても気に入って、
かたっぱしから弾いていました。

その子だけでなく、少し大きくなると、その曲集に はまる生徒が
必ずいるのですが。

でも、その生徒 その楽譜だけに カバーをつけていました。

別にお母さんや姉妹のお古の楽譜だったわけではありません。
その子のために新しく買った楽譜です。


私は 「この楽譜だけ カバーかけてるなあ」くらいに思って、
特に気にとめていませんでしたが、ある時 お母さんと
話していたら

「あの子、ピエロが嫌いなので、あの本の表紙の大きなピエロが
見えないようにカバーしてるんです」

と、言ってました。

そうか、なっとく!

ピエロって、好き嫌いの多いキャラクターだと思います。
どちらかというと 子供にはコワイ存在?
表情のわからないメイク
目の周りは、 歌舞伎の隈取りみたいだし。


その曲集には、なんの関連もないピエロがなぜ表紙の絵になっているのか
わかりませんが・・・・

とっても有名な曲集だから・・・何か理由があるのかも??




話はちょっと飛びますが

最近の子供たちの楽譜って、とにかくカラフル
可愛いイラスト満載

私もついつい その可愛さで、 小さい生徒達の教材を選んで
しまいがち。

小さい子にとって、曲をイメージしやすいイラストには、とても助かることもあります。

素敵な小品を ガツガツと 弾いている子に

「ねえ、この横に書いてあるみたいな こんなふんわーりした羽根のように
弾いた方が この曲に合ってると思うよ」

って、言ってみたり

「この 薄紫の妖精の絵 、すてきね~
こんな薄紫の 色 みたいに 弾きたいね~」

そう声をかけただけで、 音がかわりますから。



でも、時々

可愛けりゃいいってもんじゃないよ。。というような場面にも
出会います。

ブルグミュラーの 「バラード」

だれもが必ず弾く曲ですが。。。
短調のmisterioso  なぞめいたドキドキする和音で始まる曲なのに、
なんだか 脳天気な可愛いイラストが書いてる楽譜があります。

そういう時は、思いっきり生徒と一緒にツッコミを入れて、
ミステリーな感じに 落書き?を書き足しちゃいますが。。。


別の楽譜集でも、せっかく良い内容で子供にも大人にも使いたいのに
あまりにも可愛い表紙だったりすると、

「なんだかなあ・・・」と思うのは、私だけなのかしらん?

大人の生徒さんというのは、あんがいこだわりを持っていらっしゃる方が多いですから、
よそさまに見せる楽譜ではないかもしれませんが、毎日開く楽譜、毎日見る楽譜ですから、
刺激の少なめな装丁、もしくは何も無し!が良いのになあ。



ギロックの曲集は、 どの楽譜も 何もイラストがありません。
うんと小さい子が使える曲集も みな そっけないくらい何もありません。

それは、イラストを書くことで、弾く人のイメージを固定させないため
自分でイメージをふくらませる事をしてほしいから

あえて、「何もない」のだと、聞きました(違っていたらすみません!)

はじめは、それが とっても「そっけない。味気のない楽譜だな。装丁だなあ」と
思ったりもしましたが。

今は、とても 理にかなっているなあ、と思っています。