野口は黄熱病の病原体をレプトスピラであると発表し、それ以後の研究で得たデータを自説に有利な解釈をするようになった。
今回示す論文である「黄熱病の病因学 Ⅳ黄熱病患者の血液接種後の Leptospira icteroides に対するモルモットの得られた免疫」でも同様な展開をしている。
論文の要旨
黄熱病患者の血液を接種されたモルモットの大多数は致死的感染を免れた。
黄熱病患者血液の接種は、これらの動物に4~5日目に一時的な発熱を起こし、幾つかのケースでは軽い黄疸が続いたが、すぐに正常に戻った。
これらのモルモットの大部分はその後 Leptospira icteroides 株の臓器懸濁液を接種されたとき、感染しなかった。
一方、前もってマラリア患者の血液を接種されたモルモット又は正常モルモットは感染した臓器懸濁液を接種すると典型的な実験的感染で死亡した。
これらの結果から、いくつかの致死的でない、温和な又は不成功な感染はモルモットに黄熱病患者の血液を接種した結果であるように見える。
そのような動物が Leptospira icteroides の高い毒性の有毒株で感染させる試みに抵抗性である事実は交互の免疫反応によると判断される。そして現実に、それらは同じ微生物又はそれと非常に近しい株での感染を経験していた。(以上)
野口は最初、黄熱病患者の血液をモルモットに接種して、その病原体を見つけようとした。しかし、その試みの殆どは失敗に終わった。
陽性になったのは74匹のモルモットのうちたった8匹であった。
それでも、その陽性になったモルモットからレプトスピラが分離されたため、それを黄熱病の病原体であると発表してしまった。
そして今度は、モルモットが陽性にならなかったのは黄熱病患者の血液を接種したためだとの、一見矛盾する解釈を述べている。
現在における知見から解釈すると、陽性になったモルモットに接種された患者血液はワイル病患者か、黄熱病とワイル病の混合感染していた患者の血液であったと考えられる。当時の貧困層の人々は靴を履いていなかったようであるので、ワイル病患者は多かったと考えられる。
軽度に発症して生き残ったモルモットはレプトスピラ数の少ないワイル病患者血液を接種されたものであろう。そのモルモットは少数のレプトスピラでも抗体を体内に作ったため、有毒株で攻撃しても発症することがなかったのではないかと考えられる。
結果論ではあるが、黄熱病と思われる患者の血液を74匹のモルモットに接種して、たった8匹しか陽性にならなかったとき、これはおかしいと思うべきであった。そして同僚の現地では混合感染も多いとの忠告に少しは耳を傾けるべきであった。
今回示す論文である「黄熱病の病因学 Ⅳ黄熱病患者の血液接種後の Leptospira icteroides に対するモルモットの得られた免疫」でも同様な展開をしている。
論文の要旨
黄熱病患者の血液を接種されたモルモットの大多数は致死的感染を免れた。
黄熱病患者血液の接種は、これらの動物に4~5日目に一時的な発熱を起こし、幾つかのケースでは軽い黄疸が続いたが、すぐに正常に戻った。
これらのモルモットの大部分はその後 Leptospira icteroides 株の臓器懸濁液を接種されたとき、感染しなかった。
一方、前もってマラリア患者の血液を接種されたモルモット又は正常モルモットは感染した臓器懸濁液を接種すると典型的な実験的感染で死亡した。
これらの結果から、いくつかの致死的でない、温和な又は不成功な感染はモルモットに黄熱病患者の血液を接種した結果であるように見える。
そのような動物が Leptospira icteroides の高い毒性の有毒株で感染させる試みに抵抗性である事実は交互の免疫反応によると判断される。そして現実に、それらは同じ微生物又はそれと非常に近しい株での感染を経験していた。(以上)
野口は最初、黄熱病患者の血液をモルモットに接種して、その病原体を見つけようとした。しかし、その試みの殆どは失敗に終わった。
陽性になったのは74匹のモルモットのうちたった8匹であった。
それでも、その陽性になったモルモットからレプトスピラが分離されたため、それを黄熱病の病原体であると発表してしまった。
そして今度は、モルモットが陽性にならなかったのは黄熱病患者の血液を接種したためだとの、一見矛盾する解釈を述べている。
現在における知見から解釈すると、陽性になったモルモットに接種された患者血液はワイル病患者か、黄熱病とワイル病の混合感染していた患者の血液であったと考えられる。当時の貧困層の人々は靴を履いていなかったようであるので、ワイル病患者は多かったと考えられる。
軽度に発症して生き残ったモルモットはレプトスピラ数の少ないワイル病患者血液を接種されたものであろう。そのモルモットは少数のレプトスピラでも抗体を体内に作ったため、有毒株で攻撃しても発症することがなかったのではないかと考えられる。
結果論ではあるが、黄熱病と思われる患者の血液を74匹のモルモットに接種して、たった8匹しか陽性にならなかったとき、これはおかしいと思うべきであった。そして同僚の現地では混合感染も多いとの忠告に少しは耳を傾けるべきであった。