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退職後の日々を写真で記録

野口英世はなぜ間違ったのか(39)

2014-03-22 14:32:45 | 野口英世
Flexnerに長文の手紙を送った英世は、それから10日ほどたって、今度は電報をたて続けに3本を送っている。最初は1928年1月28日で、続いて2月1日、2月2日に送っている。



1月28日
これまでに異なる5株を得るのに成功した。ここでの仕事は順調に進んでいる。

2月1日
これまでに異なる5株を得た。実際、全てダカール(注:セネガルの首都)の標本を培養して得た。他の問題は現在鋭意取り組んでいる。

2月2日
電報を有難うございます。誤解された株はサルに接種する株の意味です。私はこれまで全ての株から異なる病原性の微生物を分離しました。それはレプトスピラではありません。現在それらを注意深く調査中です。まもなく結果を報告できるでしょう。



コメント

まだ確実な成果が出ていないのに、このようにたて続けに電報を上司に送ったのはなぜだろうか。
当時の郵便事情は現在と違い、海外へ送る手紙が届くには多くの日数を要したであろうことは理解できるが、これらの電報の内容は急いで知らせるまでもないようなものばかりである。英世の焦りを感じさせる。英世に対する疑惑の声が大きくなりつつある中で、英世の唯一の見方であるFlexnerに見放されるのを恐れるが故の行為であったとも思われる。
英世が分離した新しい微生物は、それまで黄熱病の病原体であるとしたレプトスピラではないという。ということは、やはり南米の黄熱病とここ西アフリカの黄熱病は別な病気であるとの考えなのだろう。しかしそれらがどのような微生物であるかの記載は全くない。しかも分離した5株は同じ種類の微生物なのか、又は別々の種類なのかも知らされていない。
英世は黄熱病の病原体探索で研究の進め方のまずさから二度の間違いを犯そうとしている。
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