ここへ来て、店頭の秋刀魚もやっと手の届く値段になって言うことはない、これが待ちきれずにもう何回かは食卓に上ったが値段は今の3倍はしたと思う、それでも魚に目のないWAKIは大いに秋を満喫した気になった。昔出張で東北に出掛けて現地で戴いた秋刀魚の刺身と骨せんべいは安くて実に美味しかったのを覚えている。高校生になって初めての国語の授業で習ったのがこの詩人佐藤春夫の「秋刀魚の歌」であった。
あはれ秋風よ情〔こころ〕あらば伝へてよ――男ありて今日の夕餉〔ゆふげ〕に ひとりさんまを食〔くら〕ひて思ひにふけると。・・・